独身女による読書感想「コンビニ人間」
読みやすい小説はないかと、
音楽先輩のcobyさんに教えてもらった「コンビニ人間」をオーディブルで聴いてみた。
2016年の第155回芥川賞受賞作品である。
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計170万部突破&40カ国語に翻訳(2024年5月現在)。
米国〈ニューヨーカー〉誌のベストブック2018に選ばれるなど、
世界各国で読まれている話題作。
解説・中村文則
物事をそのまま受け取り、行動する。
彼女に「普通」や「常識」は通用しない。
子どものとき公園で小鳥が死んでいたのを見つけ、
他の子がかわいそうと口々に言う中、
彼女はその小鳥を母の元に持っていき、
「焼き鳥にして食べよう」
と言う。
父が焼き鳥が好きだから、死んでいるのだしそうした方がいいと彼女は考えたからだ。
学校で男の子のけんかが始まり、
誰かが「止めて」と言ったので、
彼女は用具入れに入っていたスコップで男の子を殴った。
これが一番早くけんかを止める方法だと考えたからだ。
もちろん教室に悲鳴が上がり、学校では大問題になった。
彼女は何が悪いのかさっぱりわからない。
それから彼女は、自分はみんなとは違う、普通ではないと知り、
妹から教えてもらいながら社会に適合するような行動をとるようになった。
そんな彼女にとって、
マニュアル通りにやっておけば社会の歯車として生きていける、
コンビニ店員がぴったりハマり、18年も務めることとなる。
そういった性格の主人公が見る社会が描かれていく。
いわゆる「普通」「一般的」とされている登場人物の言動は、
彼女の視点だと変わった人のように映る。
コンビニの同僚や学生時代の友人たち。
嫌なやつらだな、と思った。
作品で一番くらったのは、主人公への友人夫からの一言だった。
「36歳で独身、定職についていないなんてやばい」
みたいな言葉だった。
言葉に刺された気がした。
30代独身女性への世間からの目は冷たい。
どんどんと寒さは増していく。
39歳独身シンガーソングライターへも、そのような社会の目はあるのだろうか。
主人公はそんな社会からの目が面倒になり、
同僚の白羽さん(こいつがひねくれた嫌な奴なの)と同棲をしてみたりする。
「したい」からではなく「普通するから」「したほうが楽だから」という理由で結婚・出産する人もいるのではないだろうか。
「いつ結婚するの?子どもは?」
「急がないと売れ残っちゃうよ」←実際言われた、ひどくない?
そう言った面倒な言葉を浴びせられなくなるから。
親や周りに言われてしぶしぶの人もいれば、
刷り込みのようにいつのまにか自分の本心と思い込んでしまっている人もいるのではないか。
それで今幸せならいいのだけれど。
そういえば、今回の読み手は大久保佳代子だった。
大久保さんの下ネタ満載のポッドキャストを聴いているので、
いつか「はぬ〜ん」とか言い出すのではないかとハラハラしたが、あっという間に読了した。
かなり読みやすいのに、気づき、考えさせられる作品だった。
普通とは、当たり前とは、なんだろう。
マイノリティだって堂々と生きたいものだ。
ああ、人間は面倒。
猫になって愛されたい。
