車椅子の上の平等
2021年8月4日、練習場で落下して受傷。急性期、回復期6か月入院、2022年2月11日リハビリ病院退院。慢性期、自宅で11月から「素引き」始める。
2023年4月12日、受傷後1年3か月ぶりに「30m」初めて射つ。翌13日、70m射つ。5月21日「のじぎく杯」で70mダブル、初めて車椅子の試合に出る。11月5日「フェニックス杯」。2023年3月21日「近畿大会」、4月19日「のじぎく杯」、11月3日「大阪大会」参加。
ちょうど1年半、結構本気でアーチェリーをしているのですが、点数はどうしようもないほどひどいものです。が、それ以前に射ち方がどうしようもなくひどいのです。というか、いろいろ試行錯誤をするのですが、52年やってきたアーチェリーを、どうやって射てばいいのかが分かりません。
普通に射てばいいと思うでしょうが、普通には射てないことが分かったのが1年経ってからでした。頚損や脊損のTh12から上で障がいを負って、車椅子に座っているアーチャーは、健常者のように弓を射てないことが分かりました。断言します。
同じ部位を傷めていても、日々続く痛みやしびれが人によって異なるように、弓を射つことにおいても、すべて異なります。しかしそれだけではなく、「体幹が効かない」ということは、端座位で身体が支えられないのに、車椅子の上でいくら背中と脇を支えたとしても、健常者と同じようにはできません。
できる、できているという障がい者のアーチャーもいるでしょうが、それは間違いです。引いている、射っているというのと、正しく引いている、正しく射っているというのは違います。だから、当たらないのです。すいません。
最近考えているのは、脊損で車椅子の上で、当てるための射ち方はどうすればいいかです。車椅子でも、立てて歩けて、体幹が効く障がい者は、健常者のマニュアルを車椅子の上で目指せばいいのです。そうではなく、体幹の効かない障がい者が車椅子の上で、どうやって射てばいいかです。
この半年考えているのが、「押し手の震えが止まらない」というより「止められない」ことです。練習不足ではありません。プルプルの震えではなく、ガクガクの震えです。一応52年、健常で完璧に止まる押し手は知っています。完璧に10点の真ん中にサイトピンがあって、射つことを覚えています。それをしたいのに、押し手が止まりません。障がい者だからの原因がほかにあるはずです。
例えば、健常者では考える必要もありませんが、フルドローの時に背中にテンションを加えると、震えることなく、押し手が止まるのです。広背筋や大円筋に刺激を与えます。ただそのテンションは、背もたれに背中がもたれていればいいという程度ではなく、「押し当てる」強さが必要です。そのためには背中を傾けなければなりません。弓は大きく左に傾いてしまいます。それくらいに押し当てると、押し手は止まり、完璧にゴールドを狙え、引けるのです。しかし、矢は2的左に刺さります。弓を真っ直ぐに保つと、今度は背中が少し浮き、押し手が震え、エイミングもできず、クリッカーも思うようには鳴らせません。
だから今、弓を真っ直ぐに保って、なおかつ背中にテンションを加える方法はないかと考えています。腸腰筋が効かないのに、脚を踏ん張ってもだめでした。頭の重さは体重の約1/10でボーリングのボールくらいあります。最近、ここにヒントがないかと射って、考えているのですが。。。

今からアーチェリーを始めようとする、脊損の障がい者がいるとして、それを指導する時に、健常者の初心者マニュアルは通用しません。「障がい者マニュアル」が必要です。
1年間何も分からず、昔のような射ち方ができるものと、勘違いして射っていました。昔、世界一美しい射ち方をしたくて射っていたのですが、努力すれば今もそれができると錯覚していました。
何度も聞かされた、失われた機能は回復することはなく、残された機能だけで弓を射つしかありません。ただし、残された機能は、車椅子の上で平等ではないこともわかるようになりました。
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貧しいアーチャーです。点数はお金で買えませんが、もしこの記事があなたのアーチェリーに幸運をもたらすと思われたら、チップをお送りください。
きっとあなたのアーチェリー人生は、素敵なものとなるでしょう。
