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4-15.ABB RoboticsのフィジカルAI戦略を読む

ABB Roboticsは産業ロボット時代をどう再定義するか――欧州FA、AI制御、次世代工場の実力

欧米フィジカルAI 2026 完全版 第15回

シリーズ:欧米フィジカルAI 2026 完全版

評価軸:AI部門の有名度 / 資本力 / 技術力 / 収益度 / AI部門価値


読む前に|ABB Roboticsは、AI時代に「売却される成熟企業」ではなく、巨大なPhysical AI配備基盤である

2026年のABB Roboticsを見る時、SoftBankへの売却だけを見ると本質を見失います。世界中の工場にあるロボット、RobotStudio、OmniCore、SIer網こそが、Physical AIを現実へ広げる巨大な入口です。

ただし、この局面には一つ、見落としてはならない矛盾があります。

ABB Roboticsは、NVIDIAとの提携を深めています。RobotStudio HyperRealityはNVIDIA Omniverseライブラリを統合し、Physical AIのSim-to-Realを縮める構想です。

一方、買収主体であるSoftBank GroupはArm、Graphcore、AmpereなどAI計算資産への投資を広げています。ただし、これを「NVIDIAとの単純な対立」と読むのは正確ではありません。

実際、2026年7月にはSoftBank Corp.が安川電機と、NVIDIAの協力のもとGPUクラウド、Cosmos、Omniverseを使ったPhysical AI実証を発表しました。SoftBank陣営は自社計算資産を育てながら、必要な場所ではNVIDIAとも協業しています。

したがってABB Robotics買収後の焦点は『NVIDIAを外すか』ではなく、ABBの既存NVIDIA連携とSoftBankの計算・投資資産をどう共存させるかです。


まず結論――ABBの価値は「新しいロボットを発明すること」より「既存工場をAI化できること」にある

NVIDIA、PSYONIC、Roche、Visual SLAMなどの更新は、固定自動化から適応型ロボットへの転換を示します。SoftBank売却は2026年8月7日時点でクロージング待ちです。

そして本シリーズの読者にとって、ABB Roboticsは第6回と地続きです。

第6回で扱ったSkild AIは、2026年3月にABB Roboticsとの提携を発表しました。そのSkild AIのSeries Cを主導したのが、ソフトバンクです。

知能を作る会社と、身体を持つ会社が、同じ株主のもとへ集まろうとしています。


目次

  1. 第1章 ABB Roboticsはなぜ今も重要なのか

  2. 第2章 5軸評価――成熟産業とPhysical AIの接点

  3. 第3章 ABB Roboticsの歴史と産業基盤

  4. 第4章 IRB・GoFa・YuMi・PoWaの製品層

  5. 第5章 RobotStudioとデジタルツイン

  6. 第6章 OmniCoreと共通制御基盤

  7. 第7章 NVIDIA連携とPhysical AI

  8. 第8章 HyperRealityとSim-to-Real

  9. 第9章 PSYONICと人間データによる器用さ

  10. 第10章 Rocheとラボ自動化

  11. 第11章 Visual SLAM AMRと自律フォークリフト

  12. 第12章 PickMaster Liteと現場導入速度

  13. 第13章 収益規模――2024年23億ドル事業

  14. 第14章 SoftBankへの53.75億ドル売却

  15. 第15章 なぜABBはRoboticsを手放すのか

  16. 第16章 SoftBank傘下で何が変わるか

  17. 第17章 日本企業への示唆と2030年シナリオ

  18. 第18章 結論――ABB Roboticsは産業ロボット時代をどう再定義するか


第1章 ABB Roboticsはなぜ今も重要なのか

ABB Roboticsは、ヒューマノイドの新興企業とは立ち位置が違います。

世界中の自動車、電子機器、物流、食品、研究室で、既に産業ロボットを長年動かしてきた会社です。

Physical AI時代の焦点は、その巨大な設置ベースにAIをどう追加するかです。

2026年にはNVIDIAとのPhysical AI連携、PSYONICとの器用操作、Rocheとのラボ自動化、Visual SLAM自律フォークリフトなどを相次いで発表しました。

そして同時に、ABBはRobotics事業をSoftBankへ売却する契約を締結済みです。2026年のABB Roboticsは、技術転換と所有者転換が同時に起きる極めて重要な局面にあります。

「設置ベース」という見えない資産

本シリーズで扱ってきたヒューマノイド企業の稼働台数を並べると、この差が分かります。

第8回のAgility Digitは、第三者推計で2026年前半に75台前後。

第9回のApptronik Apolloは、Mercedes-Benzで一桁台。

第10回の1X NEOは、顧客への納品が確認されていません。

第5回のFigure 03は、報道で1,000台規模とされます。

ABB Roboticsは、数十年にわたり世界中の工場へロボットを納めてきました。設置ベースは桁が違います。

そしてRobotStudioは、世界でおよそ6万人のエンジニアが使うとされます。

Physical AIが実際に世界へ広がる経路は、新しく作られる数千台だけでなく、ABBが長年築いた巨大な既存設置ベースの側にもあるかもしれません。

「AIを載せる先」を持つ側の強み

第6回のSkild AI、第7回のPhysical Intelligenceは、優れた知能を作りました。

しかし、その知能はどこかの身体に載らなければ働きません。

第6回で見たとおり、Skild AIがABB Robotics、Universal Robots、MiRとの提携を選んだのは、この一点によります。専用ヒューマノイドを作るより、既存の設置台数へ入る方が速い。

ABB Roboticsから見れば、これは需要側の変化です。かつては制御プログラムを外販するSIerが顧客でした。今は基盤モデル企業が「載せさせてくれ」と来る。

配備基盤を持つ企業の交渉力は、AI時代に下がるどころか上がっています。


第2章 5軸評価――成熟産業とPhysical AIの接点

【AI部門の有名度】9.3 / 10
【資本力】9.7 / 10
【技術力】9.6 / 10
【収益度】9.1 / 10
【AI部門価値】9.4 / 10
【総合評価】9.4 / 10

ABB Roboticsは新興企業のような高成長評価ではなく、既存顧客、サービス、製造拠点、SIer網を持つことが強みです。

2024年売上は約23億ドル、Operational EBITA marginは12.1%でした。

一方、AIモデル競争ではNVIDIA、Skild AI、Physical Intelligenceなど外部技術と組む必要があります。

成熟したハードウェア基盤にPhysical AIを載せられるかが、企業価値を左右します。

収益度9.1が示す事実

本シリーズで、実際に利益を出している企業は多くありません。

第7回のPhysical Intelligenceは価格を設定していません。第10回の1Xは初出荷前です。第14回のAuroraは売上200万ドルに対し営業損失2億6,600万ドル。第13回のMobileyeは上期に38億ドル規模の減損を計上しました。

ABB Roboticsは、2024年に売上23億ドル、Operational EBITAマージン12.1%です。

利益が出ています。

これがフィジカルAIの現実です。最も稼いでいるのは、最も新しい技術を持つ企業ではなく、最も長く工場に居る企業です。

ただし成長は止まっていた

一方、売却の背景には別の事実があります。

ABBが2025年4月の決算説明でRobotics部門の分離を表明した際、2023年から2025年初頭にかけて受注と売上が大きく落ち込んでいたことが指摘されています。

2024年の売上23億ドルは、ABB全社の約7%にすぎません。

つまりABB Roboticsは、利益は出るが成長が鈍化した事業でした。

第15章で述べるとおり、これが手放す判断の背景にあります。

技術力9.6の内訳

技術力の評価が高い理由は、AIモデルではありません。

制御です。

ミリ秒単位のサーボ制御、安全停止、速度制限、故障時の挙動。これらを機能安全規格に適合する形で実装し、10年以上動かし続ける能力。

第8回で見たAgilityが、NVIDIA Halosという外部の安全プラットフォームを導入して協働安全を実現しようとしているのに対し、ABBはこの層を数十年かけて自社で作ってきました。

AIモデルは買えます。制御と安全の実績は、買えません。


第3章 ABB Roboticsの歴史と産業基盤

ABBのロボティクスは産業ロボット黎明期から続く名門です。

溶接、塗装、組立、パレタイジング、マシンテンディング、食品、医薬、物流まで広い用途を持ちます。

新興企業との最大の差は、ロボット本体だけでなく、世界中の販売・保守・SIerエコシステムを持つことです。

工場ではAI性能より、10年間止まらず、部品が届き、安全規格を満たし、エンジニアが修理できることが重要です。

ABBはこの「産業の地味な信頼性」をPhysical AIへ持ち込める企業です。

「四強」の一角として

産業用ロボットの世界は長く、四社が中心でした。日本のFANUC、安川電機、そしてスイスのABB、ドイツのKUKAです。

このうちKUKAは2016年に中国の美的集団に買収されました。

そして2025年、ABBがロボティクス事業をソフトバンクへ売却します。

欧州の二社が、いずれも域外の資本に移ることになります。

第17章で述べるとおり、これは日本のFANUC、安川電機にとって競争環境の変化を意味します。

従業員約7,000人という規模

ABB Roboticsの従業員は約7,000人です。

この数字を、本シリーズの他社と比べておきます。

第9回のApptronikは2026年2月時点で約300人。第10回の1XはHayward工場で200人超。第7回のPhysical Intelligenceは約50人規模と報じられます。

一桁から二桁の差があります。

そしてこの7,000人の多くは、AI研究者ではありません。応用エンジニア、サービス技術者、営業、品質保証、供給網の担当者です。

Physical AIが工場へ入るとき、必要になるのはまさにこの人たちです。

モデルを作る人より、モデルを現場へ落とし込み、動かし続ける人の方が、はるかに多く要ります。

地域生産という強み

ABB Roboticsは、欧州、アジア、米州に生産拠点を持ちます。

これはlocal-for-local、つまり売る地域で作るという体制です。

2026年の環境では、この構造が価値を持ちます。関税、輸出規制、供給網の分断が現実の問題になっているからです。

第8回で見たAgilityが部品の約75%を米国内から調達しているのと、動機は共通します。


第4章 IRB・GoFa・YuMi・PoWaの製品層

ABBは大型産業ロボットIRBシリーズ、協働ロボットGoFa、双腕YuMi、2026年発表の高速PoWa cobotなど、多様な身体を持ちます。

これは基盤モデル時代に重要です。

一つのAIが、溶接用大型アーム、小型協働ロボット、双腕、AMRへSkillを転移できれば、ABBの設置ベースそのものが学習・販売チャネルになります。

一方、各機体の自由度、速度、可搬、制御周期、安全要求は異なります。

「同じAIを入れる」だけではなく、共通知能と用途別制御を分離する設計が必要です。

身体の多様性という試験場

第6回のSkild AIは、10万種類の仮想身体でモデルを訓練したと主張しました。omni-bodied、つまり身体形状の事前知識なしに多様な機体を制御するという主張です。

第9回で見たGemini Robotics 2は、同一のモデルチェックポイントで三つの構成を制御しました。SharpaWaveハンドのApollo 2、InspireハンドのApollo 2、そしてRobotiqグリッパーのFranka Duoです。

三構成です。

ABB Roboticsの製品群は、可搬数キロから数百キロ、自由度も制御周期も安全要求も違うロボットが数十種類あります。

基盤モデルの身体非依存性を試すなら、これ以上の試験場はありません。

そして、その試験に合格したモデルは、既存の大規模な設置ベースへ段階的に展開できる可能性があります。

YuMiという先駆

双腕協働ロボットYuMiは、2015年に発表されました。

人間と同じ空間で、柵なしに働けることを前提とした設計です。丸みを帯びた外装、パッド、低い可搬重量。人にぶつかっても危険が少ないように作られています。

第8回で見たとおり、2026年のヒューマノイドはまだ柵の中にいます。Digit v5が掲げる協働安全は、その柵を外すための設計でした。

ABBは、10年以上前に協働の問題を解いています。

ただし、解き方が違います。ヒューマノイドは知能で安全を担保しようとし、YuMiは能力を制限することで安全を確保しました。

力が弱く、遅ければ、危険は小さい。地味ですが、確実な方法です。


第5章 RobotStudioとデジタルツイン

ABB Roboticsのソフトウェア資産で最重要なのがRobotStudioです。

実機を止めずに、仮想空間でロボットセルを設計、プログラム、検証できます。

Physical AIでは、RobotStudioが単なるオフラインティーチングから、学習・合成データ・安全評価の基盤へ変わります。

AIモデルが新しい作業を学ぶ際、現実の工場で何万回も失敗させることはできません。

デジタルツイン上で大量に試し、実機へ転移する。ABBの既存シミュレーション資産は、生成AI時代に再評価されます。

6万人のエンジニアという配布網

RobotStudioは、世界でおよそ6万人のエンジニアが使うとされます。

この数字が持つ意味は、単なる利用者数ではありません。

ソフトウェアの標準は、慣れた人の数で決まります。新しいツールが技術的に優れていても、6万人が学び直すコストは巨大です。

第1回で見たNVIDIAのIsaac Sim、Omniverseが産業界へ広がろうとするとき、最も効率的な経路は、既存のRobotStudioの中に入ることです。

第8章で見るHyperRealityは、まさにその形をとります。

「止めずに試せる」ことの経済価値

工場のラインを止めるコストは、分単位で計算されます。

自動車工場なら、1分の停止が数千ドルから数万ドルに相当します。

だからロボットのプログラム変更は、休日や夜間に行われます。試行錯誤の回数が限られます。

オフラインでシミュレートできれば、この制約が消えます。

そしてPhysical AIの時代には、この価値がさらに上がります。

機械学習は、失敗から学びます。第7回で見たPhysical IntelligenceのRECAPは、失敗と人間の修正をデータにする仕組みでした。

しかし本物の工場で失敗させることはできません。

失敗できる場所が要る。それがデジタルツインです。


第6章 OmniCoreと共通制御基盤

OmniCoreはABBの次世代ロボット制御基盤です。

異なるロボットを共通アーキテクチャで制御し、モーション、セキュリティ、安全、接続性を統合します。

Physical AIが高位の「何をするか」を決めても、実機ではミリ秒単位のサーボ制御、安全停止、速度制限が必要です。

AIモデルと産業制御の間をつなぐ層がOmniCoreです。

この意味で、ABBの競争力はVLAモデルそのものだけでなく、AIを安全な産業機械へ落とし込む制御スタックにあります。

「頭脳」と「脊髄」を分ける

Physical AIの議論は、頭脳に集中しがちです。どのモデルが賢いか、どれだけ汎用的か。

しかし工場で動く機械には、脊髄が要ります。

反射的に止まる仕組み。速度を制限する仕組み。人が近づいたら減速する仕組み。これらは、AIモデルの判断を待ちません。

第8回で見たAgilityとNVIDIA Halosの構成が、まさにこの分離でした。AIシステムとは独立した安全プロセッサが、ロボットを停止できる。

第13回で見たMobileyeのRSSも、同じ思想です。AIが何を認識したかにかかわらず、数学的に安全な操作範囲を定める。

OmniCoreは、ABBが数十年かけて作ってきた脊髄です。

Jetsonを載せるという検討

そして2026年、この脊髄に新しい要素が入ろうとしています。

報道によれば、ABBはNVIDIAのエッジ計算プラットフォームであるJetsonを、OmniCore制御器の内部へ組み込み、リアルタイム推論を行うことを検討しています。

これが実現すれば、制御器の中でAIモデルが動きます。クラウドへ問い合わせる遅延がなくなり、通信が切れても判断が続きます。

第9回で見たとおり、工場でのオンデバイス推論は、性能競争とは別の採用条件です。通信は途切れ、セキュリティ規則は外部接続を許さない。

OmniCoreがJetsonを内蔵すれば、ABBの設置ベースが、そのままAI推論の実行環境になります。

そして、ここに矛盾がある

ただし第16章で述べるとおり、この計画には政治的な複雑さがあります。

SoftBank GroupはArm、Graphcore、AmpereなどAI計算資産への投資を拡大しています。一方でSoftBank Corp.はNVIDIAともPhysical AI分野で協業しており、計算戦略を単純な『脱NVIDIA』と捉えるのは適切ではありません。

つまりソフトバンクは、NVIDIAが支配する推論の領域へ、自社の半導体で入ろうとしています。

その相手の製品を、買収予定の子会社が制御器へ組み込もうとしている。

売却完了後、この方針が維持されるかどうかは、外部からは分かりません。


第7章 NVIDIA連携とPhysical AI

2026年3月、ABB RoboticsはNVIDIAとの提携を発表しました。

目的は、産業グレードのPhysical AIを大規模導入し、Sim-to-Realの壁を縮めることです。

7月17日には両社がWhite Paperを公開し、従来の固定自動化から、理解・適応・学習するAutonomous and Versatile Roboticsへ移る方法論を示しました。

ABBは視覚をPhysical AI導入の重要な入口と位置づけます。

NVIDIAの計算、シミュレーション、基盤モデルと、ABBの実機、制御、安全、顧客を組み合わせる構造です。

Physical AI Toolchainという製品化

2026年6月のAutomate 2026で、ABB RoboticsはPhysical AIツールチェーンを初公開しました。

構成は、データ生成、訓練と検証、配備、最適化です。産業グレードの精度を持つロボットAIモデルを作るための一連の工程を、製品として提供します。

これは重要な位置づけです。

ABBは、自社で基盤モデルを作るとは言っていません。

作るのは、モデルを工場で使えるようにする道具立てです。

第1回で見たNVIDIAが、誰が勝っても計算基盤で稼ぐ位置にいるのと似ています。ABBは、どのモデルが勝っても、それを工場へ落とし込む層で稼ごうとしています。

「視覚が入口」という判断

ABBはPhysical AI導入の入口として、視覚を挙げています。

理由は現実的です。

工場の自動化で最も多い失敗は、部品が想定した位置にないことです。従来は治具で固定し、位置を保証していました。治具は高価で、部品が変わるたびに作り直します。

視覚が使えれば、治具が減ります。ばら積みの部品を見て、掴める。

これは全身の器用さより、はるかに早く投資回収できる改善です。

第12回で見たAmazonが、ヒューマノイドではなく用途別の専用機で倉庫を自動化したのと、発想は共通します。解ける問題から解く。


第8章 HyperRealityとSim-to-Real

ABBはRobotStudio HyperRealityを、Physical AIのSim-to-Realを縮める技術として位置づけています。

実工場の見た目、照明、物体、カメラ条件を高忠実度で再現し、AI VisionやRobot Policyを仮想環境で訓練・評価します。

Sim-to-Realの最大問題は、仮想環境で成功しても現実では照明、反射、摩擦、ケーブル、摩耗が違うことです。

ABBはDigital Twinと実機データを往復させ、モデルを改善する閉ループを狙います。

これはNVIDIA Omniverse系と相性が良い領域です。

中身はOmniverseの統合である

報道によれば、RobotStudio HyperRealityは、NVIDIA Omniverseのライブラリを自社のRobotStudioへ統合したものです。提供は2026年後半とされます。

ロボットは工場の仮想レプリカの中で訓練され、合成データを生成し、ランダムに置かれた部品を認識し、経路を計画することを学びます。

そしてABB Robotics部門の社長Marc Seguraは、シミュレーションと現実の間の隔たりを埋めたと主張し、シミュレーション上の挙動と実機の挙動の相関は最大99%だとしています。

初期の試験ユーザーには、Foxconnが含まれます。対象は民生電子機器です。カリフォルニアのロボット人材サービス企業WORKRも、ABBのロボットを基盤に、Omniverseライブラリで生成した合成データで訓練していると紹介されています。

なぜ99%と言えるのか――仮想制御器という土台

この主張には、技術的な裏づけがあります。

HyperRealityは、ロボット、センサー、照明、運動学、部品を含むロボットステーション全体を、パラメータ化したUSDファイルとしてOmniverseへ書き出します。

そしてその仮想環境の中で、ABBの仮想制御器が動きます。

重要なのは、この仮想制御器が実機の制御器とまったく同じファームウェアで動作する点です。ABBは、これができるロボットメーカーは自社だけだと主張しています。

Seguraが、NVIDIAの他のパートナーシップと自社の提携は性質が違うと述べるのは、この一点によります。

一般に、シミュレーションと実機の挙動がずれる原因は二つあります。物理の再現精度と、制御ソフトの差異です。

Omniverseは前者を埋めます。同一ファームウェアの仮想制御器は、後者を消します。

99%という数字は、この二つを同時に潰した結果として提示されています。

ABBが示した定量効果

Seguraは、HyperRealityがもたらす効果として、具体的な数字を挙げています。

段取り時間を最大80%削減。

導入コストを40%削減。

物理的な試作なしでの並行エンジニアリングを可能にし、複雑な製品では市場投入までの時間をおよそ50%短縮。

いずれも会社の主張であり、第三者が検証した数字ではありません。

ただし、この三つが指しているのは同じことです。ロボットを設置する前に、設計、プログラミング、試験、検証を終えられる。

第6回で見たSkild AIが「専門家が作業ごとにプログラムする作り込みは高価で、数百万社の中小企業へは広げられない」と述べた問題に対し、ABBはモデルの汎用性ではなく、設計工程の仮想化で答えようとしています。

アプローチは違いますが、狙う顧客は同じです。

99%という数字の読み方

最大99%の相関という主張は、強い数字です。

ただし「最大」という条件が付きます。どの作業で、どの指標で測ったのかは、公開されている範囲では詳細が分かりません。

そしてSim-to-Realの難しさは、平均値ではなく外れ値にあります。

99%の場面で一致しても、残り1%で挙動が違えば、その1%が事故になります。

第14回で見たAuroraが、走行距離では証明できない安全性を安全ケースという論理構造で示そうとしたのと、同じ問題です。

シミュレーションは、開発を速くします。安全を証明するものではありません。

Foxconnが試している意味

初期ユーザーにFoxconnが入っていることは、示唆的です。

第6回で見たとおり、Skild AIはNVIDIA、Foxconnとの三社協業で、Blackwell GPUサーバーの生産ラインへSkild Brainを投入するとしています。

第8回のAgility Roboticsは、SPACのPIPEをFoxconnが主導しました。

Foxconnは、フィジカルAIの主要な実験場になりつつあります。

理由は明快です。世界最大級の受託製造企業であり、労働集約的な工程を大量に抱え、多品種の切り替えが頻繁に発生します。

そして自社で試した技術を、顧客企業の生産へ展開できる立場にあります。


第9章 PSYONICと人間データによる器用さ

2026年6月、ABB RoboticsはPSYONICと、人間が生成したデータを使ってロボットの器用さを高める協業を発表しました。

PSYONICは高度な義手・ロボットハンド技術を持ち、人間の操作データを高品質に取得できます。

従来の産業ロボットは治具で部品位置を固定し、同じ軌道を繰り返しました。

Physical AIでは、人間のように物を見て、触り、持ち替える能力が求められます。

ABBが器用な手と人間データを取り込むことは、固定自動化からGeneral-purpose manipulationへ進む象徴です。

Ability HandとGoFaの組み合わせ

発表は2026年6月22日、シカゴのAutomate 2026で行われました。

内容は、PSYONICのAbility HandをABBの協働ロボットGoFaへ統合するというものです。

PSYONICは、Ability HandをNVIDIA Isaac Labへ統合済みで、人間の義手利用から得られる操作データを、ロボットの器用さの向上へ活かす道筋を示しています。

つまり構図は三層です。PSYONICが手と人間データ、NVIDIAが学習基盤、ABBが身体と顧客。

第6回で見たSkild AI、ABB Robotics、Universal Robots、NVIDIAの提携と、構造は同じです。

ABB Roboticsは、複数の技術パートナーへ同時に身体を提供する立場にあります。

「義手のデータ」という着眼

PSYONICが特異なのは、出自が義肢であることです。

義手を使う人は、日常生活のあらゆる場面で手を使います。物を掴み、扱い、失敗し、やり直す。

その記録は、実験室で集めた遠隔操作データとは性質が違います。目的を持って生活する中で生まれたデータです。

第6回で見たSkild AIが「遠隔操作だけでは基盤モデルの規模へ届かない」と述べ、人間動画からの学習を進めたのと、動機は共通します。

人間の日常から、どうやってロボットが使えるデータを取るか。

義手は、その最も直接的な経路の一つです。手そのものが記録装置になるからです。

産業ロボットに五指が要るのか

ただし、産業用途で五指が必要かどうかは別問題です。

工場の多くの作業は、二本指のグリッパーで足ります。第9回で見たGemini Robotics 2の評価でも、二本指グリッパーの成功率は平均74.2%、多指作業は32%から92%と大きく開きました。

指を増やせば、できることは増えます。同時に、故障箇所も、制御の難しさも、コストも増えます。

ABBがPSYONICと組む意味は、五指を標準化することではないでしょう。

治具に頼らない把持がどこまで可能かを探ることです。それができれば、五指でなくとも自動化できる工程が増えます。


第10章 Rocheとラボ自動化

2026年7月8日、ABB RoboticsはRocheとの協業を発表し、Physical AIを研究室・ライフサイエンスへ広げました。

研究室は試験管、プレート、機器、液体、狭い作業空間があり、人手の細かな操作が多い。

一方、工場以上に再現性、トレーサビリティ、汚染管理、安全が厳しい。

AIロボットがラボで成功すれば、製造以外の高付加価値市場へ広がります。

ABBは既にSLASなどでラボオートメーションを展開しており、Rocheとの連携はその深化です。

なぜラボが有望なのか

研究室の自動化には、工場にない有利さがあります。

第一に、価値が高い。一回の実験のコストが大きく、人件費も高い専門職です。自動化の投資回収が早い。

第二に、24時間動かせる。人が帰った後も実験を続けられれば、研究の速度が上がります。

第三に、再現性が価値になる。人手では避けられない微妙なばらつきが、機械では減ります。医薬品の試験では、これ自体が品質です。

第四に、ラベルが付いている。実験は結果を記録する営みです。何をして何が起きたかのデータが、最初から整っています。

機械学習にとって、これは理想的な環境です。

それでも難しい理由

一方、ラボには工場と違う厳しさがあります。

汚染管理です。試料が混ざれば、実験は無効になります。人が扱う場合でも、手順は厳密に決められています。

トレーサビリティです。どの試料に、いつ、何をしたかを、規制当局へ示せる形で残す必要があります。

そして扱う物が難しい。液体、粉末、柔らかいチューブ、割れやすいガラス。第6章で述べた「治具で固定できない物」の典型です。

第11回で見たSanctuary AIが、柔軟なワイヤーの挿入を最難関の一つとしたのと、性質が重なります。

製造以外への広がり

Rocheとの協業が示すのは、Physical AIの市場が工場だけではないということです。

研究室、病院、物流、小売、農業。人手が細かい作業をしている場所は、工場の外にも大量にあります。

第6回で見たSkild AIの段階的なロードマップも、半構造化環境である工場から始め、病院やホテルといった構造化の弱い環境へ進み、最終的に家庭へ至るというものでした。

ABBがラボへ入ることは、その第二段階に足をかけることを意味します。


第11章 Visual SLAM AMRと自律フォークリフト

2026年7月、ABBはAI-powered Visual SLAMを使う自律フォークリフトを追加し、AMRポートフォリオを完成させたと発表しました。

工場・倉庫では、ロボットアームだけでなく材料の移動が大きな人件費です。

Visual SLAMはカメラで自己位置と地図を推定し、固定マーカーへの依存を減らします。

アームとAMRを同じフリート・制御環境で統合できれば、「物を運ぶ」と「物を加工する」が一つの自動化システムになります。

これはヒューマノイドだけが柔軟自動化の答えではないことを示します。

マーカーを貼らずに動く

従来のAGVは、床に磁気テープを貼るか、天井に反射マーカーを設置する方式が主流でした。

問題は、レイアウト変更のたびに貼り直しが必要なことです。

Visual SLAMはカメラで周囲を見て、自分の位置と環境地図を同時に推定します。設備側の準備が要りません。

これは第12回で見たAmazonのProteusと同じ思想です。環境をロボットに合わせるのではなく、ロボットが環境を理解する。

そして第3回で見た自動運転と、技術的には地続きです。カメラで自己位置を推定し、経路を計画し、障害物を避ける。

工場の中を走るか、公道を走るかの違いです。

「運ぶ」と「加工する」を統合する

ABBがAMRポートフォリオの完成を強調するのは、フリート統合を狙っているからです。

アームが加工し、AMRが運ぶ。この二つが別のシステムで動いていると、待ち時間が生まれます。

同じ制御環境で管理できれば、加工の完了に合わせてAMRが到着し、次の工程へ運びます。

第12回で見たAmazonのDeepFleetが、100万台のロボットの移動を全体最適で調整し、移動効率を10%改善したのと、狙いは同じです。

Physical AIの価値は、一台の賢さではなく、フリート全体の流れにあります。

ヒューマノイドへの静かな反論

そしてこの章は、本シリーズ全体への問いを含んでいます。

平坦な床で物を運ぶなら、AMRの方が安く、速く、安定します。加工なら、固定アームの方が正確で速い。

では、ヒューマノイドは何のために要るのか。

答えは、環境を変えられない場所です。既存の建物、既存の設備、既存の動線を変えずに自動化したい場合。

第12回で見たとおり、Amazonは自社施設なので環境を変えられます。だから人型を作りません。

環境を変えられない顧客が、ヒューマノイドの市場です。

ABBは、両方の答えを持っています。


第12章 PickMaster Liteと現場導入速度

2026年5月、ABBはPickMaster Liteを発表しました。

包装・食品などのVision-guided Pickingを簡単に導入するソフトウェアで、会社はEngineering effortを30%、Commissioning/Deployment timeを25%削減できると説明します。

Physical AIで重要なのは、モデル精度だけではありません。

顧客が何週間で導入できるか、SIerが何時間設定するか、現場変更に何日かかるかがROIを決めます。

ABBは成熟企業らしく、「AIを使える」より「早く導入できる」を商品価値にしています。

導入コストという隠れた壁

産業用ロボットの価格は、実は総費用の一部にすぎません。

システムインテグレーションの費用が、本体価格と同等かそれ以上になることは珍しくありません。

治具の設計、安全柵の設置、周辺機器との接続、プログラム、試運転、作業者教育。

だから中小企業ではロボットが入りません。本体が買えても、導入費用が出せない。

第6回で見たSkild AIが、従来の産業ロボットについて「専門家が作業ごとにプログラムし、極めて精密なセンシングを要求する。この作り込みは高価で、数百万社の中小企業へは広げられない」と述べたのは、この構造を指しています。

30%と25%の意味

エンジニアリング工数30%削減、立ち上げ期間25%削減という数字は、地味に見えます。

しかし導入費用が本体価格と同等なら、この削減は実質的な値下げです。

そして期間の短縮は、機会損失の削減でもあります。ラインを止めて立ち上げる期間が短ければ、生産への影響が減ります。

Physical AIの議論では、モデルの成功率が注目されます。

顧客が見ているのは、いつから使えて、いくらかかるかです。

成熟企業の強みと弱み

ABBのこうした改善は、着実です。同時に、劇的ではありません。

新興企業が「ロボットが自分で作業を覚える」と主張する横で、「導入工数が30%減ります」と言う。

派手さでは負けます。

しかし、実際に発注書が出るのは後者です。

第8回のAgility、第9回のApptronikが顧客を一社ずつ増やしている間に、ABBは既存顧客の追加発注を積み重ねられます。

Physical AIの普及が、どちらの経路で進むかは、まだ決まっていません。


第13章 収益規模――2024年23億ドル事業

ABBは2025年にRobotics事業の分離計画を公表した際、2024年売上約23億ドル、Operational EBITA margin 12.1%、従業員約7,000人と開示しました。

これは新興ロボット企業と比較すると桁違いの商用基盤です。

地域製造拠点は欧州、アジア、米州にあり、Local-for-localの供給体制を持ちます。

一方、売上規模が大きい分、成長率はスタートアップほど高くありません。

SoftBankが53.75億ドルのEnterprise Valueを払う理由は、既存利益だけでなく、この顧客基盤へAIを上乗せできる可能性です。

売上の23倍という評価

53億7,500万ドルという企業価値を、2024年売上23億ドルで割ると、約2.3倍です。

これは製造業として妥当な水準です。

一方、本シリーズで扱った企業と比べると、対照が鮮明になります。

第5回のFigure AIは、売上を公表せず、企業価値390億ドル。

第6回のSkild AIは、2025年のlive revenueが約3,000万ドル、評価額140億ドル超。売上の数百倍です。

第7回のPhysical Intelligenceは、価格を設定していない企業に56億ドルの評価が付いています。

つまり資本市場は、いま稼いでいる事業より、将来稼ぐかもしれない技術に高い値を付けています。

ABB Roboticsの評価は、稼いでいる事業として計算されたものです。

「成長が止まった優良事業」という位置

ABBが分離を表明した2025年4月の時点で、Robotics事業は2023年から受注と売上が大きく落ち込んでいたとされます。

背景には、産業用ロボット市場全体の停滞があります。中国市場での競争激化、欧州の製造業の低迷、EV投資の減速。

つまり売却は、絶好調の事業を高く売る話ではありません。

成長が鈍り、ABB全体の中で相対的な重要性が下がった事業を、成長を託せる相手へ渡す判断です。

それでも23億ドルは大きい

一方、この規模を軽く見るべきではありません。

第14回のAuroraは、2026年通期の売上見通しが1,400万〜1,600万ドルです。

第8回のAgilityは、Digit v5の複数年契約受注が3億ドル超。

ABB Roboticsは、毎年23億ドルを売り、利益を出しています。

Physical AIの企業を評価するとき、この数字を基準線として持っておく価値があります。


第14章 SoftBankへの53.75億ドル売却

ABBは2025年10月8日、Robotics DivisionをSoftBank Groupへ53.75億ドルのEnterprise Valueで売却する契約を締結しました。

当初は2026年にRoboticsを独立上場させる計画でしたが、売却へ方針転換しました。

取引は規制承認と通常のクロージング条件を満たす必要があり、2026年8月7日時点では完了したと扱うべきではありません。

ABBは2025年Q4からRoboticsをDiscontinued Operationsとして報告し、独立部門として運営しています。

ABBとSoftBank Groupはいずれも、クロージングを2026年後半(mid-to-late 2026)と案内しています。

経営陣の去就

売却発表と同時に、人事も公表されました。

Robotics & Discrete Automation事業部門の社長で、ABBの執行委員会メンバーであったSami Atiyaが、2026年末までにABBを離れます。執行委員会からは2025年末に退き、2026年は戦略アドバイザーとしてロボティクス事業とカーブアウトの過程を支援するとされました。

ABBのCEOであるMorten Wierodは、Atiyaが産業用ロボットから最先端の協働ロボット、自律移動ロボットまでを網羅する事業を築き、AIを顧客価値創出の重要な推進力として位置づける役割を果たしたと述べています。

ABB会長のPeter Voserは、ソフトバンクの提案を取締役会と執行委員会が慎重に評価し、当初のスピンオフ計画と比較したうえで、事業の長期的な強みを反映し、ABB株主へ即座に価値を生むものと判断したと説明しました。

第4回で見たBoston Dynamics、第13回で見たMobileyeと同様、ここでも所有者の転換と経営者の交代が重なっています。

現在の事業責任者

一方、ABB Robotics部門の社長はMarc Seguraです。

第6回で見たとおり、SeguraはSkild AIとの提携発表でコメントを寄せ、より自律的で汎用的なロボティクスが次世代の柔軟な製造を可能にすると述べました。

第8章で見たHyperRealityでも、シミュレーションと現実の隔たりを埋めたと主張しています。

つまり技術的な方向づけは、売却手続きと並行して進んでいます。

「完了していない」ことの重み

本稿執筆時点で、取引は完了していません。

EU、中国、米国を含む規制当局の承認が条件です。

第6回でも述べたとおり、この点は繰り返し確認する価値があります。ソフトバンク傘下でABB Roboticsが何をするかという議論は、すべて完了を前提とした仮定の話です。

そしてDiscontinued Operationsとして報告されている以上、ABB本体の業績からは切り離されています。売却が成立しなかった場合、この事業をどう扱うかという問題が残ります。


第15章 なぜABBはRoboticsを手放すのか

一見すると、Physical AI時代にRoboticsを売るのは逆張りに見えます。

ABB側の論理は、資本配分と事業フォーカスです。

Roboticsは魅力的な事業ですが、ABB全体ではElectrification、Motion、Automationの方が大きく、共通販売・技術シナジーがあります。

また、AI競争では巨額計算資源とソフトウェア投資が必要です。

ABBは、RoboticsがAI・ソフトウェア企業のSoftBank傘下に入る方が成長できると判断しました。

売却代金をABB本体の買収や株主還元へ回す意図もあります。

ABB自身の説明

ABBの公式発表は、この点を明確に述べています。

ABB Roboticsは業界のリーダーであり、長期的な自動化トレンドの中核にあるが、これまで伝えてきたとおり、ABB Roboticsの事業とABBの他の事業との間には、事業上・技術上のシナジーが限られている。需要と市場の特性が異なる、と。

つまり同じ会社の中にある理由が薄い、という判断です。

電力機器と産業ロボットは、顧客も、販売経路も、開発サイクルも違います。

AI投資という新しい要求

もう一つの背景は、要求される投資の性質が変わったことです。

かつての産業用ロボット事業は、機械の改良と製造効率が競争軸でした。

Physical AIの時代には、計算資源、シミュレーション基盤、モデル開発、データ収集が必要になります。

これはABBのような重電・電機グループが得意とする投資ではありません。

第13回で見たMobileyeが、量産ADASの利益でRobotaxiとヒューマノイドを支えようとして苦しんでいるのと、構図は似ています。

既存事業のキャッシュで、桁の違うAI投資を賄うのは難しい。

タイミングの是非

ただし、売る時期については議論があります。

Physical AIが産業ロボットの価値を再定義しようとする、まさにその手前で手放すことになります。

もし基盤モデルが本当に工場を変えるなら、設置ベースを持つ企業の価値は上がります。

53億7,500万ドルという価格が、その将来価値を織り込んでいるかどうか。

第16章で見るとおり、ソフトバンクはまさにその将来価値に賭けています。


第16章 SoftBank傘下で何が変わるか

SoftBankは「次のフロンティアはPhysical AI」と明言しています。

同社はArm、AI投資、データセンター、ロボット投資を組み合わせようとしています。

ABB RoboticsがSoftBank傘下に入れば、産業ロボットの実顧客と、AI計算・投資ネットワークが結びつく可能性があります。

一方、統合が成功する保証はありません。

SoftBankは過去にもロボット投資で試行錯誤してきました。産業顧客が求める長期保守、安定供給、安全認証を維持しながら、AI開発速度を上げられるかが課題です。

Robo HDという受け皿

第6回で述べたとおり、ソフトバンクは持株会社Robo HDのもとに、SoftBank Robotics Group、Berkshire Grey、AutoStore、Agile Robots、そしてSkild AIを集約しています。

ABB Roboticsは、その中核になります。

構図を整理すると、こうなります。

知能は、Skild AIとAgile Robotsが持ちます。

倉庫の自動化は、Berkshire GreyとAutoStoreが持ちます。

そして産業用の身体と顧客を、ABB Roboticsが持ちます。

孫正義氏は、ソフトバンクの次のフロンティアはフィジカルAIだと述べ、ABB Roboticsと共に人工超知能とロボティクスを融合させると説明しました。

計算をめぐる矛盾

ここで、冒頭に述べた矛盾が効いてきます。

SoftBank GroupはArm、Graphcore、AmpereなどのAI計算資産を拡充していますが、SoftBank Corp.はNVIDIAのCosmos、Omniverse、GPUクラウドもPhysical AI実証で活用しています。したがって買収後のABB RoboticsがNVIDIAとの協業を解消すると見る根拠はありません。

一方でABB Roboticsは、RobotStudioへNVIDIA Omniverseを統合し、OmniCoreへJetsonを載せることを検討しています。

つまりABB Roboticsが構築しているスタックは、ソフトバンクが競おうとしている相手の技術で組まれています。

売却完了後、この構成がそのまま維持されるのか、Arm系へ置き換えが進むのか。

前者なら顧客にとって連続性が保たれます。後者なら、移行の負担が発生します。

産業用機器では、制御器の中身を変えることは簡単ではありません。安全認証をやり直す必要があるからです。

顧客が見ているもの

そして最も現実的な論点は、顧客の不安です。

産業用ロボットの顧客は、10年、15年の単位で設備を使います。部品の供給、保守、ソフトウェア更新、安全認証の維持が保証される必要があります。

所有者が変わると、この保証が続くかどうかが問われます。

第4回で見たBoston Dynamicsが、Google、SoftBank、Hyundaiと三度所有者を変えたのとは、事情が違います。Boston Dynamicsの製品は、当時まだ研究段階でした。

ABB Roboticsの顧客は、今日の生産をこの機械に依存しています。

統合の成否は、AI開発の速度より、この信頼の維持で決まる可能性があります。


2026年7月のSoftBank×安川×NVIDIA実証が示すこと

SoftBank Corp.と安川電機は2026年7月13日、NVIDIAの協力のもと、SoftBankのAIデータセンターGPUクラウドをPhysical AI開発基盤として使う柔軟物ハンドリング実証を発表しました。

動作データ収集、データ拡張による合成データ生成、AIモデルの学習、シミュレーションによる評価、実機への適用までを、一つのクラウド上で一貫して行う構成です。NVIDIA Omniverseライブラリ、Cosmosのオープンな世界モデル、そしてPhysical AI Factory Blueprintが使われています。

安川電機側が開発したのは、VLA、つまり視覚情報と作業指示からロボットの動作を生成する方式で、紐、布、袋のように形が変わる対象を認識し、把持し、操作するシステムです。

従来のロボット制御は、対象物の形状と位置があらかじめ決まっていることを前提としてきました。変形する物体は、その前提が崩れます。

実証の題材が、第11回と同じだった

そして実証で選ばれた作業が、示唆的です。

ワイヤーハーネスのハンドリングでした。

第11回で扱ったSanctuary AIが、2026年6月にグローバルTier1自動車部品メーカーで99.5%超・サイクルタイム2.54秒を達成したのも、動くコンベヤー上での柔軟なワイヤーハーネスの挿入作業です。

同じ作業を、まったく違う陣営が、違う方法で攻めています。

カナダのSanctuary AIは、油圧ハンドと触覚を持つ自社ハードウェアから入り、それを既存の産業用ロボットアームへ載せる方向へ転じました。

日本の安川電機は、自社の産業用ロボットに、SoftBankのGPUクラウドとNVIDIAの世界モデルを組み合わせています。

なぜワイヤーハーネスなのか。自動車一台には数キロメートルの配線があり、その組み付けは今も人手に強く依存しています。柔らかく、たわみ、絡み、押せば形が変わる。従来の自動化が最後まで残した工程です。

「柔らかいものを扱う」が2026年の主戦場になった

この構図は、本シリーズ全体を貫きます。

第7回のPhysical Intelligenceは、洗濯物の折りたたみで自律率を測りました。

第12回のAmazonは、Vulcanで触覚を持たせ、棚への押し込みを解こうとしています。

第9回で見たGemini Robotics 2は、ジッパー袋の封をし、紐を結びました。多指作業の成功率が32%から92%まで開いたのは、まさにこの領域です。

そしてABB RoboticsとNVIDIAのHyperRealityも、Foxconnとの初期実証で民生電子機器の繊細な組立を対象にしています。

剛体を決まった位置から決まった位置へ運ぶ自動化は、すでに解かれています。2026年に各社が競っているのは、その先です。

この事例は、SoftBank陣営がNVIDIAを排除するのではなく、Arm等の自社資産とNVIDIAエコシステムを用途ごとに組み合わせる可能性を示します。

なお、この実証で使われたAIデータセンターGPUクラウドは、2026年5月25日に発表された事業で、Infrinia AI Cloud OSを基盤とし、同年10月からの提供が予定されているものです。つまり実証と商用サービスの立ち上げが、並行して進んでいます。

日本の産業界が一斉に動いた

そしてこの動きは、SoftBankと安川電機の二社にとどまりません。

2026年7月15日から16日にかけて、NVIDIAは東京で日本のフィジカルAIエコシステムに関する発表を行いました。NVIDIAのJensen Huangに加え、富士通、ファナック、安川電機、川崎重工業の各社首脳が並んでいます。

Cosmos Coalitionへの参加を表明した日本企業として挙げられたのは、AIRoA、ファナック、富士通、日立製作所、川崎重工業、クボタ、NEC、SoftBank Corp.、ソニーグループ、安川電機です。加えて、classmethod、Enactic、GROOVE X、Honda R&D、三井物産、三菱商事、Mujin、Preferred Networks、Telexistence、TIER IV、TRON、Turingといった名前も並びました。

富士通はファナック、安川電機、川崎重工業と、フィジカルAIの協調制御プラットフォームを検討しています。日立製作所は人手の介入を最小化した自律工場の実証を発表しました。オムロンはOmniverseを使い、半導体基板の外観検査精度を高めるとしています。

第15章と第16章で述べるとおり、ABB Roboticsはソフトバンクグループの傘下へ移ろうとしています。

その同じソフトバンク系の通信会社が、日本の産業ロボット大手と組み、NVIDIAの基盤の上でフィジカルAIを進めている。

つまり日本企業にとって、この話は「海外で起きていること」ではありません。すでに自社の名前が、その配置図の中にあります。

ABB RoboticsのNVIDIA提携も、買収後に直ちに矛盾するとは限りません。むしろ、SoftBankがABB、安川、Skild AI、GPUクラウドなどをどのレイヤーで束ねるのかが次の論点です。


第17章 日本企業への示唆と2030年シナリオ

日本のFANUC、安川電機、川崎重工、デンソー、オムロンにとって、ABB RoboticsのSoftBank入りは重大です。

競争相手が単なる欧州ロボットメーカーではなく、AI資本を持つプラットフォームへ変わる可能性があります。

【強気】SoftBank+ABB+NVIDIA系技術が融合し、産業Physical AIの世界標準へ。
【中間】ABBの既存事業を維持しつつ、AI機能を段階導入。
【弱気】所有者変更で顧客不安や人材流出が起き、統合効果が出ない。

日本企業は、ハードウェア品質だけでなく、Simulation、Foundation Model、Data Flywheelを自社戦略に組み込む必要があります。

四強の構図が崩れた

第3章で触れたとおり、産業用ロボットの中心は長くFANUC、安川電機、ABB、KUKAの四社でした。

KUKAは2016年に中国の美的集団の傘下へ入りました。

ABB Roboticsは、ソフトバンクの傘下へ入ろうとしています。

残る独立系の二社は、いずれも日本企業です。

これは優位にも見えます。同時に、孤立でもあります。

競合が巨大な資本グループの一部になれば、AI投資の規模で差がつきます。

日本勢も動いている

一方、日本企業も手をこまねいてはいません。

そしてFANUCは、自社でもPhysical AIを前面に出しています。

2026年6月のAutomate 2026では、Physical AI、実時間3次元ビジョン、生成AI、デジタルツインを軸に展示を構成しました。同社のCRXシリーズ向けにROS 2ドライバを公開し、外部開発者が制御を書ける形にしています。NVIDIAとの協業により、Isaac Simによる写実的な仮想工場でデジタルツインを構築するとしています。

技術的な内容も具体的です。1ミリ秒の高速3次元追跡により、従来なら精密な治具や部品の固定が必要だった「動いている部品へネジを締める」作業を、追従しながら行えるとしています。

ABBがRobotStudio HyperRealityで攻めているのと、方向は同じです。仮想空間で設計と学習を済ませ、実機へ移す。

つまりABBの優位は、この分野で唯一ということではありません。四社がそれぞれ、同じ方向へ走っています。

2026年5月には、FANUCとGoogleが産業ロボティクスで提携したと報じられました。

つまり日本勢も、AI基盤を外部から取り込む動きに入っています。

論点は、第13回でMobileyeについて述べたのと同じです。

AI基盤を借りるとき、自社の顧客工程のデータが誰の資産になるか。

FANUCの設置ベースが集めたデータで、Googleのモデルが賢くなるなら、長期的に交渉力はどちらへ移るか。

「制御と安全」を手放さない

日本企業が守るべき層は、明確です。

第6章で述べたとおり、AIモデルと産業機械の間には制御と安全の層があります。

ここは規格、認証、責任、長期保守と結びついています。基盤モデル企業が容易に入れる領域ではありません。

そして日本のメーカーは、この層を数十年かけて作ってきました。

AIモデルを外部から取り込むとしても、制御器と安全系と保守網は自社に残す。ABBがOmniCoreを持ち続けようとしているのと、同じ発想です。

Sim資産の再評価

もう一つ、日本企業が持っている見落とされがちな資産があります。

シミュレーションと工程設計の蓄積です。

ABBがRobotStudioを持ち、6万人のエンジニアがそれを使うのと同様、日本のメーカーも自社のオフラインプログラミング環境と、それを使う技術者の層を持ちます。

Physical AIの時代に、この資産の価値は上がります。第5章で述べたとおり、AIが学ぶには失敗できる場所が要るからです。

必要なのは、既存のシミュレーション環境を、機械学習のデータ生成基盤として使える形へ更新することです。

新しくAIを作るより、既存資産の役割を変える方が、現実的で速い。


第18章 結論――ABB Roboticsは産業ロボット時代をどう再定義するか

ABB Roboticsは、ヒューマノイドを作らなくてもPhysical AIの中心企業になり得ます。

理由は、世界中に既に存在する産業ロボット、制御器、RobotStudio、SIer、顧客データを持つからです。

NVIDIAとのPhysical AI、PSYONICの器用さ、Rocheのラボ、Visual SLAM AMRは、固定自動化から「見て、考え、適応するロボット」への移行を示します。

そして2026年最大の論点はSoftBankへの売却です。

本シリーズの他の回で見てきた企業は、いずれも「技術は先進的だが事業はこれから」という位置にありました。

ABB Roboticsは逆です。事業は成立していて、技術の転換をこれから受け止めます。

そして所有者が変わろうとしている。

この三つが同時に起きる企業は、他にありません。

ABB Roboticsの未来は、100年近い産業自動化の信頼性と、生成AI時代の学習速度を同じ組織で両立できるかにかかっています。


次回予告――Siemens Industrial AIを読む

第16回では、デジタルツイン、Industrial Copilot、工場AIを統合するSiemensを読みます。


主要参考資料・公式リンク


出典対応表

  • 事業規模(2024年売上約23億ドル、Operational EBITAマージン12.1%、従業員約7,000人、ABB全社売上の約7%。地域生産拠点は欧州・アジア・米州でlocal-for-local体制):ABB公式

  • 業績動向(ABBが2025年4月の決算説明でRobotics部門の分離を表明した際、2023年から2025年初頭にかけて受注と売上が大きく落ち込んでいたと指摘):報道ベース

  • SoftBankへの売却(2025年10月8日に契約締結、Enterprise Value 53億7,500万ドル。当初予定していた独立上場は行わない。規制承認と通常のクロージング条件が前提で、完了は2026年中盤から後半(mid-to-late 2026)の見込み。ABBは2025年Q4からRoboticsをDiscontinued Operationsとして報告。ABB会長Peter Voserは取締役会と執行委員会がソフトバンクの提案を慎重に評価しスピンオフ計画と比較したと説明):ABB公式・報道。2026年8月7日時点で完了していない

  • 経営(Robotics & Discrete Automation事業部門の社長でABB執行委員会メンバーのSami Atiyaが2026年末までにABBを離れ、執行委員会からは2025年末に退き2026年は戦略アドバイザーとしてカーブアウトを支援。ABB CEOはMorten Wierod。ABB Robotics部門の社長はMarc Segura):ABB公式・報道

  • NVIDIA連携(2026年3月に提携を発表、7月17日に両社がWhite Paperを公開し固定自動化からAutonomous and Versatile Roboticsへの移行の方法論を提示。2026年6月のAutomate 2026でPhysical AIツールチェーン=データ生成・訓練と検証・配備・最適化を初公開):ABB公式・報道

  • SoftBank Corp.と安川電機の実証(2026年7月13日発表。NVIDIAの協力のもと、SoftBankのAIデータセンターGPUクラウド上でPhysical AI開発支援ツールを稼働させ、動作データ収集・データ拡張による合成データ生成・AIモデル学習・シミュレーション評価・実機適用までを一貫実行。NVIDIA Omniverseライブラリ、Cosmosのオープン世界モデル、Physical AI Factory Blueprintを使用。安川電機はVLAを用いた変形物ハンドリングシステムを開発し、実証の題材はワイヤーハーネスのハンドリング。AIデータセンターGPUクラウドは2026年5月25日発表でInfrinia AI Cloud OSを基盤とし同年10月提供開始予定):SoftBank公式・報道

  • NVIDIAの日本エコシステム発表(2026年7月15〜16日に東京で実施。Cosmos Coalitionへの参加意向を示した日本企業としてAIRoA、ファナック、富士通、日立製作所、川崎重工業、クボタ、NEC、SoftBank Corp.、ソニーグループ、安川電機、およびclassmethod、Enactic、GROOVE X、Honda R&D、三井物産、三菱商事、Mujin、Preferred Networks、Telexistence、TIER IV、TRON、Turing等。富士通がファナック・安川電機・川崎重工業と協調制御プラットフォームを検討、日立製作所が自律工場の実証、オムロンがOmniverseで半導体基板の外観検査精度を向上):NVIDIA公式・報道

  • RobotStudio HyperReality(2026年3月発表、NVIDIA Omniverseのライブラリを自社RobotStudioへ統合、サブスクリプション形式で提供は2026年後半。RobotStudioは世界でおよそ6万人のロボティクスエンジニアが使用。仮想レプリカ内でロボットを訓練し合成データを生成、ランダムに置かれた部品の認識と経路計画を学習。ロボット・センサー・照明・運動学・部品を含むロボットステーションをパラメータ化したUSDファイルとしてOmniverseへ書き出し、その中でABBの仮想制御器が実機と同一のファームウェアで動作する。ABBはこれができるロボットメーカーは自社だけだと主張。Marc Seguraはシミュレーションと現実の隔たりを埋めたとし、挙動の相関は最大99%と主張。段取り時間を最大80%削減、導入コストを40%削減、複雑な製品で市場投入までの時間をおよそ50%短縮とも説明。初期試験ユーザーにFoxconnが含まれ対象は民生電子機器の組立、カリフォルニアのWORKRもABBロボットを基盤にOmniverseライブラリの合成データで訓練。NVIDIA側のコメントはロボティクス・エッジAI担当VPのDeepu Talla):ABB公式・NVIDIA公式・報道。「最大99%」および削減率の測定条件は公開範囲では不明で、いずれも会社の主張であり第三者検証値ではない

  • OmniCoreへのJetson搭載検討(NVIDIAのエッジ計算プラットフォームJetsonをOmniCore制御器へ組み込みリアルタイム推論を行う構想):報道ベース。実装は確定していない

  • ソフトバンクの計算戦略(NVIDIA株を全て売却し、Arm、Ampere、Graphcoreを一つの計算事業へ統合。数百コアを持つとされるAmpere製プロセッサは効率的な推論を狙う。孫正義氏の「次のフロンティアはフィジカルAI」発言。持株会社Robo HDにSoftBank Robotics Group/Berkshire Grey/AutoStore/Agile Robots/Skild AIを集約):報道ベース・ソフトバンク発表

  • PSYONIC(2026年6月22日のAutomate 2026で発表。PSYONICのAbility HandをABBの協働ロボットGoFaへ統合。Ability HandはNVIDIA Isaac Labへ統合済みで、人間の義手利用から得られる操作データをロボットの器用さ向上へ活用):PSYONIC公式・報道

  • Roche(2026年7月8日に協業を発表、Physical AIを研究室・ライフサイエンスへ拡大):ABB公式

  • Visual SLAM AMR(2026年7月にAI-powered Visual SLAMを使う自律フォークリフトを追加しAMRポートフォリオを完成と発表):ABB公式

  • PickMaster Lite(2026年5月発表。包装・食品等のVision-guided Pickingを簡易化し、エンジニアリング工数30%、立ち上げ・配備期間25%の削減を会社が説明):ABB公式

  • 製品層(大型産業ロボットIRBシリーズ、協働ロボットGoFa、双腕YuMi、2026年発表の高速PoWa cobot、AMR):ABB公式

  • Skild AIとの提携(2026年3月19日、Skild AIがABB Robotics、Universal Robots、MiR、NVIDIAとの連携を発表。Marc Seguraがコメント。Skild AIのSeries Cはソフトバンクが主導):Skild AI公式・報道

  • 競合(FANUC、安川電機、KUKA=2016年に中国の美的集団が買収、川崎重工、デンソー、オムロン。2026年5月にFANUCとGoogleが産業ロボティクスで提携と報道):報道ベース

  • FANUC自身のPhysical AI展開(2026年6月のAutomate 2026でPhysical AI・実時間3次元ビジョン・生成AI・デジタルツインを軸に展示。CRXシリーズ向けROS 2ドライバを公開し外部開発者が制御可能に。NVIDIAと協業しIsaac Simによる写実的な仮想工場でデジタルツインを構築。1ミリ秒の高速3次元追跡により、従来は精密な治具や部品固定を要した動く部品へのネジ締めに追従しながら対応。人を検知して経路を実時間で変える知覚も搭載。FANUC America社長兼CEOはMike Cicco):FANUC公式・報道


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