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遮光器土偶とお相撲さん

先日國學院大學博物館で遮光器土偶を見る機会があったので、思いついたことを書いてみます。

遮光器土偶は、今からおよそ3,000年前の縄文晩期に東北地方北部で造られ、目の部分が極北に住む人が使う遮光器のような形をしていることからこの名がついたそうです。もっとも、現在では「目を強調した」表現というのが通説なのだとか。

実は目の強調は現代マーケティングにも通じるお話で、人には目を見ただけで反応するニューロン(神経細胞)があり、幼い頃から白い強膜と黒い目を持つものを好むそうです。

ところが困った?ことに遮光器土偶は目を閉じているように見えます。
なぜこのような表現になっているのでしょう。

史跡亀ヶ岡石器時代遺跡総括報告書 青森県つがる市教育委員会編


ここからは妄想になります。どうぞそのつもりでお付き合い下さい。

まず思いついたのは仏像の半眼。如来や菩薩の目は慈悲想ともいい、他者に対して慈しみと優しさのこころを育む瞑想状態を表しているのだとか。もちろん、仏教伝来より縄文時代晩期が古いので遮光器土偶が必ずしも慈悲想であるとは言えません。

ではここからさらに妄想を膨らませてみます。例えばですが、遮光器土偶とは集落に住む高齢の長老的存在を模したものだったとしたらどうでしょう。高齢の方は加齢の影響で昼寝や居眠りが長くなりがちなのだとか。目を閉じているのは、常に眠っているように見える高齢者を表しているのかも。

土偶というからには何らかの祭祀に使われた可能性もあります。遮光器土偶とは、普段は眠っているが必要な時に助言を与える、集落の民に慈悲をもたらすありがたい存在を祀ったものだったのかもしれません。


ところがここで疑問が出てきます。遮光器土偶の体つきが高齢者とは思えないほど立派なのです。加えて縄文人は顔が濃いと言われてます。立体的な顔つきで太い眉に二重瞼ふたえまぶたと厚い唇。縄文時代の人が人物を写実的に表現できたかどうかはさておき、なぜ強調された目が二重でないのでしょう?

一説によると、人類はもともと二重瞼ふたえまぶただったのですが、数万年前の氷河期にシベリアに住んでいた人々が寒さに適応するため一重瞼ひとえまぶたになったのだとか。

ということは縄文時代晩期に大陸から東北へ渡った人がいたのでしょうか?
それとも遺伝子の突然変異で、縄文人にも一重瞼ひとえまぶたの人がいたのでしょうか?
でも、そのあたりは考えても何もわかりません。


そこでふと思いついたのがお相撲さんです。遮光器土偶は実に堂々とした体つきをしてます。そして元横綱をはじめ、お相撲さんは目が細い方が少なからずいらっしゃいます。どちらかと言えば、太った方にその傾向があるように思え、親しみのある雰囲気も感じます。

「なんでも相談しなさい。どすこい!どすこい!」
とは言わなかったと思いますが、なんとなく頼りがいのある存在です。

國學院大學博物館 展示より

今のところそれ以上考えが思い浮かばないので、遮光器土偶についてはとりあえずお相撲さんのように立派な体つきで目の細い人を模したものと考え、一重瞼ひとえまぶた二重瞼ふたえまぶたについてはこの際目をつぶることにしておきましょう。

ところで、縄文時代は後期から冷涼化が始まり食料となる植生の変化をかなり受けたそうです。晩期には人口もピーク時の約3割に減ってしまうのだとか。そんな環境の中、立派な体つきでかつ縄文人には異質と思える細い目を強調した土偶を神として崇め、再び食料の実りが多くもたらされるよう豊穣を当時の人々が願っていたとしたら。


縄文時代が終わり弥生時代が始まると大陸から水稲耕作が九州に伝わり、そこからまず西日本に広がります。それが弥生時代前半頃です。驚くことにそれとほほ同じ時期、青森で東日本最古級の水田跡や初期弥生文化の象徴とされる北九州の土器が東北で見つかるのだとか。

これはあくまで遮光器土偶が豊穣の神であったらという前提ですが、狩猟採集の復活とは違うものの、水稲耕作が伝わることで縄文時代晩期の人々の願いが通じたと言えるのかもしれません。

なお余談ですが、弥生人は縄文人に比べて目が細かったらしいです。

古代にはロマンが溢れています。
最後までお読みいただきありがとうございました💖

#創作大賞2026
#エッセイ部門

参照:Wiki「遮光器土偶」「慈悲の瞑想」「弥生人」
國學院大學博物館
『ヒトは家畜化して進化した』ブライアン・ヘア & ヴァネッサ・ウッズ 著
『黒潮の考古学』橋口 尚武 著
史跡亀ヶ岡石器時代遺跡総括報告書 青森県つがる市教育委員会編
日本睡眠学会
縄文顔と弥生顔
図録▽人口の超長期推移(縄文時代から2100年代まで)
遠賀川展解説パンフレット.pdf
大洞式土器|はちのへヒストリア
「弥生時代日本最北・東日本最古級の水田跡 砂沢遺跡」弘前市教育委員会

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