美術館って何を見ればいいの?アート鑑賞の”私的”6つの観点
はじめに
「美術館って静かすぎて落ち着かない」 「正直、よくわからないまま通り過ぎちゃう」 「どうせアートの知識ないし…って思ってしまう」 そんな風に感じたこと、ありませんか?
私自身、美術館が好きなのに、「なんとなく見て終わってしまったな…」とモヤモヤしたことが何度もありました。ということで、こういう観点で見たら面白かったというのをあくまで私目線ではありますがまとめてみたいと思います。ピンとくるものがひとつでもあれば嬉しいです。
大前提、好きに見ていいんですけどね。でも、視点をひとつ持つだけで、世界が広がるとも思います。視点をひとつでも持ってみると、ただ“鑑賞する”から“対話する”に変わっていく。その瞬間がとても面白いですよ!!
1. 歴史や社会の背景を想像してみる
その作品が描かれた時代には、何が起きていたんだろう?社会の価値観や政治、科学技術の進歩、流行、戦争――そういった文脈を知ることで、作品の意味や狙いが立体的に見えてきます。
例1)モネの『印象・日の出』は、産業革命後のスモッグに包まれた港。美しい朝焼けに見えるけど、実は文明社会の混沌の象徴だったりもします。と考えると作品のイメージが変わる、とか。

クロード・モネ/1872年/マルモッタン・モネ美術館、パリ
例2)岡本太郎の『明日の神話』は、戦後の原爆やエネルギー問題をテーマにしていて、強烈な色彩とダイナミズムに社会へのメッセージが込められています。彼自身も第二次世界大戦中に従軍しているからそういうテーマが多いのか、とか。
2. 作者の心情や人生を想像してみる
この人は、どんな経験をして、何を考えて、どんな気持ちでこの絵を描いたんだろう?画家の生きた人生を重ねると、絵が“感情の記録”に見えてくることがあります。記録に残っていなくても、たとえば「もしかしたらこの時恋をしていたのかも?!」とか考えるとちょっと楽しくなります(笑)
例3)エドヴァルド・ムンクの『叫び』は、彼自身の不安や孤独感が強く表現されている、とか。

例4)草間彌生の無数の水玉模様は、彼女自身の幻覚体験と結びついている、とか。
3. 技法や画材に注目してみる
どうやってこの絵は描かれているんだろう?どんな道具?どんな筆跡?意図的な“荒さ”や“滲み”に、作家の身体感覚や時間が宿っています。細いペンで繊細な線を使った絵とか見ると「この人絶対几帳面だったんだろうな」とか考えちゃったりして、技法から作者について想像したりするのも面白いです。
例5) 水墨画では「余白」や「滲み」がむしろ表現の中心だったりします。見えないものをどう描くか、という逆説的な面白さがあります。
例6)現代アートのインスタレーション作品は、素材そのものがメッセージ(鏡、ガラス、食品、音など)であり、手法の自由さ自体が鑑賞の対象になります。
4. 構図や視線の流れを意識してみる
画面のどこに最初に目がいった?それってたぶん意図された“導線”なんです。左右非対称、斜線構図、三角構図など、構図の技法には人の心理を操る工夫がいっぱいあります。マーケティング、広告、などお仕事でやっている人はこんな観点も面白いかもしれません。
例7) レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』は中央にキリスト、その視線と手の動きで視点が集まるように計算されています。

例8)村上隆の作品は、あえて視点がどこにも定まらないようにして、情報過多な現代社会そのものを反映しているんだそう!!
5. 自分の感情に注目してみる
「これ、なんか好き」「これはちょっとしんどいかも」そんな感情が湧いたら、ぜひ”なぜ”そう感じたか考えてみてください。自分の感性や価値観に向き合うきっかけになると思います。
たとえば、「この色、なんでこんなに惹かれるんだろう?」と感じた作品、自分の好きな風景や思い出と繋がっているかもしれません!。
6. これは何を“守りたかった”作品か?と問いかけてみる
「この作品で、作家は何を残したかったんだろう?」「何を、失いたくなかったんだろう?」「何を伝えたかったんだろう」と想像してみるのも私は好きです!
「1. 歴史や社会の背景を想像してみる」とも重なりそうですが、宗教画や絵本の挿絵など道具として何かしらの役割を持っている作品はそのあたりも知ると面白いですね。
おわりに
アート鑑賞に正解はありません。でも、少しだけ視点を増やすことで、ぐっと面白くなるなと感じます。「なんか好き」「なんかよくわからないけど気になる」――その直感の先に、思わぬ気づきがあったりします。ぜひ次に美術館に行くときは、ここで紹介したどれか1つでも思い出してみてください。アートとの距離が、きっと少しだけ近づくはず!!!
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