エクイティ調達を先延ばしにするワケ 【VCマネーなし、評価制度なし、採用目標なしのスタートアップ。それでも成長し続けるワケ 】|梅木×畠中 第2回(全5回)
KAENの事業やカルチャーについて、KAENで働くメンバーの対談でお届けする『KAEN.fm』。今回は、株式会社KAEN 副社長の梅木とTAAAN事業部 責任者 畠中が、昨年梅木が書いたnote『VCマネーなし、評価制度なし、採用目標なしのスタートアップ。それでも成長し続けるワケ』について深堀りする全6回のシリーズをお届けします。
スタートアップの“常識”に逆行するような選択をしながらも、なぜKAENは成長を続けられるのか?一見“非合理”に見える選択の裏に隠された、KAEN独自の経営哲学と、社員一人ひとりが「自分ごと」として会社を創り上げる「全員経営」のリアルを、同級生コンビが赤裸々に語ります。
▼前回までのお話はこちら
第1回:非合理かもしれない選択の裏側

本noteではPodcastの内容を読みやすく編集してお届けしています。
(読了目安:5分)
畠中:皆さんこんにちは!KAEN.fm スタートします!本日は、前回に引き続き、私畠中と取締役の梅木、通称梅ちゃんに来ていただいてます。本日もよろしくお願いします!
梅木:よろしくお願いします!
畠中:前回、KAENのユニークネスについて語ろうということで、全6回の企画がスタートしますという話をさせてもらいました。今回はその第1弾ということで、エクイティ調達をテーマに話していければと思います。
梅木:はい、ちょっとヒヤヒヤするテーマです。スタートアップは大体エクイティ調達してますから。
畠中:そうですよね、noteにはエクイティ調達を先延ばしにするって書いてありましたが、これはどういうことなのか、いろいろと深掘りさせてもらえればと思います。
梅木:もちろん、自分たちのお客さんにもスタートアップ企業がたくさんいて、皆さんエクイティ調達をしながらめちゃくちゃ頑張って経営されていると思うので、そことの対比というよりは、自分たちはあくまでどういうスタンスなのかを語れたらと思います。
畠中:はい、あくまで一つのスタートアップの形として、こういうのもあるよみたいなところを今日はお聞きできたらなと思います。早速本題に入っていきますが、noteの中にもあった独立資本スタートアップというのが、今のKAENを指しているのかと思いますが、どういう状態なのかを最初に聞かせてもらっていいですか。
梅木:はい、KAENは創業初期にエンジェル投資家の方から資金調達を少ししている状態なので、実は完全な独立資本ではないんですよね。ただその割合がエンジェル出資なので、ファンドの償還期間とかもないっていう、比較的自由性の高い資本の入れてもらい方っていう状態です。その他は完全に自己資本でという状態なので、そういう意味でやや独立資本スタートアップだよねというのを自分たちで自認してる感じですね。
畠中: なるほど、完全に独立資本というよりは一部エンジェルの方にも出資いただいているということで、独立資本スタートアップという感じなんですね。
梅木:僕は創業から2、3年経った時に2人目として入ったので、この状況に結構びっくりしていて、僕もVC調達をして起業してたようなタイプなので。潤も、前職いたスタートアップとか結構大型の調達したり、そういう経験をしてるから、こういうのは珍しいなって思いませんでした?
畠中: そうですね、当時話を聞いた時に、人数が2、3人しかいないということで、これから大型の調達を見据えてやっていくシードフェーズのスタートアップなのかなって思ってました。だけど、よくよく聞いてみると個人投資家さんに入っていただいて、実際にはかなり事業の裁量も高く、経営の手綱を自分たちで持ちながらやれてるみたいな話をお聞きした時に、こういう会社もあるんだっていうのは正直かなりびっくりしましたね。
梅木: 結局今の7期目に至るまでまだVCからのエクイティ調達とかはしたことないですからね。
畠中: これが今のKAENのある意味ユニークな状態とか、ちょっと他の一般的なスタートアップと違うっていう部分の土台になっているみたいなところもあるかなと思ってるんですけど、実際こういう状態を維持し続けてきた7年間の中で良かったこととか、その辺もちょっと聞いてみたいなと思ったんですけど、どうですか?
梅木: 良かったことは、例えば会社がこういうイデオロギーであるみたいなのを色々悩みながらも変化していきながらもっていうのが普通あると思うんですけど、それが結構自由度高く考えやすいっていう。多分エンジェル投資やシード期の出資だと起業家に張るからピボットは当たり前。そういう規模感の会社でなくなってきている今でも、何度でも方向性とか会社のあり方を変えられるっていうのは、多分、独立資本でやっている良さだなと思います。
あとは、例えばKAENで言うと社員が20人弱ぐらいですけが、そういう中で、じゃあ成長のためには当然めちゃくちゃ人を入れなきゃいけないよね、とか。従業員の給料はこれぐらいに抑えてとか、投資の仕方ってこうして…、みたいな目標設定やべき論も含めて、成長に向けた当たり前みたいなのをやらなきゃいけないと思うんです。でもその辺も、ロングスパンで見たときに自分たちにとってはこれが正しいよねということを主張しやすい。そこは良さかなと、思いますね。
畠中:あー、なるほど。物差しというか、何をもってこの選択を取るのかとか、こういう戦略にしていくのかみたいなことすら、ある程度こう自分たちの中で(最適な選択を決められる)。時間軸も含めて、結構自由に考えられるんですね。
梅木:まさに、その時間軸について、今はメルカリとかが当たって一周したタイミングで、その後にわーっと盛り上がったエクイティマーケットみたいなところが、一周して多分今がファンド満期を迎えつつあるようなファンドってめっちゃ多いと思うんですよ。
その中で、早く上がろうとか、今すぐ成長をここぐらいまでしてほしいとか、そういう話ってもう無限に聞くじゃないですか。そういう事に対して、「そこの時間軸ではなく、短中期的にではなく、長期に見て偉大な会社を目指したい。こういう方向で思ってるから」ってというのは、良くも悪くも自分たちで決められやすいっていうのがありますね。
畠中:なるほど。ありがとうございます。逆にちょっと裏返しじゃないんですけど、たらればですけど、もし(エクイティ調達を)していた場合にこういうことができてたなとか、実際にしてなかったからこそできてなかったこととか、なんかその辺もちょっと聞いてみたいなと思ったんですけど。
梅木:(調達)してたら、良い意味での強制力が働くなと思いますね。時限的にいろんな戦略を決めやすくなる。受験と同じだと思います。3年後に東大に受からなきゃいけないから、じゃあ1年生の今は多分全教科これぐらい頑張っとかなきゃいけないみたいな。
畠中: なるほど。
梅木: そういうのは良い意味で決めやすいと思いますね。あと本当に実利として燃料みたいな意味でめちゃくちゃお金を投下して、人だったりマーケだったりソフトウェア開発に対してのコストが踏めるから成長角度が単純に急になる効果はあると思いますね。
畠中: なるほど。
梅木: それがないので、デメリットで言うと、そういう急成長とかを自分たち自身で志向していかなきゃいけない。自分たち自身で自制したり、自分たち自身で成長欲求みたいなのを常にかき立て続けるみたいな努力は結構必要だなっていうのがありますね。
畠中:まあ確かにそうですよね。別に3年後に東大目指してもいいし、5年後でも10年後でもいいですよみたいな状態で。
梅木:3年後に東大目指してもいいし、10年後にハーバード行ってもいいじゃないですか。
畠中:確かに確かに。
梅木:その価値観、角度ってもう決められちゃうから。
畠中: 確かに。
梅木:なので、そういう両面を理解しつつ、一旦この独立資本スタートアップという状態を今は維持しながら走っているという状態ですかね。
畠中: じゃあその中で、記事にもありましたけども、主に資金調達の手段として銀行融資というところをメインにやっている状態かなと思います。このあたりの銀行さんとの向き合い方も実際どんな感じなのか聞いてみたいなと思うんですけども。
梅木: 何行かお付き合いしている銀行さんがあるんですけど、KAENを好いてくれているような銀行の担当者さんがPodcastを聞いてくれているらしくて。
畠中: そうなんですね。これはちょっと痺れる内容になりそうです(笑)
梅木: 聞いていただいて、正直にいろいろ話せたらと思いますが、「TAAAN」という売上や利益を作れる事業のこの利益と、銀行さんからの融資調達によって新しいことに投資をしたり、既存事業に再投資したり、そもそも給料をもっと上げたりとか、そういうことをやっています。ただ普通のスタートアップは基本的にデフォルトで債務超過になりがちだったり、また基本赤字だったりっていうのがあると思うので、そういう会社がスタートアップには多い中でいうと特殊な資金調達手段をちゃんと頑張っている感じはありますよね。
畠中: 確かにそうですね。
梅木: だからやっぱりなるべく僕らも急成長を目指していく中で、投資はもちろんしていきたい。ただ一定の銀行側のリスクみたいなところを減らしていく努力もしていかなきゃいけない。そういうところはJカーブを描くスタートアップの方々が直面しているハードシングスとちょっと違う毛色の部分はありますね。
畠中: そうですね、基本的にスタートアップ全体的に一般論としては、エクイティ調達でめちゃくちゃ資本を高めてポジティブな状態にして、それが担保になって銀行から融資をしてもらっても、最悪まずい状態でもそこからお金を返してもらえるよねっていう、そういうお約束の中で銀行から大型で合わせて調達するみたいな、そういうのが普通だと思うんですよね。
梅木: うちは自己資本も純資産も薄いし、ギリギリ黒字みたいな状態だった時期から、結構銀行さんに対してお約束している成長とかキープするライン、純資産これだけ残します、こういう資金使途に対してちゃんと使います、こういう跳ね返りを期待して頑張ります、というハードシングスをちゃんとコミュニケーションしながらやってます。実は失敗したことも結構あって。
畠中:そうなんですね。
梅木:例えば事業がうまく回ってたりすると、貸し所がない時もあるんですよね。最初はそういうのも知らなくて、うちでビジネスモデルの話を簡単にすると、営業代行会社さんがある月に頑張って動かれて、それで作った商談をSaaSメーカーさんとか、事業会社さんがその商談を買うっていう、そういうモデルじゃないですか。そのリザルトを少しいただくっていうモデルだと思うんですけど、もともと僕が入社した時には、売掛金・買掛金がどちらも月末に入出金があったんです。顧客からの支払いが遅れると、パートナーへの支払いができなくなってしまうというギリギリの戦いを結構ずっとしてた。これって逆転しちゃうとまずいじゃないですか。
畠中:そうですね。
梅木:でもこれって結構、商社さんとかの構造は近くて。仕入れがあって、お金になるのに時間がかかるから、繋ぎの融資とか活発にやるんですけど、それと似た構造だったんです。この構造をある意味キープしたままでもよかったんですけど、入出金日を調整したんです。そしたら、余裕が出るようになって。
畠中:なるほど。
梅木:結果、余裕が出ちゃうと貸しづらいっていう(笑)
畠中:(貸すことに)必然性が必要、銀行さんからしたら。
梅木: 困ってる方が説明がしやすいのもあるようで、銀行さんとの面談で、自信を持ってそういう感じで改善しました、キリッ!みたいな感じで言うと、「ああ、そうだったんですね…」みたいな反応も多くて(笑)
畠中: はいはい(笑)
梅木:という感じだったので、なんかここはもっとやりようあったなは、いろんな意味で思います。
畠中:なるほどですね。
梅木:あとは、ちゃんとその資金使途を説明して、それ通りに使うのは、ある種スタートアップは難しくもあると思うんです。だけどそれでいて、ちゃんと利益を出しつつ、急成長も狙うみたいな。これ結構相反するじゃないですか。
畠中:そうですね。
梅木:赤字を出したら困るんだけど、赤字を出すぐらい踏まないと成長しないみたいな。
畠中:はいはいはい。
梅木:そこのジレンマみたいなのがずっとあって。
畠中:なるほどなるほど。
梅木:でもそれも結構一個の論点になり得て、もっと大きなところで言うと、銀行さんから借り続けたり、より付き合いを太くしていくみたいなのも含めてとかですね。借入先もメインバンクや地銀で分けるとか、そういうのも含めていろいろちょっと学びながらですけど、やってきた過去があります。
畠中: なるほど。そういうちょっとうまくいきすぎても…みたいなところもあるし、そのギリギリの僕らの中でも投資していく中でも一定ラインを保たないといけないよねっていうところのせめぎ合いも含めて、すごいちょっとまた経路の変わったハードシングスをいろいろと経験させていただいているっていう感じですね。
梅木:そうですね。
畠中:ありがとうございます。この辺ももっと話したいことがいろいろあるかと思うんですけど、少し僕らの中でもこういう制約がある中でどうやって会社を伸ばしていくかみたいな話を流れで聞いていけたらなと思いまして。
この辺は日々悩んだりしているところかなと思うんですが、どういう風にこのファイナンスの前提を踏まえて、成長戦略を考えているのかとか、どういう視点を持って考えるのかを聞いてみたいです。
梅木: そうですね。最上段にあるのはずっと成長し続ける。それ自体がやっぱり一番いいこと。前回のPodcastでも言いましたけど、永続するというよりは永続的に成長し続けるっていう。それがまず重要だよねと思っている中で、そのための事業っていうのはすごいJカーブを掘るというよりは、多分今そういうのが主流になりつつあると思うんですけど、いきなり利益を出しやすいかつ成長余地がすごく大きいみたいなのを選ぶ。そういう事業を選ぶと、非連続の利益が出やすいから資金調達手段が選べるようになる。うちは銀行融資調達と自分たちの手金というか利益で回していく。例えば競合が2、3億円調達しましたっていうリリースが出た時に焦るというよりは、うちも銀行さんとか自己資金で数億円利益を作れてるから頑張ろうみたいな。そういうスタンスでやっていく。この辺は会社としてやりたい姿、事業構造、資金調達の手段が全部セットであるというのが重要だと思っています。
だから、本当にいい仲間たちとずっと成長し続けて、ワクワクしながら会社の制度を変えていけるっていう、ここが根本にあって、その前提の上で、どういうファイナンス戦略が必要なのか、それを実現するための事業が必要なのかということ。ある意味制約ですよね。これがまずベースの制約として、じゃあその事業を伸ばしていくための、どうやって考えていくべきなのかが全て決まってくるというか。
畠中: そうですよね。これは採用にまで繋がってくる話で。投資する場所、人やマーケティングとか、人をたくさん増やせば伸びるけど、そこの人件費を抑える必要がある。そうなると第二新卒や新卒を採用するよねみたいな話にまで繋がると思うんですね。
梅木:でも今の僕たちの軸でいうと、じゃあどっちかというと、その利益性の高く伸びやすい事業を作れたり維持して伸ばせる、もうちょいマチュアな、年収が高くてもいいから、そういう人と一緒にやった方が本質的かもしれないとか、そういう方向にまで繋がっていくと思っています。
畠中:序章であった会社のイデオロギーみたいなところが本当に軸となって、各方面の戦略がガチッと決まっていく。その中で自己採算をしていくみたいなところが、本当にKAENのユニークさの根幹にあるのかなって感じましたね。
梅木:結構大変そうではありますよね、全体的に世の中のスタートアップベンチャーシーン。例えばM&Aで一緒になりたい会社、イケてるスタートアップベンチャーが多くて。アプローチしてみると、VCがむちゃくちゃ入っていて、バリエーション落とせなくて、出口としても上場を目指せなくて、足踏みしているという会社さんもよく見るので、難しい時代だなって思いますね。
畠中:そんな中でも資金調達という観点でいうと、上場するというのも一つの手段かなと思うんですけど、KAENにとっての上場っていうのは、現時点ではどんな風に捉えているのかを最後に聞いてみたいなと。
梅木:今のKAENは、バックキャストで「n年後に上場」みたいなのが言えない状況ではあります。あえて今は言わないようにもしてるんですが、ただ、いつでも上がれる状態(を作る)、それは当然毎年の成長率が求められますし、事業のTAMがどれくらい大きいかみたいなのもあるしというのを常に意識しながらやり続けるというのは意識してますね。逆に言うと、今自分たちの融資調達と利益でチャレンジできる範囲を超えるようなチャレンジが見えてきたときには、VC調達そのものが現実的にあり得ると思っていて、もしくは上場したときにさらにお金を作るみたいなのこともあり得ると思うので、そんな感じで今柔軟に進んでますね。
畠中:なるほど。上場もそうですし、VC調達もそうですし、今回は一般論というよりは、KAENとしてこのテーマを見たときにどう捉えているかっていう話を聞きできたのかなと思いました。聞いていただいている方々にKAENのユニークネスの根幹みたいなところが今日は伝わっていれば嬉しいなと思います。
梅木: いつか潤さんも前職とかいろんな会社でVC調達めちゃくちゃしてた経験とかもね。
畠中: そうですね。その辺もぜひ語りたいですね。
それでは今回のKAEN.fmはこの辺で終わりたいと思います。また次回も別のテーマで話ができればなと思っています。
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梅木: ありがとうございました!
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