憧れのデジタルバック 「Leaf Aptus」
1.「Leaf」との出会い
「Leaf」という名前を聞いて反応する人は、かなりコアなカメラファンだろう。Phase One と同じく、デジタルバックメーカーとして名を馳せたブランドだ。
僕が最初に使ったデジタル一眼は Nikon D60 だった。
写りはそこそこ気に入っていたものの、もっと良いセンサーを積んだデジタルカメラが欲しくなり、カメラ雑誌やニュースサイトを読み漁っていた。
そんな時、中判デジタルの存在を知り、そこで知ったのが Leaf Aptus だった。
記事の中で、大和田良さんは「Leafのデータはカラーネガのようだ」と語っていた。僕がカラー暗室にハマっていた頃でもあり「これを使えば、Cプリントのような色味の写真が撮れるのか」なんて思ったものだ。
しかし、新品のAptusは単体で100万円を超え、リファービッシュモデルでも十分に高価だった。
社会人になりたての自分にとっては、完全に“雲の上”の機材だった。
2. やってきた「Leaf Aptus II-7」
IQ160で華々しくデジタルバックデビューを決め、使い方に慣れてきた頃、友人から「Leaf Aptus II-7がMPB(https://www.mpb.com/en-us)にありましたよ」と連絡があった。
HPを見て値段を確認すると、なんとIQ160の半額以下。
必要かどうかよりも、使ってみたいという気持ちが先に立ち購入した。

届いた Aptus II-7 は、3300万画素・48×36mmのCCDセンサーを積んだモデルだ。
背面液晶は粗く、ピントチェック用というよりも、露出や構図の確認用という印象。起動音はゲーム機のようで、オールドデジカメといっても違和感のない佇まいだった。
起動している様子は、こちらの動画をぜひ。
3. 認識されないCFカード
早速使ってみようと、IQ160で使用しているCFカードを挿してみた。
しかし、うまく認識されない。
容量が大きすぎるのかと思い、Phase Oneで動作保証されているCFカードを新たに取り寄せた。
念のためIQ160でカードの動作確認を行ったうえで、Aptusに挿してみる。
それでも結果は同じだった。
到着早々に返品か…と落ち込みつつも、Phase One Japanに相談してみたところ、PCサイトに記載されているCFカードのフォーマット方法を試してほしい、とのアドバイスをもらった。
(※Phase One Japanのオフィスは2025年8月にクローズ)
案内された手順でフォーマットしてみると、無事に起動。
IQ160側でフォーマットしていたことが原因だったようだ。
4. 10枚ごとに発生するデータ破損
CFカード問題が解決し、ようやく撮影できた画像は、中判らしい色の厚みを感じさせるものだった。
IQ160とAptus、2機種の違いを徹底的に楽しもうと思い、PCでAptusの画像データを開くと、定期的にデータが破損していることに気づいた。
約10枚ごとに発生するエラーは、背面液晶に表示される画像は問題ないが、RAWデータには明らかな欠損が発生していた。

CFカード、ボディ、現像ソフトの相性など、様々な可能性を調べていくも、原因はなかなかわからなかった。
やっぱり返品か…と諦めかけたとき、ふと画像の保存設定に目が留まった。
「ロスレス圧縮:On」
試しにこれをOffにしてみたところ、それ以降データ破損は一切起きなくなった。
どうやら、これが原因だったようだ。
なお、AdobeのソフトはLeaf の RAW ファイルのロスレス圧縮形式に非対応なため、読み込みや現像作業ができない(https://helpx.adobe.com/jp/camera-raw/kb/camera-raw-plug-supported-cameras.html)。
AptusのデータをLightroomなどで使いたい場合は、ロスレス圧縮をOffにすることをおすすめする。
5. Leaf Color
IQ160もAptusも、最近のデジタルカメラに比べればニュートラルな絵作りだと思う。両機ともダルサ製CCDセンサーを搭載しており、ハイライトの粘りは他のカメラにはない特性だ。
色味についても近しいものを感じるが、同じ設定で撮影し、同じ現像プロファイルを適応しても、Leafのほうが色は落ち着いており、コントラストもやや控えめは印象だ。


個人的には、
コントラストをしっかり出したい都市風景ではIQ160、
植物や人物など、柔らかさを優先したい被写体ではLeaf、
そんな使い分けがしっくりくる。




また、僕はその差を感じる写真を仕上げる技術がないが、もっとシビアに仕上げる人であれば、Phase OneとLeafを意識的に使い分けているのだろう。買収後もLeafというブランドが残され、最終モデルのCredoシリーズまで作られたのは、色や操作感といった数値に表れない部分に価値を見出すユーザーが、当時確かに存在していたからだと思う。
6.センサーサイズの差
54×40mmセンサーを体験したあとで48×36mmに戻ると、フルサイズからAPS-Cに移行したときのような落差を感じてしまうのではないか、という不安があった。
しかし、実際にDF+で使ってみると、その心配は杞憂だった。DF+のファインダー倍率がやや低いこともあり、ファインダー内で見える範囲と、48×36mmセンサーに記録される範囲がほぼ一致していた。
そのため、違和感なく使うことができた。



個人的には、
Aptus II-7 → 「見たまま写る安心感」
IQ160→ 「見えていなかった余白が写る面白さ」
という使い分けもできると思う。Phase Oneが、センサーサイズごとに標準レンズを変えずに販売していたのは、こうした体験の差を見越してのことだったのかもしれない。
(追記)
僕のDF+のファインダーには、48×36mm用のファインダーマスクが入っていることが判明した。つまり、最初から4836の画角で見ていたため、違和感なくAptusを使えていたということだ。
残念ながら、記事に書いた使い分けは、48×36mm用のファインダーマスクが装着されていた場合に限られる。

7. Leaf はロマンを裏切らない
憧れの機材には、
手に入れた時点で満足してしまうものと、
使うことで理解が深まるものがある。
Leaf Aptus II-7は、間違いなく後者だった。
使い始めるまでにいくつものトラブルはあったが、それも含めて今となっては良い思い出だ。
Aptusは、他の中判デジタル比べても、扱いにくい部分が多い。
それでもRAWデータを現像する時間は楽しく、冷却ファンを備えているおかげで、RZやMamiya Pressといったカメラとの相性は、IQシリーズより良いと感じている。
Aptusの状態が良い個体を見つけるのは、年々難しくなってきている。
それでも中判デジタルバックに興味がある人には、この機種が現役で使えるうちに、ぜひ一度触れてみてほしいと思う。

8. Leaf AptusII-7で撮った写真






