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はじまりの作品



独立して初めて発表した作品
「わっぱ」と「やらい」。


どちらも派手な作品ではないけれど。


この二つは、これから切子職人として
どんなものづくりをしていくのか。
その思いを形にした、初心表明のような作品。


江戸切子の世界で学んできたことを土台にしながら、自分自身のものづくりを始める。


そんな気持ちで生まれたのが、
「わっぱ」と「やらい」という二つのパターン。


「わっぱ」は、ガラスという素材そのものの魅力を、できるだけ少ないカットで引き出したいという思いから生まれた。


わっぱ

4本の菱のカットは見た目のアクセントであると同時に、手に持ったときの滑り止めとしての役割も持っている。

ただ棚に飾っておくだけの切子でなくて、
日々の暮らしの中で、自然と手に取ってもらえる切子でありたい。


何より、自分が毎日使いたいと思えるもの。


一方のやらいは、切子を代表する文様の一つである矢来文(やらいもん)を、自分なりのバランスで表現したもの。


やらい

幾何学文様を多用する切子において、
すべての礎となる文様であり、
終わりのない鍛錬のような存在でもある。


小山薫堂さんと対談した時に、人間国宝である日本舞踊の方が、今もなお、亡き師匠の音源を元に稽古をつけているときいて、
自分もそんな初心を忘れずにいたいと思った。

 

伝統への敬意を持ちながらも、そのまま写すのではなく、自分の感覚で線や余白を整えた。

この二つの作品には、それまで学んできたことや、人生の文脈が詰まっている。


でも、この土地に来て、
今やりたいことや、
作ってみたいものが変化している。


時間は足りないし、作るのが遅い課題はあるけども。


切子だからこそ引き出せるガラスの魅力。

分かりやすく、老若男女、誰もが素直に美しいと感じられるもの。

みんなが楽しめる癒し。そして自分が最も癒される時間。そんなものを残して、伝えていきたい。

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