見出し画像

無視できない存在に|アサドゥーラ完封勝利の中身【ONE Fight Night 39】

ONE Fight Night 39。
第8試合、ONEフライ級ムエタイで行われた
アサドゥーラ・イマンガザリエフ vs ゴントラニーの一戦を振り返ります。

ちなみに格闘虎の穴が前々から推している選手の一人です。

相手のゴントラニーは、ONEフライ級の旧ランキング4位。
フィームーと分類されることが多い選手ですが、スタイルを細かく見ると、
どちらかと言えば脚をノシノシと使いながら前に詰めてくるタイプです。

大きく跳ねるような出入りではなく、足を運びながら圧をかけ、
相手を自分の距離に押し込んでから勝負する。
そうした組み立てを得意とする選手です。

ただ、この試合では、その形に入る前の段階で、アサドゥーラに主導権を握られていました。

基本があるから、大技が生きる

アサドゥーラを見てまず感じたのは、基本の安定感です。

構え、距離、バランス。
試合を通して大きく崩れる場面がなく、常に軸が保たれていました。

その土台の上にあるのが、バック肘、踵落とし、かけ蹴り、三日月蹴りといった大技の豊富さです。

大技は普通、一か八かになりやすく、外した瞬間に流れを失うリスクもあります。

しかしアサドゥーラの場合、大技は単発ではなく、攻撃の流れの中で自然に出てくる

細かいパンチや前蹴りを見せながら、その延長線上で大技が混ざるため、相手は次に何が来るのかを絞り切れません。

派手ではありますが、無理をしている感じはなく、そこにアマチュアムエタイで作られた基礎の強さが、はっきり出ていたと思います。

バック肘は、昔ながらのムエタイの接近技

ここで補足しておきたいのが、アサドゥーラが見せたバック肘についてです。

バック肘は、最近になって出てきた新しい技ではなく、
伝統的なムエタイでも使われてきた、昔ながらの接近技です。

首相撲やインファイトの流れの中で、距離が一気に詰まる場面で使われてきました。

今回の試合で印象的だったのは、そのバック肘を肘の打ち合いの場面ではなく、流れの中の一つの選択肢として使っていた点です。

ステップやフェイント、パンチの延長線上で出てくるため、相手からすると、「ここで肘が来る」と予測しにくい。

新しい技を見せているのではなく、伝統的な技を、現代的な距離感とリズムの中で使っている。
そこが印象に残りました。

首相撲の解除にも見えた、判断の早さ

この試合では、ゴントラニーが首相撲を仕掛ける場面も見られました。

そこで目を引いたのが、アサドゥーラの首相撲の解除の早さです。

無理に耐えたり、力で押し返すのではなく、しっかり腰を落とし、ゴントラニーの攻撃が来る前に、解除の動作を完了させていました。

首相撲は、一瞬の遅れが膝や肘につながる危険な距離ですが、アサドゥーラは「組まれてから考える」のではなく、組まれた瞬間に判断が終わっているように見えます。

こうした細かい局面を確実に処理できていたことも、ほぼ被弾のない試合内容につながっていたと思います。

ステップリズムの違いが、噛み合いを分けた

アサドゥーラは、ムエタイでよく見られる「前脚を浮かせてリズムを取るタイプ」ではありません。

どちらかと言えば、テコンドーや伝統派空手に近い、
前後に小刻みにステップを踏むタイプです。

常に前後に細かく動きながら、距離とタイミングを調整する。
止まった瞬間が見えにくいステップです。

このリズムに、ムエタイファイターが飲まれてしまう場面は少なくありません。

ゴントラニーも、この試合では例外ではなかったと思います。

一歩ずつ脚を使って詰めていく前に、間合いが微妙にズレる。
狙いを定めた瞬間には、もう位置が変わっている。

そのズレが積み重なり、気がつけば、主導権を握られたまま試合が進んでいました。

連続技で見る、アサドゥーラの攻撃フロー

ここで、アサドゥーラの連続技が分かりやすくまとまった映像を貼っておきます。

▼アサドゥーラの連続技(YouTubeショート)

]この映像を見ると、ステップでリズムを作りながら、細かい攻撃から大技へとつなげていく流れが、一連の動きとして確認できます。

単発の技ではなく、流れの中で攻撃が重なっていくため、相手が的を絞れない。文章で書いてきた内容を、視覚的に補完してくれる映像だと思います。

決着は、流れの延長線上

終盤、踵落としから前蹴りで体勢を崩すと、一気にラッシュ。

三日月蹴りで最初のダウンを奪い、直後に左ボディー。何か一つの技が凄かったというより、ここまで積み上げてきた流れが、そのまま結果になった
そんなKOでした。

ONEフライ級で、確実に存在感を増している

旧ランカー相手に、ほぼ被弾なしの完封勝利。
内容を見れば、
この結果は偶然ではありません。

ONEフライ級において、アサドゥーラ・イマンガザリエフという存在は、すでに無視できない位置に来ていると感じます。派手な技に目が行きがちですが、その裏にある基本、判断の早さ、そしてリズムの作り方。そこが、この試合で一番印象に残りました。


試合全体の流れや技の意味を含めた解説は、本動画でまとめています。

https://youtu.be/l5gMRRBPQH0

ONEフライ級ムエタイ。
今後の展開を見る上でも、
一度しっかり見ておきたい一戦でした。


いいなと思ったら応援しよう!