blink-182『Take Off Your Pants and Jacket』
まず正直に言っておく。このアルバムは「名盤」って顔して並んでるやつじゃない。パンクロックの棚の中でも、ちょっとふざけた顔してこっちを見てるやつだ。タイトルからしてふざけてる。
2001年リリース。前作『Enema of the State』でポップパンクの表舞台に躍り出たblink-182が、その勢いをそのままキープしながら、もう一段ギアを上げてきた一枚。プロデューサーはJerry Finn。相変わらずの爆音・爆速・爆笑ソングライティング。
冒頭の”Anthem Part Two”。これが強い。
そして”The Rock Show”。これはもう、豆のことなんか忘れて踊っていい曲。ライブハウスの匂いがする。カフェのカウンター越しに流しても、誰も文句言わない。
“First Date”も外せない。片思いというか、デートの前の緊張感をそのままメロディにした曲。
アルバム全体を通して面白いのは、下ネタと下品なジョークを連発しながら、その裏でめちゃくちゃ丁寧にメロディを積んでるところ。これ、ふざけてるように見えて、実は計算されつくしてる。それがこのバンドの正体だと思う。
“Stay Together for the Kids”では急に湿度が上がる。離婚家庭で育った子どもの視点を歌った曲で、このアルバムの中では異質なほどシリアス。笑いの合間に、こういう深みをちゃんと差し込んでくるから、このアルバムは只者じゃない。
正直、当時のパンクキッズからは「軟弱になった」なんて言われたりもしたアルバムらしいけど、俺からすると逆。ポップに振り切る勇気があったからこそ、こんなに長く聴かれてる。焙煎も一緒で、玄人向けの渋い一杯だけがいいコーヒーってわけじゃない。誰でも飲める、誰でも笑える、そういう一杯にも技術と覚悟がいる。
タイトルが下ネタなのは百も承知。でも中身は、青春のバカさ加減と切なさを、めちゃくちゃ丁寧に淹れた一杯だと思う。朝、まだ頭が起ききってない時間にかけると、勝手にテンションが上がってくる。そういうアルバムです。
