【Netflix】「鉛の子供たち」 傑作!! ソ連支配下のポーランドで公害と戦う女医の実話
【概要】
鉛の子供たち
Olowiane dzieci
Lead Children
2026
リミテッドシリーズ
16+
ヒューマンドラマ
製錬所の近くに住む子供たちが鉛中毒の症状に苦しんでいることを知った若い医師は、自身のキャリアと安全を危険にさらしても子供たちを救おうと立ち上がる。
出演: ヨアンナ・クーリグ、アガタ・クレシャ、キンガ・プレイス
(Netflix公式サイトより)
予告編(ポーランド語、英語字幕)
【評価】
(ネタバレなし)
2月11日に世界公開されたポーランド産のNetflixオリジナルドラマ。
約1時間×6回。
100点満点で90点。
いやー、これはいい。
最近のNetflixのドラマはひねりが多すぎたり、ポリコレがすぎたりして、ついていけませんでしたが、久々に人間的で、共感でき、わかりやすい、いいドラマでした。
最終回では泣いちゃいました。
2023年に亡くなった、ヨランタ・ヴァドフスカ=クロールという女医の実話をもとにした物語。

ドラマのモデルとなったヨランタ・ヴァドフスカ=クロール博士が事件のあらましを語るYouTube動画↓ ポーランド語だが、日本語自動翻訳で聞くことができる
1974年、ソ連支配下のポーランド。
ソ連のブレジネフ書記長と、ポーランドのエドヴァルト・ギエレク統一労働者党第一書記の時代です。
ポーランドが、「社会主義パワー」で、工業化が目覚ましいと言われた時期でした。
日本で、『エドヴァルト・ギエレクーー発展するポーランド』というポーランド語からの翻訳本が、1976年に出ています。
日本でも「社会主義神話」がまだ生きていた時代でした。
その時代、チェコ・ドイツと接するポーランド西部の工業地帯、シレジアに赴任した小児科医が、「社会主義の奇跡」を生み出すために工場から撒き散らかされる公害、その背後にある社会主義特有の官僚主義、秘密警察、もろもろの政治的陰謀と、いかに戦ったか、という話。
実話をもとにしたとはいえ、ドラマ的な脚色はあるでしょうが、説得力のある演技と演出に引き込まれました。
ソ連の政治権力を象徴するいかめしい建物、工業力を誇示するような巨大な工場、狭い画一的な団地に住む人々ーービジュアルのわかりやすさで、社会主義体制のリアリティを描いています。
ブレジネフのそっくりさんが、眉毛以外似てないのはご愛嬌ですがーーでも、同じ時代を生きた者として、いろいろ感慨がありました。
この物語の6年後には、「連帯」が蜂起して、社会主義体制が崩れていきます。このドラマは、その萌芽を描いているともいえます。
ただ、このドラマで描いているような公害は、東側に特有のものではなく、私も子供の頃、この日本で体験していました。
公害怪獣「ヘドラ」が映画になったのは1971年。
「大気汚染警報」が鳴ると、子供たちは休み時間でも遊びに出られず、教室で「空気清浄機」のスイッチを入れて、待機していました。
もちろん、そういう体験をしたかどうかは、地域によるでしょうが。
今のドラマについていけない、年寄りの私が感動したということは、これは少し古いタイプのドラマなのかもしれません。
上に述べたような時代状況を、もう知らない若い人も多いでしょう。
でも、ナチス・ドイツのファシズムと、ソ連の社会主義の両方に苦しめられながら、独立を守ったポーランドの物語は、歴史の教訓として、我々に勇気を与えてくれます。
若い人にも、シニアにも、お勧めしたいドラマです。

