Amgen(AMGN)vs Gilead Sciences(GILD)— 事業成長力を徹底比較する
【成熟バイオ医薬の二大巨頭 ― 多疾患分散のAmgenか、HIV起点の高収益Gileadか】
記録日:2026年6月30日
株価・時価総額は2026年6月30日UTC時点の市場データを使用。
両社とも米国NASDAQ上場、通貨は米ドル、会計基準はUS GAAP。
両社とも12月決算のため、直近決算は2026年1Qで比較。
本記事は事業環境の整理であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。
筆者の注目ポイント
注目度:Amgen ★★★★☆ / Gilead Sciences ★★★★☆
筆者は今回は ややAmgenに注目 します。
理由は、既存薬の価格・競争圧力を受けながらも、Repatha、EVENITY、TEPEZZA、UPLIZNA、IMDELLTRAなど成長薬の数が多く、さらにMariTideという大型パイプラインが事業の見え方を変える可能性があるためです。
一方でGileadも、HIV領域の収益基盤は非常に強く、Biktarvy、Descovy、lenacapavir関連製品、Trodelvy、Arcellx買収による細胞治療強化など、集中型の強さがあります。
両社とも成熟大型バイオですが、Amgenは「多角化+大型パイプライン」、Gileadは「HIVの深掘り+オンコロジー再構築」という違いがはっきりしています。
① 現在の株価・バリュエーション比較
Amgen(AMGN)
株価:約 360.55ドル
時価総額:約 1,961億ドル
PER:約 25.1倍
2026年会社予想ベースのNon-GAAP EPS中央値で見たFwd PER:約 16.1倍
PBR:約 21.3倍
ROE:年率換算ベースで約 79.2%
配当利回り:年率換算で約 2.8%
自己資本比率:約 9.9%
D/Eレシオ:概算 6.2倍
決算期:12月
会計基準:US GAAP
AmgenはPBRやROEだけを見るとかなり極端に見えます。
これは、Horizon買収後の負債水準や自己資本の薄さが影響しており、単純なPBR比較だけで割安・割高を判断しにくい銘柄です。
Gilead Sciences(GILD)
株価:約 126.33ドル
時価総額:約 1,584億ドル
PER:約 17.2倍
2026年会社予想ベースのFwd PER:買収関連IPR&D費用により、通常の比較には不向き
PBR:約 6.8倍
ROE:年率換算ベースで約 34.5%
配当利回り:年率換算で約 2.6%
自己資本比率:約 41.6%
負債・資本倍率:総負債ベースで概算 1.4倍
決算期:12月
会計基準:US GAAP
Gileadは、2026年通期見通しにArcellx、Ouro、Tubulis関連の買収・研究開発費用が大きく入るため、短期のEPSだけで見ると実力値が見えづらくなっています。
むしろ、HIV製品売上、製品粗利率、フリーキャッシュフローを見た方が事業の底堅さはつかみやすい印象です。
② 直近決算の比較
Amgen:2026年1Q
売上高:86.18億ドル
前年同期比:6%増
製品売上:82.18億ドル
GAAP営業利益:26.66億ドル
GAAP EPS:3.34ドル
Non-GAAP EPS:5.15ドル
フリーキャッシュフロー:14.77億ドル
2026年通期売上見通し:371億〜385億ドル
2026年通期Non-GAAP EPS見通し:21.70〜23.10ドル
出典:Amgen “Q1 2026 Financial Results”(2026年4月30日)
Amgenは、売上の伸び自体は派手ではありませんが、製品数の広がりが特徴です。
Repathaは前年同期比34%増、EVENITYは27%増、TEPEZZAは29%増、UPLIZNAは188%増、IMDELLTRAは219%増と、成長薬が複数あります。
一方でProliaやXGEVA、Enbrelなどは競争・薬価・制度影響を受けており、成熟薬の落ち込みを新製品と成長薬でどう吸収するかが焦点になります。
Gilead Sciences:2026年1Q
売上高:69.60億ドル
前年同期比:4%増
製品売上:69.46億ドル
GAAP営業利益:25.86億ドル
GAAP EPS:1.61ドル
Non-GAAP EPS:2.03ドル
フリーキャッシュフロー:24.27億ドル
2026年通期製品売上見通し:300億〜304億ドル
2026年通期Non-GAAP EPS見通し:マイナス1.05〜マイナス0.65ドル
ただし、EPS見通しの大幅低下は主に買収関連IPR&D費用の影響
出典:Gilead Sciences “Q1 2026 Financial Results”(2026年5月7日)
Gileadは、HIV製品売上が前年同期比10%増の50.3億ドルと引き続き中核です。
Biktarvyは34億ドル、Descovyは8.07億ドルまで伸びており、HIV領域の基盤はかなり強いです。
一方でVekluryは52%減、Cell Therapyは12%減と、コロナ治療薬や細胞治療は逆風もあります。
Trodelvyは37%増の4.02億ドルと伸びており、オンコロジー再構築の中心になりつつあります。
③ 事業構造・中期計画の比較
Amgenの事業構造
Amgenは、がん、心血管、骨・炎症、希少疾患、肥満関連疾患まで幅広く展開する大型バイオ医薬企業です。
代表的な製品・パイプラインは以下です。
Repatha:LDLコレステロール低下薬
Prolia / XGEVA:骨関連領域
EVENITY:骨粗しょう症領域
TEPEZZA:甲状腺眼症
UPLIZNA:希少自己免疫疾患
BLINCYTO、IMDELLTRA、KYPROLIS、Vectibix:オンコロジー
MariTide:肥満・代謝領域の大型候補
Olpasiran:Lp(a)低下を狙う心血管領域の候補
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