ガストでマルチの勧誘受けたらスーツアクターの人生変わった
こんばんはかちまるです。
大阪を拠点にフリーのスーツアクターとして日本各地で活動しながら、フリーランスエンジニアとしても働いています。
今回は番外編。かちまるの人生が変わった頃の話です。
ガストで人生が動いた日
2019年12月、ガストでかちまるの人生は大きく動くことになりました。
あの日がなかったら、僕は今フリーランスエンジニアになっていなかったと思います。
となると、僕が今日までスーツアクターを続けてこられていたかもわかりません。
そんなメモリアルな場所がファミリーレストランでよかったのか、みたいな気もしますが…
人生何事も出会いだなあ、人生に無駄なことなんてないんだなあ、そう思うばかりです。
売れないバンドマンみたいなスーツアクター生活
2019年のかちまるは、フリーのスーツアクターとして独立して1年ちょっとが経ったくらいの頃。
夏の池袋の大型イベントに人生で初めて出演していました。
45連勤というハードコアなステージを経験し、少しだけスーツアクターとしてパワーアップした頃でした。
ただ、ステージがない日ももちろん多く、ステージが無い平日は当時最新の家庭用トレーニング器具SIXPADのトレーニングアドバイザーや受注生産PCの対面販売を契約社員としてこなしながら、リサイクルショップで家具家電の出張買取や配送設置のバイトを掛け持ちでしていました。
いわゆる
売れないバンドマン生活
です。
練習したいけどバイトがある、バイトの合間に稽古と練習をする、そういう暮らしでした。
稼いだバイト代も、練習スタジオ、練習道具、身体のケア、その辺に使っているとあっという間に消えて無くなっていました。
節約するなら稼げばいい!とは言うものの、限界があることは薄々感じている、そんな状況でした。
「紹介したい人がいる」から始まる、マルチ勧誘
ある日、小演劇で何度か共演し仲良くしてもらっていたオカンと同い年の女優、演劇人から連絡が来ました。
今一緒に仕事を教えてもらいながらビジネスパートナーとして活動している人にかちまるを紹介したい、みたいな誘い文句でした。
ピピピッ
同じ中学校を卒業した仲良しグループの中に、同じ感じで化粧品を売り付けてきたヤツがいたことが瞬時に過ぎりました。
これはマルチだ。
行かない方が絶対いいという理性を、怖いもの見たさの好奇心が勝ち、ねじ伏せました。
かちまるくんはニッコニコで待ち合わせ場所に指定されたガストへ向かうのでした。
親の買った軽自動車で。
さらっと始まる商品紹介
ガストに着くと、怪しい笑顔満点の二人ににこやかに迎え入れられます。
見るからにちょっとお金がありそうな、小綺麗にしている30代後半のお兄さん。失礼ながらめっちゃ胡散臭い。笑
普段は忙しいからこういう会に顔を出すことは少ないんだよ!今日はめっちゃラッキーだね!などと教科書通りのアイスブレイクから、「スーツアクターとして身体を酷使する以上、ケアの重要性はわかっているだろうし、いいものを紹介したい」と鮮やかに商品紹介が始まりました。
飲むだけで身体にめっちゃいい!食べるだけでパフォーマスめっちゃ上がる!というドリンクやおかし、ゼリーなどがどんどん紹介されていきます。
「いや!めっちゃ怪しいやろ!」
と思う反面
「もし本当ならちょっと試したいかも?」
と思う自分もいたり。
1本5000円で12本入り!本当なら1本1万円相当だからめっちゃ安い!とか言ってたので全然買えなさそうだったんですけどね。笑
会話がズレていく
興味がそこそこある感じを出しながら、商品紹介に相槌を打っていくと徐々に話題がその商品で得られる効果から、その商品を使った先の人生の話に移っていきます。
ここも教科書通り。
AppleのジョブズもiPhoneの機能ではなく体験を売っていたから成功した、なんてよく言われていますよね。
身体が健康になることが、仕事だけじゃなくプライベートも充実させてくれて、それはすなわち生きることが充実することだ、って言ってました。
飲むだけで健康になるドリンクからどんどん壮大な話に。
「この自分がいいと思ったものを広めることで、自分が大切だと思う周りの人も幸せになっていく。それは身体の面だけじゃなく、お金の面でも。」
「君がこの商品の代理店となって、この商品を広めていくことが周りを幸せにすることになるし、自分にそれがお金として返ってもくる。」
「この仕組みをうまく使いこなすことで、僕みたいになれる」
「行きたいところに行きたい時に行けて、欲しいものはなんでも買える」
「僕は自分で買った高級外車、君は親から借りている軽自動車」
「君は人生そんなもんでいいのか?」
どんどん壮大な話になり、壮絶なかちまるの売れないバンドマンディスになっていました。
「自分のお金でサクッと海外旅行できる?欲しいものすぐに買える?値札見て買い物するのって悲しくない?」
「僕はそんなことしない。思いつきですぐ、どこにだって行ける。そういう経営者たちが友達になるからもっと自分も頑張れると思うし、そういう環境にいることが成長につながっている」
「君のいる環境はそういう成長の機会を逃している」
「せっかく優秀そうなのにそれを逃すなんて馬鹿のすることだ」
なんとか勧誘を逃れ、一旦持ち帰って考えさせてください!ということで解散。
めっちゃお金ある感じ出してたくせにドリンクバーしか奢ってくれなかったのは、今でも不思議です。笑
帰り道のぐるぐる
すごい人だったなぁ、面白かったなぁ。いい経験できたなぁ。
そう思いながらも、心の中にさっきまでされていた煽り文句がこだまします。
「君は人生そんなもんでいいのか?」
親に借りた車のハンドルを握りながら、モヤモヤが消えません。
家に着いてもモヤモヤしていて、気づいたらスマホで「独立 副業 高収入」とアホな文字列を並べて検索していました。
サイトでは結婚相談所のFC、飲食店の経営、フルコミッションの営業、当時まだまだ黎明期だった映像の編集マン、さまざまな職業が自営業でできると紹介されています。そんな中にフリーランスエンジニアもありました。
エンジニアという仕事との因縁
エンジニア。
僕は学生の時、トヨタ系の電装製品メーカーに2週間のインターンに行ってました。製品化前のブレーキランプを光らせる回路を実際に作って、それが仕様通りに動いているか検証する、というのが与えられた仕事でした。机の上で、熱い砂漠でも極寒の寒冷地でも壊れないことを検証します。
ステージで殴ったり殴られたり、1000人が見ている前でお芝居する、みたいなヒリヒリすることは起きません。
仕事といえばステージに立つことだった当時の僕にとって、このエンジニアとしての暮らしは非常に退屈に感じてしまっていました。
だからこそ、エンジニアに戻るなんて微塵も思っていませんでした。
エンジニアに戻る理由
Webエンジニアと呼ばれるWebサイトやシステムを作るエンジニアはPCさえあればどこでも仕事ができます。
フルリモートフルフレックス。
どこからでも仕事ができて、どんな時間でも仕事ができる。
出勤時間や場所の兼ね合いで稽古や練習の時間が奪われてしまうという現状も打破できる気がする。
「販売の仕事である程度食べてはいけるし、別にいいか…」
普段のかちまるならそう思って、この考えを実行に移すことはなかったでしょう。
しかし、今回のかちまるは違います。
「君は人生そんなもんでいいのか?」
この声が聞こえてくる気がするのです。
「いい訳がない!欲しいものが買いたいし、縛られない暮らしがしたい!」
そう叫ぶ心が、かちまるをエンジニアに戻らせていました。
ガストは悪くない
一念発起したかちまるは当時流行っていたエンジニアスクールに30万円支払って通いました。必要だから買ってくださいと言われたMacBookも買いました。どっちも気合いのローン払いです。お金なくて震えますね。笑
半年後、そんなサンクコストを取り戻すべく頑張ったかちまるは縁に恵まれて無事フリーランスエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。
ガストで煽られたことで始まったかちまるのエンジニアライフは気付けば5年以上が経過し、もうすっかり一端のエンジニアです。
高専の先生が今僕がエンジニアしているって聞いたらひっくり返ることでしょう。そのうち報告しに行こうかな。
あ、ガストは何にも悪くないです。
むしろガストのおかげで人生変わったの感謝しています。
ただ、人生を変えたのはドリンクでも外車でもなくて
あの夜、軽自動車のハンドルを握りながら悔しさをごまかさずにちゃんと向き合った自分の方だったのかもしれません。
