見出し画像

ショートショートストーリー#38「あなたのクッキー」

僕は、一人の高校生。十七歳の男子だ。

季節は夏本番、まぶしい日差しが、体中を襲っており、今にも肌が黒くなりそうな、そんな日が続いている頃。

僕は一人、涼しくて居心地の良い喫茶店で、冷たいアイスコーヒーを飲んでいた。

とても大人っぽい時間を過ごしていると思っている。

だが、目的はこの喫茶店自体の雰囲気や、マスターと大の仲良しなわけではない。

本来の目的は、ここで働いている一人の女性店員に会いたいがためである。

ここはまだ青春の高校生ということろかな。

その女性店員は、見た目では二十代の綺麗なロングヘアが似合い、とても気さくな人である。

僕はそんな店員に惚れてしまい、夏休みに入ってからはほぼ毎日通っている。

だからと言って、告白する勇気なんて全くなく、いつも席から眺めているだけで僕は楽である。

これは完全に不審者と言ってもいいだろう。

だが、何も頼まないわけにはいかないため、僕は必ず、特製のクッキーを注文している。

ここの特製クッキーは、中になめらかなクリームが入っており、香ばしい香りと落ち着いた味が、クッキーを更に美味しく感じさせる。

もちろん、このクッキーを作っているのは店員本人であり、それも頼んでいる理由の一つなのだが。

今日はいつもより客の人数が少なく感じた。

いつもは大体席は埋まっており、店もかなり忙しそうに動いているのに。

それも今日は土曜日だ。

平日より客が多くても当たり前なのに、どうしてだろうと思いながらも、ふと、近くに飾ってあるカレンダーを見ると、どうやら今日から三連休みたいだ。

「なるほどな」

そう呟きながらも、コーヒーを飲みながら待っていると

「お待たせしました。クッキーです」

店員が微笑みながらも、大きな皿に乗っているクッキーをテーブルの上に置いてくれた。

僕は少し照れながらも

「ありがとうございます」

「毎日来てくれているわね」

店員が爽やかな笑顔で言ってくれた。

僕はその笑顔に心臓を打ち抜かれそうで、今でも鼻血が出るのではないかと思うほどだったが、口調を震わせながらも

「えぇ、このクッキーがお気に入りで」

「そうなんだ」

「はい」

「あっ、今日のクッキーはちょっとしたアレンジを加えさえさせてもらいました」

「アレンジ?」

「クッキーを見てくれたら、嬉しいかな」

「え?」

そう言うと、店員は僕にウィンクをしてから、その場を離れて行った。

僕は何のことかなと思い、ふとクッキーを見ると

「いつもありがとうね」

とハートマークと共に文字が描かれていた。

僕は驚きながらも、店員がいるカウンターの方に目をやると、店員は僕の方を向いて、再びウィンクをしてくれた。

これで僕は決めた。

またこの店に来よう。

そして・・・この人に思いを伝えようと

~終~

いいなと思ったら応援しよう!