年配家族との絆が”食”で香り立つ~第一部・力を抜いて言語コミュニケーション編~
【創作大賞2025 フード部門 参加作品】
1. 年配家族と「食」で紡ぐ時間
年齢を重ねた家族。まだ介護が必要なわけではない今だからこそ、日々の中に、思い出をひとつでも多く刻んでいきたい。でも、人生の先輩の自尊心を傷つけずに自然な形で関わるのは、案外ムズカシイ。それに、今ならではの思い出って何だろう?旅行?映画? …趣向を変えて、肩肘張らない家庭での「食」からコミュニケーションを増やしてはどうでしょう?
「うまく言えない」「頑張りすぎて疲れた…」そんなあなた様へ。高齢の家族と“食”でつながる事例を、言語・非言語・環境の3回シリーズでお届けします。「力を抜いて」とは、“伝えようとする努力をやめる”ことではなく、“自然にやりとりできる工夫”のこと。…なんて、私が私自身がそんな時期を迎えて勉強中なのですが…😫普段はホームヘルパーとして働いていますが、自分の家族となるとまた違うもので…今更ながら…あれ~?!😨。まだまだ若いつもりの家族と、そろそろ気ままに暮らしたい家族。その間で奮闘中です。
どんな風に誘おうか。
「肉じゃがを一緒に作ってくれない?」
「どういう風の吹きまわし?」
きょとんとした家族の顔を想像するだけで、少し楽しくなりませんか?
でも、年配者に、作らせるのは気がひける…。加減がわからない…。お願いし過ぎても、虐待にならない?
待って下さい。介護の現場では、“自立を応援する”という考え方があります💡できることは続けていただくことで、その人らしい毎日が長く保てるよう援護します。無理させるのではなく、了承を得ながらならば、すっと、お願いできそうな。これ、介護の前段階でも、参考になりそうですよね。理由を伝えるのも気遣いの工夫であり、防衛手段です。「思うような味が出ないから教えて欲しいの」納得して貰えたら話を進めやすいですね。
不安でしたら、「一緒に食べる」「味見してもらう」といった関わり方でも十分ですよね。食を通じた小さな関わりが、自然なコミュニケーションにつながります。
そしてもうひとつ、手掛かりにしたのは、福祉の世界で知られる「バイスティック7原則」です。対人援助者の交わり方の”種”!です。ちょっとマニアックに思えるかもしれませんが、難しくはありませんので、私達の家庭の中でも活用できそうです。知っていると、こんな時、どうしたら?と、迷いが少なくなるかもしれません。また、無理して受け入れるのではなく、受け止める、という距離感で、心にゆとりを持つこともできそうです。家族だからこそ、つい感情的になりがち。でも、少しだけ意識してみると関係が変わるかもしれません。
皆様と一緒に学んでいけたら嬉しいです!
今回は第一部「言語コミュニケーション編」です。

2.バイスティックの7原則
これはホームヘルパーなど福祉の現場で活用されている、信頼関係づくりの基本です
個別化
相手は「一人ひとり違う存在」として関わる。意図的な感情表出の許容
喜びや怒りなど、相手が感情を素直に出すことを認める。統制された情緒関与
自分の感情に流されずに関わる。受容
相手の存在・考え・過去などを否定せずに、そのまま認める。非審判的態度
相手を批判せず、「善悪」で判断しない姿勢で接する。自己決定
相手が自分で選び、決められるように支える。秘密保持
相手のプライバシーは守る。

3.教えてもらう ~“非審判的態度”でさりげなく支える~
子どもの頃の、あの懐かしい味。
家族の料理には、温かな記憶が宿っていますよね。
例えば、あえて知らないふりをして「肉じゃがの作り方の秘訣、教えてほしいな」と声をかけてみたらどうでしょう?
少し照れながらも、昔の自分に戻ったように、話してくれるかもしれません。
「そんなに簡単には真似できないわよ」
「◯◯を入れると、うちの味になるのよ、覚えてないの?」
どうしてそんな言い方するの?意地悪?…ひょっとして、私を下に見ることで、自尊心を保とうとしているのかな?ならば、よ~し、貴方が主役!大将だ!
「そっか、難しいんだね」
「なるほど、○○ね、そうだった」
と、相手を変えるのではなく、自分を変えればどうでしょう。相手を批判せず、穏やかに返してみましょうか。
仮に「前にも教えたでしょ!」と怒られたとしても、
「そうだったね、ごめん。やってみたけど、うまくいかなくて。もう一度、教えてくれる?」
と、冷静に言葉を返すことで、安心して心を開いてくれるかもしれません。
そんなやりとりの中で、懐かしい空気や家族らしい雰囲気が蘇ってくるのを、待ちましょうか。
4. 選んでもらう~”自己決定”で意思を尊重~
料理が得意じゃない家族にも、ちょっと相談してみてください。
「野菜の切り方、どんな形がいいと思う?」
「どう盛り付けたら美味しそうに見えるかな?」
小さな質問でも、自分の意見を求められると、人はつい答えたくなるものですね。
「乱切りがいいんじゃない?」
そんな一言で、世界で一つだけの“うちの肉じゃが”の出来上がり!
「いつも通りでいいよ」と素っ気なく言われても、
「皆の意見が聞きたいな」
「友達に自慢したくて」など、軽やかに返してみてください。
相手に選んでもらう場面を増やせば増やすほど、自発的に関わる余地が生まれます。
“やらされる”のではなく“自分が選んだ”という気持ちは、料理だけでなく、家族の関係そのものも豊かにしてくれますね。
5.話してもらう~”受容”で柔らかく受け止める~
料理をするのが難しい家族とも、「食べる時間」を一緒に過ごしてみませんか?
「これは肉じゃが。玉ねぎと牛肉をじっくり煮込んだの」
「おばあちゃんが昔作ってくれた味を思い出して作ってみたよ」
そんなふうに語りかけながら食べると、自然と思い出話が返ってくるかもしれません。
「ジャガイモが煮崩れてる。まだまだね。」
「昔は料理をするにも苦労したのよ。」
話してくれるのは嬉しいけど、な、長い!終わらない。しかも、どんどん高飛車になってる?
でも、皆様ならしっかり、傾聴しますよね。
どんな辛口で辛辣な話でも、受容の心で受け止めますね。そんなの受け入れられない!でも、大丈夫。受け止めるだけで充分です。
或いは、反応が薄くても、実はちゃんと聞いてくれていることもあります。
食の話題から、「健康」や「暮らし」などへ、話を広げてみてください。
“聞いてもらえてる”と感じたとき、人は少しずつ心を開いてくれます。聞く側の受け止める姿勢が、話を弾ませてくれます。
6. 今夜の献立に:名古屋風、味噌味の肉じゃが
【例えばこんな物語】
今日は“名古屋風味噌肉じゃが”。白味噌、砂糖とみりんで舌に優しいのに後味を残して。「あんた、小さい頃これ大好きだったよね」とおばあちゃんが懐かしむ。
「うん、でも最近は私が作っても、ちょっと味が違うんだよね」と、娘は笑う。
煮込む間、二人は湯気越しに昔話をぽつりぽつり。やがて、こっくりとした味噌の香りが台所に満ち、二人の顔も自然とゆるむ。「やっぱり、おふくろの味だわ」と娘がつぶやくと、おばあちゃんは照れくさそうに「まだまだ負けられないからね」と笑った。
野菜とお肉がうっすら味噌で絡み合う様子は、染み込んでゆく想いのようで。親子の距離が、またひとつ近づいた。
調味料(4人分)
・白味噌(赤味噌とのミックスも可)…大さじ3
・砂糖…大さじ1
・醤油…大さじ1
・酒…大さじ1
作り方
煮立ったら、味噌・砂糖・醤油・酒を加える
中火で15〜20分ほど煮る
じゃがいもが柔らかくなり、味が染みたら完成
📌味噌は最後に加えると香りが残り、はじめに加えるとまろやかに。好みに合わせて調整を。ご家族様にも聞いてみて下さい!
📌味噌は発酵食品で腸にやさしく、肉やじゃがいもと合わせれば栄養バランスも💮。濃い味付けは苦手な方でも、お馴染みの味噌でほんのりした味変なら、親しんで貰えるかもしれませんよね。味の記憶をきっかけに、心もほっこり温まる献立です。

7. 優しい時間が流れますように
来たる将来を意識すると、つい構えてしまうかもしれません。
でも、まずは自然な関わりを大切にしたい。そんなとき、「お料理」がとてもよい入り口になり得ますよね。
一緒に包丁を持ち、味見をし、食べる。
その時間が、家族の絆を少しずつ深めてくれますね。
私は、正直に言えば、相手は高齢者だから、と、割り切ることが時にはあります…。
でも、それだけでは終われない!「関わり方の知識」と、相手がなぜそうするのか?を考える少しの時間があれば、ずっと楽に、沢山の、温かいコミュニケーションがとれるんじゃないか、と願いを込めて記事にしました✨
ご家族様を思う貴方様の気持ち、それだけで本当に立派です。頑張りすぎず、ふっと力を抜いてみて下さい。夕飯に「懐かしい味」をひとつ添えるだけで、優しい時間が始まるかもしれません。今夜はどんな歩み寄りをしてみますか?
この作品は三部作を予定してます。次回は「第二部・非言語コミュニケーション編」です!姿勢、しぐさ、表情……言葉以外の無意識のサインをキャッチできたら、より自然に寄り添えるかもしれません。
「なーんか機嫌悪そう?」
「今日はなんだか、やる気?」
そんな“なんとなく”の感覚を、ちょっとだけ分解して、関わりに活かす種を考えていきます。
次回も、台所でそっと香るような、ささやかな工夫を一緒に探しませんか?!
スキ、や、コメントを、お待ちしてます~!
ご閲覧、ありがとうございました😆

いいなと思ったら応援しよう!
頂いたサポートは両親とのお出掛け代に使わせて頂きます!!!返礼は出来ません、スミマセン!