【詩】おうまさんにのったらいい
わたしはおなかがへって、カレーの匂いへ手をのばしていた。わたしは歌いたくて、つっかえつっかえのさえずりに手をのばしていた。わたしは手をつなごうとして、月あかりに手をのばしていた。
宇宙の一角に太陽があるように、緑の外壁の家と金木犀の家のあいだに、じぶんの家があるとおもってた。世界のすべてだとおもってたのはほそい腕の中で、この世の頂上だとおもってたのは背中だった。星ふる夜を描いたステンドグラスとか大樹の木洩れ陽とかスカイスクレイパーとかが、空だとおもってた。
漱石もユーミンもセブンイレブンもあるから、
わたしたちにはなんでもあるような気がする。
三叉路の先にはどっちにも正解があって、最新テクノロジーでどっちの正解も知った気になって、ふるびたそろばんをはじいている。なんかいやっても、既製品の椅子みたいなずれが出る。かんぺきな答えをもとめているじぶんへ。おうまさんにのったらいいんだよ。
ヨポポとロトトが出てくる絵本は、手づくりですかすかだった。ぎちぎちな本を読んでいたらすごいとおもった。でもいがいと、大したことないぎちぎちな本もあって、ずっと手元に置いておきたい絵本もあった。親を人間と思えるのが成人の条件かもしれない。欲望につき動かされるのを見たときに、生活の隙間からあらわれるゴキブリを見たときみたいな、生理的嫌悪をおぼえてしまうと、じぶんは動物ではないとおもえて、まっくろな空洞に手をのばした。照明のスイッチがあるとおもいたくて。
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