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いつまで安い? 回転寿司 〜寿司の個人史

コロナでも絶好調


コロナは多くの飲食店にとって打撃だったが、中には絶好調の店もある。回転寿司店だ。

回転寿司大手チェーンは、2019年から2022年2月までに150店増加。10年前に比べ、業界規模は売上高ベースで1.6倍(約7500億円)になった。海外でも人気なのをご存じの方は多いだろう。

私がいた出版界の規模が1兆5000億くらいだから、すでにその半分である。勢いからみれば、今に抜かれるかも。


値上げラッシュか


その回転寿司も、値上げラッシュに無縁ではない。最大手のスシローに続いて、昨日(13日)、はま寿司が値上げを発表した。

うちの近所ははま寿司が多く、よく利用するのでショックだ。

ただ、値上げされるのは300円以上の高い皿で、最安値の110円皿は当面維持されるらしいのが救いだ。貧乏な私は110円皿以外を食べない。(スシローは10月から全価格帯で10円〜30円の値上げ)


「安い寿司」の革命


いまは安くて当たり前の寿司だが、昔は違った。

ちらし寿司は別として、握り寿司は、昭和の時代、子供が家族と食べられるようなものではなかった。大人が接待の時に食べるもので、私が初めて食べたのは、酔っ払った父が持って帰った土産の寿司だった。竜宮城から持ち帰ったのかと思うような美味しさだった。

安い寿司が食べられるようになったのは、1980年前後、私が20歳前後で上京した頃だ。

上京してすぐ、池袋サンシャイン地下の持ち帰り寿司店で、「マグロの握り」ばかりで500円くらいの折りを見つけ、感激の涙にむせびながら(という気持ちで)食べたものだ。

安い寿司の革命を起こしたのは、持ち帰り寿司と回転寿司だった。


回転寿司VS持ち帰り寿司


持ち帰り寿司と回転寿司のどちらが先か。

最初の回転寿司店ができたのは、私が生まれる前、1958年だった。大阪の元禄寿司である。1970年の大阪万博にも出店した。しかし、全国に広まったのは、元禄寿司が持っていた回転システムの特許が切れた1978年からである(かつては「回転寿司」も元禄寿司の登録商標だった)。

持ち帰り寿司店の歴史はさらに古く、1952年に京樽が東京・上野に出した店が最初のようだ。

しかし、「安い」持ち帰り寿司といえば、小僧すしや小銭寿しだろう。それらの最盛期は1980年代だった。

historia氏の「すしチェーン店の栄枯盛衰」というブログから引用するとーー

芸能人の太田博之氏が始めた「小銭すし」や「小僧寿し」などの「持ち帰りすしチェーン」が続々と誕生しました。「小銭すし」はいつの間にか倒産していました。一方「小僧寿し」は1979年には年商531億円をあげて「外食産業日本一」になりました。1980年代には直営店・フランチャイズ加盟店を合わせて2000店舗に膨れ上がり、1991年にはチェーン全体の売上高が1000億円を超えました。

団塊世代の我楽多帳

1980年頃に上京した私の人生には、先に「持ち帰り寿司」が入ってきて、そのすぐ後に「回転寿司」が入ってきた。ほぼ「同着」だが。

最初に行った回転寿司は、新宿西口にあった元禄寿司だったと思う。でも、すぐ東京中にたくさんの回転寿司店ができた。当時は1皿80円ではなかったか(もちろん消費税もない)。

上に紹介したブログにあるように、「持ち帰り寿司」はその後、衰退していった。残っている店は、コロナになって、テイクアウトで持ち直したかもしれないが、回転寿司店もテイクアウトを兼業しているから、やはり厳しいのではないか。

私も、若い頃は近くの「小銭ずし」をよく利用していた。なくなって寂しい。いまは宅配寿司店がその代わりだろうか。

同じ安いと言っても、回転寿司は、職人さんが握っていた。手軽さとともに、そのクオリティで、回転寿司が持ち帰り寿司を駆逐したのだろうか。

しかし、回転寿司店も変わった。2000年代に入ってからはタッチパネルを導入。(2005年、カッパ寿司が最初らしい)

昔のように職人さんを囲んでベルトが回るわけではない。「回転」というより「ベルト搬送寿司」である。それによって、職人さんもいなくなった。

ファミリー層も利用しやすくなった。安さとともに、この今のシステムは、私のような孤食指向にもありがたい。

(まあ、考えると、持ち帰り寿司を、持ち帰らないでその場で食べている、というだけなのだが)

高い寿司も食ったけど


サラリーマンの現役時代には、もちろん回らない寿司もたくさん食べた。

銀座の最高級店と言われる店でも食べた。

でも、値段を考えると、おいしくなかった。

安くなった握り寿司が好きだし、気兼ねなく食える回転寿司の方が私はいい。

1皿最低300円とかにならない限りは、今後も回転寿司店で、ささやかな「贅沢」を味わいたい。

ただ、近所の百合ヶ丘にある「楠本」という回らない寿司店だけは気になっている。

ランチは3500円から、夜はおまかせ握り1万円からの店だ。

何かの病気でもうすぐ死ぬ、とわかったら、ここでランチを食おうと思っている。


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