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TPR(6463)vs リケンNPR(6209)— 事業成長力を徹底比較する


世界シェア約70%のシリンダライナか、統合で生まれたピストンリング最大手か

記録日:2026年7月24日。株価は同日の東証終値です。両社とも東証プライム上場、日本基準、3月期決算のため、2026年3月期実績と2027年3月期会社予想を比較しています。

TPRは2025年10月1日付で普通株式1株を2株に分割しました。この記事の株価、EPS、BPS、1株配当は分割後ベースに統一しています。リケンNPRは2023年10月にリケンと日本ピストンリングの経営統合で発足し、2026年度の完全事業統合・組織再編を進めています。


筆者の注目ポイント

注目度:TPR ★★★☆☆ / リケンNPR ★★★★☆(5段階)

筆者は リケンNPRにやや注目 しています。予想PERは両社とも11倍台ですが、リケンNPRはROE、自己資本比率、配当利回りで上回り、経営統合のシナジーと非ICE事業の育成を数値目標で追いやすいからです。

一方、2027年3月期の利益予想はリケンNPRのほうが大きく落ち込みます。TPRには世界シェア約70%のシリンダライナ、ファルテックを通じた自動車外装部品、最大45億円の自己株式取得枠があり、単純な「高配当対低配当」の比較ではありません。

① 現在の株価・バリュエーション比較

TPR

  • 株価:1,413円

  • 時価総額:約940億円

  • 予想PER:11.24倍

  • PBR:0.52倍

  • ROE:5.56%

  • 予想配当利回り:3.96%

  • 1株配当予想:56円

  • 自己資本比率:57.3%

  • 決算期:3月(日本基準)

リケンNPR

  • 株価:3,965円

  • 時価総額:約1,120億円

  • 予想PER:11.85倍

  • PBR:0.67倍

  • ROE:9.18%

  • 予想配当利回り:5.30%

  • 1株配当予想:210円

  • 自己資本比率:70.0%

  • 決算期:3月(日本基準)

予想PERの差は0.61倍にすぎず、今期予想利益に対する評価は近い水準です。一方、PBRはTPRが低く、ROEと財務余力はリケンNPRが上回ります。リケンNPRの配当利回りは高いものの、2027年3月期の予想EPS334.53円に対する配当性向は約62.8%になります。TPRは予想配当性向約44.6%に加え、2026年6月から2027年3月まで最大45億円、発行済株式数の約6.2%を上限とする自己株式取得を公表しています。

出典:TPRの株価・指標リケンNPRの株価・指標TPR 2026年3月期決算短信

② 直近決算の比較

TPR:ファルテックの減収で営業減益、持分法利益で経常増益

  • 売上高:1,905億53百万円(前期比1.0%減)

  • 営業利益:102億78百万円(同8.3%減)

  • 営業利益率:5.4%

  • 経常利益:161億62百万円(同2.4%増)

  • 親会社株主に帰属する当期純利益:93億94百万円(同6.0%増)

パワートレイン事業と中国は堅調でしたが、ファルテックグループの売上減少が連結売上高と営業利益を押し下げました。営業外では持分法による投資利益などが支えとなり、経常利益と純利益は増えています。

2027年3月期の会社予想は、売上高1,909億円(前期比0.2%増)、営業利益106億円(同3.1%増)、経常利益150億円(同7.2%減)、純利益81億円(同13.8%減)です。営業段階は小幅改善を見込みますが、持分法適用会社の利益を慎重に見て、経常・最終減益を計画しています。

リケンNPR:統合シナジーと価格適正化で営業増益

  • 売上高:1,631億14百万円(前期比4.2%減)

  • 営業利益:128億47百万円(同8.8%増)

  • 営業利益率:7.9%

  • 経常利益:173億45百万円(同18.2%増)

  • 親会社株主に帰属する当期純利益:140億27百万円(同60.2%増)

減収でも、価格適正化、生産性改善、経営統合シナジーにより営業利益率が高まりました。ただし純利益には、退職給付信託返還益29億75百万円や投資有価証券売却益11億76百万円などの特別利益が含まれます。2026年3月期のEPS521.58円を、そのまま通常の収益力と見るのは慎重さが必要です。

2027年3月期の会社予想は、売上高1,620億円(前期比0.7%減)、営業利益100億円(同22.2%減)、経常利益135億円(同22.2%減)、純利益90億円(同35.8%減)です。想定為替は1ドル150円、1ユーロ180円。原材料・エネルギー・人件費の増加や地政学リスクを織り込む一方、2026年4月に買収したHastings Holding Corp.の業績は期中から反映する計画です。

2026年3月期の営業利益率はリケンNPRがTPRを2.5ポイント上回りました。ただし2027年3月期の会社予想では、TPRが営業増益、リケンNPRが大幅営業減益と方向が分かれます。比較の中心は「前期の強さ」よりも、「今期計画がどこまで保守的か」と「コスト増を価格・統合効果で吸収できるか」です。

出典:TPR 2026年3月期決算短信リケンNPR 2026年3月期決算短信リケンNPR 2027年3月期業績見通し

③ 事業構造・中期計画の比較

TPR:パワートレインと多角化商品の両輪

TPRの中核は、ピストンリング、シリンダライナ、バルブシート・ガイド、焼結製品などのパワートレイン部品です。なかでもシリンダライナは同社調べで世界シェア約70%。アルミエンジンブロック用の アズロック®ライナ では、外周の突起形状、熱伝達、遠心鋳造による量産技術が差別化要素です。

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