176. Digital Twins 対応 Device Driver ~ その14
はじめに
JASA OpenEL ワーキンググループの Digital Twins 対応 Device Driver の活動に進捗があったので、今回は、それに対する概念モデリングからのアップデートを説明します。
実はこの記事、2025年9月22日に公開した
151. Digital Twins 対応 Device Driver ~ その13|Knowledge & Experience
の頃には書き上げていて、その辺りで、Microsoft Fabric の Digital Twin Builder に興味を奪われ、芋づる式にいろんなモデル図が出てきて、そちらの記事を書きまくっているうちに、公開するのを忘れていた記事でした。
OpenEL ワーキンググループの件の標準化活動はその後も粛々と続けられていて、色々進んでいるので、今回からまた連載することにしました。
物理モデルからキャリブレーションへ
この一連のトピックで、組込みのリアルタイム制御システムを制御するアプリケーションの変更なしに、実機環境と箱庭によるシミュレーション環境での動きを同一にするためには、Device Driver として、その制御対象である実デバイス(センサーやモーター等)が、実際の物理環境に・から影響を及ぼす・与えられる際の物理の数理モデルを標準化が必要だと、説明しました。
実際、箱庭の実装で、モーターやバッテリ、重力、空気の流体としての振舞い、照度などの数理モデルが実装されていて、実世界と同様な振舞いが生じるようになっているとのこと。
しかし、OpenEL が対象とするデバイスは多様、かつ、同種のデバイスにおいても製造・販売されているデバイスもまた様々です。それぞれのデバイスについて厳密な数理モデルがそうそう容易に定義できるかというと、これはなかなかに大変な作業であると予想されます。
“OpenEL が対象とするデバイスは多様、かつ、同種のデバイスにおいても製造・販売されているデバイスもまた様々です”について念のため付記しておくことにします。
概念モデリング的には、最初に出てくる“デバイス”とは、以前詳述した概念情報モデルの“DD_DS”の概念インスタンスに相当します。次の“同種のデバイス”とは、“DD_DS”と R12 のリレーションシップに対応し、そのリレーションシップでつながっている“DD_RD”の概念インスタンスが“デバイスもまた様々”のデバイスに相当します。
ということで、理想的には長期間かけてそれぞれのデバイス(DD_DSの概念インスタンス)に対する数理モデルを定義していくことにしても、短期的・かつ実践的な方策も、工学的には必要でしょう。
能書きだけではお腹は膨れませんからね。※ 理学と工学の違いですね
数理モデルはなんのために必要か、という点に立ち返って考えてみます。実デバイスがある環境下で動作している時に、アプリケーションが想定している状態を物理環境に・から、与えている・与えられていることを保証するための手段が数理モデルということ。数理モデルがあれば、制御パラメータ、環境パラメータが数理モデルがあれば算出可能で、それに一致しているか検証可能だということです。
この制御パラメータと環境パラメータの一致のところだけ抜き出してみると、これは、いわゆる、“校正”、あるいは、“キャリブレーション”と呼ばれる作業です。
計器一般に対する校正作業は、ある品質以上を求められる製品には絶対に必要な作業です。いらないならそれは、バッタモンか、アルファレベルの試作品だけ。校正作業は、
一定の環境下で
一定の操作手順で
予め想定されている値に一致しているか
が基本です。ということは、この三つの作業が可能な枠組みを、デバイスドライバー標準に入れ込めば、OK ということ。
概念モデリング的には、これらの概念が包含されるように、概念情報モデルを修正する作業が生じます。
これまで解説してきた Device Driver の概念情報モデルは、デバイスの物理的な数理モデルは一切含めていませんでした。
理由は、そもそもこの概念情報モデルの対象の意味の場は、OpenEL という標準の対象と一致していたからというのが一点。
さらに、数理モデルは、それぞれのデバイス(DD_DS、DD_RDの概念インスタンス)ごとに特化した主題群なので、それは、“Device Driver”という意味の場とは異なる意味の場として扱った方が妥当であるというのが二点目。
なので、数理モデルは、ある具体的なデバイスの種類毎に生じる物理世界を対象とする意味の場として、それぞれモデル化するのが妥当。
ということで、“Device Driver”という意味の場を対象とした概念情報モデルには、数理モデルの主題をいれていなかったということです。
しかし、キャリブレーションを行うとなれば、「じゃぁ、Device Driver 的にキャリブレーションってどういうことなのよ」となり、その観点から欠けている概念要素を追加していかなければならない、ということです。
校正・キャリブレーション?
では、早速、校正・キャリブレーションについて考えてみることにします。
アプリケーションコードは、Device Driver を通じて、デバイスを制御します。その辺りの概念群は、

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