❅――価値屋《才能を開花させるペン》taste2-3 名前という価値 ・小説VER 

❅キャプション
価値について探す物語。
taste2これにて終了。次はtaste3
≪投稿予定≫
・台本VER
・小説VER
・原案VER(現制作4時間)
(各セクション数は未定。大まか構図あり。設定など少しずつ追記形式。)
とある一言から連想したら物語降ってきた。
僕ならこうやってこたえたいな…なんて思いながら。
…いやなげぇよ、原案。
練り広げていったら脳内ではスクエアに居たので今回は台本tasteにも挑戦してみようかなって。独学の勘ですが。ボイスドラマと迷ったので構成はよくわからん。
あったかい瞳であったかい心で見守りお付き合いお願いします。

❅ *追記
随分本気になってめっちゃこだわってるので気まぐれに気が向いたら有料公開に移動するかと思いますのでよろー。
いつも通りの注意事項でよろしく頼むよっ!

藍堂翔琉


❅――価値屋《才能を開花させるペン》taste2-3 名前という価値 ・小説VER 2024.02.14-





―――✩
Taste2-3 名前という価値





端的に言えば…“ほっとけなかった”。



曲がり角をすぎた少し先。
複雑な心持ちのままさっきより乱雑に歩く私に本日2度目の呼び止める声がした。
「あ、あの…、あのっ…ああっすみません。すみませんっ!!」
その声のぬしは随分幼く可愛らしい見た目をしていた。
その子供が纏う服は煤けてボロボロであるし髪は軋んでいたけれど、黄金に輝くその大きく見開かれた瞳は少し濁りが混ざっているもののその眼差しはとても綺麗だった。
「あ。私かな?なんだい?ん?…君、みかけない顔だね?どうしたんだい?」と怖がらせないように細心の注意を払いながら余計な気を込めない様に努める。
そうすれば、「あの…、あのっ。このペン…。」となんども詰まりながら目の前の小さな子は手の中のものを見せてくれた。
「うんうん、どうしたんだい?ゆっくり言ってごらん。」とどうしても焦る小さな子に言い聞かせるようにして言えば
「あの、このペン買いませんか…、ああっいや買わないですよね」と。
即座に否定されたそれに不思議に思って
「どうしてそう思う?」と問えば
「だって、さっき…。」と濁した返事が返って来た。
そうか、見られていたのか。それは申し訳なかった。公衆の面前であのように憤るのは大小関係なく意図しない誰かに何かを与え負わせてしまうことを身に染みた。
隠れてひとつ息をして
「ああ、あの露店でのことをみていたのか。
ふふ、心配しなくていい。私は“ペン”が欲しくないわけではないんだよ。」
どれ、ひとつ見てみようじゃないか。」
そう微笑んでみれば子供は逡巡したのち
「えっと…このペンは…これは。幸せになれるペン…なんです。」と不安げに言った。
しあわせになれる。デジャヴを感じて焦燥した。こんな小さな子にまであの代物はわたっているとでもいうのか。こんなに真っ直ぐな瞳で。
頭を掻き毟りたくなるようなどうにもできないことがつのっていく音がする。
けれど、子のキラキラとした黄金の瞳をみて気付く。
「ふむ。…そうか。」
ああ、私はまだこの子のものを見てないじゃないか。
子供からペンを受け取って念入りに確かめてみるがどこにも仕掛けは見当たらなかった。
そう、何の変哲もないただのペンだ。
私は、笑いそうになった口角をぐっと抑えて微笑む。
なんだ、あの商人と同じものを売っているとは限らないじゃないか。
私はデジャヴに決めつけていただけじゃないか。
なんて愚かだったんだ。
この子は純粋だ。この瞳は翳ってなどいないじゃないか。
「…いい素材だ。気に入った。ひとつ貰おうじゃないか。」
そう、黄金の瞳に言えば
「え?あっありがとうございますっ!!」と嬉しそうにした。
その嬉しそうに細められた瞳に表情につい少年のあたまをなでてしまった。
驚いてまた嬉しそうに、でも少し悲しそうにした少年を救いたくなった。
「少年、なぜこれを私に売ろうと思ったんだい?」
「…あなたには。」
不意に目を逸らして黙ってしまったこの子を促すように問いかける。
「私には?」
「あなたにはしあわせになって貰いたかった…から…です。」
そう告げたこの子に私も君にしあわせになって貰いたいと思うよ。
けれど、「どういうことかな?」。
「これ。これは特別なペンなんです。このペンはしあわせにしてくれるんです。
だから、もっと売っていっぱい人をしあわせにしたい。…あっ。いや、あの、ごめんなさい。」
それが、君の本音か。とってもいいもの持ってるじゃないか。
この子はなにも捨ててない。
だから、「大丈夫だ。君はなにも悪くない。悪いことをしていないのに謝る必要はないだろう?」。
じっと私を見続ける黄金の瞳に言う。
「それに…しあわせに、か。…それならこのペンの価値をみんなに伝えられるようにしなくてはね。」
そうすれば、聞きなれない言葉を探すように「…かち。」と繰り返した。
たどたどしいその音は穢れを知らないひな鳥の様だった。
「ああ。価値さ。君、ホロゴーストだね?」
だから、核心をつく。
「…。」
ホロゴーストと聞いて体を縮込め固くし震え、頭を庇うこの子を救うために。
「私と共に来るかい?」
「へ?」
飲み込めない意味が喉につっかえた黄金の瞳の雛鳥はまた逡巡を始める。
必死に葛藤する姿を愛おしく思って助言した。
「君が気に入った。私と共に来るかい?」
そうすれば、少し疑った後、頷く黄金の雛鳥。
頷いてみたはいいもののどうしていいのかわからず立ち尽くすしたその小さな背は寂しそうで「ほら。」と虚しく下げられていた手に、手を差し出す。
時間をかけて納得できたのかゆっくりと私の手に小さな手が重なった。
握りつぶしてしまわない様に包み込めば子は握り返した。
努めてゆっくりと歩き出して
「帰ったら温かいスープにしよう。」と声を掛けてみる。
返事はなかったがほんの少し握られた手が愛おしい。
「私は料理が苦手でね。…ろくなものは出してあげられないけれど。」なんて続ければ今度は小さな声で「うん。」と声がした。それは嬉しそうでこちらまで嬉しくて心が温かくなった。あの角を曲がるまで抱いていたものすべてをこの小さな子が塗り替えた瞬間だった。





それからというものの小さな子供改め少年は紳士と話したりご飯を食べたり日常を過ごすした。最初はそれでも紳士を警戒している少年だった。
紳士が少年に不意に手を伸ばそうとすると身を固くして震えた。
それをみた紳士は触れる事を諦め常に話しかけた。
紳士はなにがあっても無理強いはしなかった。
紳士はひとときも笑顔でいることを忘れなかった。
行動を起こすときはいつも少年を呼び、自分が先にやって見せ、紳士から少年に物理的に近づくことはなかった。
そして、呼んだ後は少年が疑いや不安を自分の手で納めて行動できるまで辛抱強く見守った。
時は流れ、いつしか少年はどこに行くにもぴったりと紳士の傍をついて回るようになった。



ある時、紳士をよく知る商店街の店に来た。
朝食のブレッドを買いに来たパン屋。
ロザリーは紳士の学堂の元チームメイト。ロザリーは、ゼロをしたっている。
ロザリーは商店街の立ち並ぶ一角のパン屋さん、人気メニューはブレッドだ。

おじさんをよく知るらしいロザリーさんっていう店員さんは僕をひとめみて「おや、可愛らしい子を連れているね。新しい弟子かい?」て言った。
おじさんは「ロザリー、冗談はよしてくれ、この子は弟子じゃない。」って言った。
そうだ。おじさんはなんでか僕を助けてくれたけどおじさんにとって僕ってなんなんだろう。でも、僕はおじさんにとって大事なんだと思ってた。でも、おじさんにとって違うのかな。こうして一緒に居てくれるだけで充分僕はしあわせ。おじさんといれるだけでいい。いいはずなのにすごくつらかった。
さっきまでわかってた香ってるはずのパンの香りさえよくわからない。
「だろうね、あんたの顔見ればわかるよ」って答えるロザリーさんにどういうことかわからなくておじさんをみて首を傾げればおじさんは笑っていて「この子は私の大事な家族さ。」ってすごく嬉しそうな顔をするから。
なんか、なんか恥ずかしくて俯いた。
なんか急にむずがゆくなったんだ。
でも、すごくすごく嬉しかった。
俯いたことで窓から差し込んで磨かれた床を照らす陽がこんなに綺麗なことを知った。
いつの間にかロザリーさんが傍にいて「チビちゃん、名前は?」って聞く。
僕は答えることが出来なかった。
名前なんて持ってなかったから。
困って固まる僕にこんどはおじさんがもう一度聞く。
「そうだった。君、名前は?」
どうしたらいいだろう?おじさんを困らせたくはないのになんて答えたらいいのかわからない。
分からないから。わからないことが情けなくて恥ずかしくて鼻の奥がツンと痛くなってじわっと目頭が熱くなった。
そんな僕におじさんは出会った時のように優しい顔でいつくしむみたいに温かい手で僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
すこし大雑把なそのあったかさにまた目頭は熱くなる。
ぎゅっと耐えるように唇を結べば
「そうか…悪かったね。すまない。てっきり私は君とこうして心をかわせるようになって慢心してしまった。…いや、それなら名をあげよう。
今日から君はレイ。レイだ。」温かい声で言った。
だけど。
「レ…イ…、0…。」
どうして。
「なんで…僕には何もないから?」
必死で震えない様に力を込めてきけば
「どうしてそう思う?」ってきかれた。
でも、ほんとはきくのが怖かった。
もし、そうだって言われたらどうしよう。
でも、黙ってはいられなかった。
「レイ“0”は、僕は…空っぽだから。」って零せば、力強い声でおじさんは言った。
「違うよ。君は、沢山素敵なものを持ってる。それこそ、私が持ってないものもね。」
分からなかった。おじさんがわからない。
「ないよ。僕はなんにもない。だから。…だから、要らなくなった。」
言いたくないはずの言葉がボロボロと零れては床に雨を降らしている。
「だから捨てられた?」
頷く僕にしっかりと目をあわせて「それは、違う。レイが捨てられたのはレイが何も持ってないからじゃない。
レイが持ってる素晴らしいものが彼らには見えなかっただけだ。
彼らが価値を信じられなかっただけだ。
レイ、レイは目に見えないものは信じられないかい?」
おじさんはきく。
でも、やっぱり「…わかんない。」
そういえば、怒ると思っていたおじさんは優しい顔で言った。
「レイ、私はレイのことが好きだ。とても愛しているよ。もう君は私の家族だ。
でも、好きも愛してるも家族も目には見せられない。
レイは私のこの言葉が嘘だと思うかい?」
これはわかるよ。
「思わないよ、絶対。」
床に降った雨たちを差し込む陽がキラキラと光らせる。
「レイ、私は君の持ってるものに価値があるって思っているよ。」
「レイ、私はゼロという名前だけど私には“何もない”かい?」
僕を助けてくれたこの人がゼロ?“0”だなんて、“何もない”なんてあるわけがない。
「そんなことない!!絶対ない!!」
僕はこの時初めてこの人が、ゼロなんだって知った。
「嬉しいね。レイがそう思ってくれてしあわせだ。」
ゼロは僕の頭を撫でた。
「私はね、私の“ゼロ”も君に授けた“レイ”もとても価値のあるものだって、素敵な物だって思うよ。」
「そっか…。」
まだ僕にはほんとにはわからない。
だけど。
おじさんがゼロなら。
ゼロが言うなら、信じられる。
「難しい話をしてしまったね。けれど、いつか君がこの名前の君にとっての本当の意味を見つけて誇りに思ってくれることを私は信じているよ。」
しゃがんで僕をみつめるゼロは日差しを受けてまるで神様みたいだった。
いつの間にか窓から入って床を照らしていた陽は僕たちに降り注いでいた。
じっと聞いていたロザリーさんが店の奥から焼き立てのブレッドを持っておいでと手招きした。
焼き立てのブレッドの香りがする。
店の奥で差し出されたブレッドはほんのりと甘くて泣きたくなるくらい温かい味がした。
2人が囲むテーブルには豊かな日差しがさしてそよぐ風にふわり向かいの紳士の前に置かれた湯気の立つコーヒーが香った。
ふわり目の前のホットミルクの香りがして向かいの紳士が微笑んだ。







≪黄昏宵闇紛れる夜の魔物。黄金の湖、水鏡。その魔物授けるは魔法のペン。
その魔法にかかればたちまち自信に満ち溢れ生命の水浴びた妖精かのごとく光り輝きその未来は明るく照らされるだろう。
ネェ…キミハダレ?≫

目を閉じて聞いている子が独り立ち竦む。

「僕の名は、」

その子はゆっくり目をあければ黄金の瞳は澄んで輝く真っ直ぐなしたたかな意志の色を宿している。
しゃんと随分伸びた背は彼に似ている。
同じ名をもった家族。
少しはにかんで名乗る彼はもう迷わない。


「僕は…僕は、レイ!!!」



※この作品の初稿はぷらいべったーにて投稿しています。
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その他詳細はリットリンクにて。
https://lit.link/kairiluca7bulemoonsea

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