キオクシア(285A)vs SKハイニックス(000660.KS)— 事業成長力を徹底比較する
【NANDの純度か、HBMの覇権か。AIメモリ相場の主役を比べる】
記録日:2026年6月20日
株価・バリュエーションは主に2026年6月11〜12日前後の公開データを参照。
決算情報は、キオクシアが2026年3月期通期、SKハイニックスが2026年1Qを中心に整理しています。
キオクシアはIFRS、SKハイニックスはK-IFRSです。会計基準・決算期・通貨が異なるため、単純比較ではなく「事業構造」と「成長ドライバー」の比較として読んでください。
筆者の注目ポイント
キオクシア:★★★☆☆
SKハイニックス:★★★★☆
今回、筆者がやや注目するのは SKハイニックス です。
理由はシンプルで、AIメモリ相場の中心にある HBM を押さえているからです。キオクシアもNAND/SSD需要の急拡大で強烈な追い風を受けていますが、SKハイニックスはDRAM、HBM、NAND、eSSDまでAIインフラの広いメモリ需要を取り込める構造があります。
ただし、これは「SKハイニックスの株価が安い」と言いたいわけではありません。むしろ両社とも、すでにAIメモリ相場をかなり織り込んだ値動きになっています。今回の比較で見るべきポイントは、短期の株価というより、どちらの利益がより長く続きやすいか です。
① 現在の株価・バリュエーション比較
キオクシアホールディングス(285A)
上場市場:東証プライム
株価:81,200円前後
時価総額:約44.3兆円
予想PER:会社予想ベースは非開示
Yahoo Finance上のForward PER:約7.8倍
PBR:約29〜32倍
ROE:約51.9%
配当利回り:会社予想は未定または非表示
自己資本比率:約37.9%
決算期:3月
会計基準:IFRS
SKハイニックス(000660.KS)
上場市場:韓国取引所
株価:2,150,000ウォン前後
時価総額:約1,526兆ウォン
Trailing PER:約19.9倍
Forward PER:約7.4倍
PBR:約9.1倍
ROE:約61.2%
配当利回り:約0.14%
決算期:12月
会計基準:K-IFRS
見方
見た目のPBRだけで見ると、キオクシアの方がかなり高く見えます。一方で、メモリ市況が急激に上振れているため、足元の株価指標は「過去利益ベース」と「将来利益ベース」で印象が大きく変わります。
特にキオクシアは、2026年3月期の第4四半期から利益水準が急上昇しており、過去12カ月利益だけで見ると割高に見えやすいです。逆に、SKハイニックスはすでにHBM主導で巨大な利益を出しているため、現在の収益力がどこまで持続するかが焦点です。
② 直近決算の比較
キオクシア:2026年3月期通期
売上収益:2兆3,376億円
前期比:+37.0%
営業利益:8,704億円
前期比:+92.7%
親会社所有者帰属利益:5,545億円
前期比:+103.6%
基本EPS:1,024.07円
ROE:51.9%
営業利益率:37.2%
キオクシアの決算で最も重要なのは、単なる回復ではなく、NAND/SSD価格の上昇とAIデータセンター需要が重なって利益率が急上昇したこと です。
特に会社側は、2026年3月期の増収要因について、生成AIを中心としたデータセンター顧客からの強い需要に伴うASP上昇とビット出荷増を挙げています。
さらに2027年3月期1Q見通しでは、
売上収益:1兆7,500億円
営業利益:1兆2,980億円
親会社所有者帰属利益:8,690億円
という、かなり強烈なガイダンスが示されています。これは、直近のNAND市況が単なる一時回復ではなく、少なくとも短期的には需給逼迫が続く前提に立った数字です。
出典:キオクシアホールディングス「Consolidated Financial Results for the Fiscal Year Ended March 31, 2026」
SKハイニックス:2026年1Q
売上高:52.5763兆ウォン
前年同期比:+198%
営業利益:37.6103兆ウォン
前年同期比:+405%
営業利益率:72%
純利益:40.3459兆ウォン
純利益率:77%
SKハイニックスの数字は、もはや「半導体の好決算」というより、AIメモリ相場の爆発力そのもの です。
同社は、HBM、高容量サーバーDRAM、エンタープライズSSDなど高付加価値製品の販売拡大が業績を押し上げたと説明しています。通常、1Qは季節的に弱くなりやすい時期ですが、AIインフラ投資の拡大が季節性を上回りました。
出典:SK hynix「SK hynix Announces 1Q26 Financial Results」
決算比較の印象
キオクシア:NAND/SSD価格上昇の恩恵が直撃
SKハイニックス:HBM/DRAM/eSSDまで含むAIメモリ需要を総取りに近い形で享受
利益率:SKハイニックスが圧倒的
成長の純度:キオクシアはNAND市況への感応度が高い
事業の広がり:SKハイニックスの方が広い
キオクシアは「NAND一本足の爆発力」、SKハイニックスは「AIメモリ総合力の爆発力」という違いです。
③ 事業構造・中期計画の比較
キオクシアの事業構造
キオクシアは、旧東芝メモリを源流とするフラッシュメモリ企業です。事業は実質的にメモリ単一セグメントで、用途別には以下のように整理されています。
SSD & Storage
Smart Devices
Other
主力はNANDフラッシュとSSDです。特に同社は、3Dフラッシュメモリ「BiCS FLASH」で知られ、データセンター、エンタープライズSSD、スマートフォン、PC、産業機器などに向けて製品を展開しています。
強みは以下です。
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