見出し画像

オールチタンの車椅子

ちょうど1年前に車椅子を買い換えました。買い換えの理由は、愛妻が車椅子を車に積み込むのに重すぎるというのが、その理由です。

6か月の回復病棟からの退院時には、レンタルで「Molten Wheeliy」に乗っていました。今考えると、車椅子のことなど何もわからずに、ただこれにしただけで、何が良いというものでもありませんでした。踵の褥瘡から考えれば、悪かったのかもしれません。
そして退院から13カ月が経ち、初めてのマイ車椅子「MATSUNAGA H-MAX Wave」を購入しました。これも何かわかって買ったわけではありませんが、クッションはこの時から「ロホ クァドロセレクト」を使っています。

確かに車椅子は自分の「足替わり」なので、合ったものを選ばないといけないのは、多くの先達が言われているとおり、自分で乗ってみて選ぶしかないのが正解のようです。とはいえ、1つのモデルにも無数の組み合わせがあり、角度や長さを自分で調整するというのも、障がい者には簡単な作業ではなく、できません。
結局、新しく買い換えた時にそれが前より良くなったか、で判断するしかないようですが、悪くなれば最悪と言うことです。そして1年半、今回は「軽さ」を最優先にオールチタン製の「TIG Titan Light」を購入しました。値段はほぼ100万円ですが、京都は室外用と室内用ということで、2台の車椅子に公費の補助が出ます。重さ7キログラム、普通の車椅子のほぼ半分の重さで、軽くなったことで積み下ろしだけでなく、扱いや動作も軽くなったようです。

足替わりとしての車椅子はもちろんですが、弓を射つ時の足としての車椅子はどうあるべきか。を5年間試行錯誤しています。とはいえ、だからこそアーチェリー用の車椅子ではなく、普通の生活に使えてなおかつ、そのままの状態で弓も射てる足にしたいと思ってきました。

そこで今回の車椅子で1年間弓を射ってきて、幸い今までの3台の中では一番いいカッコで射てています。以前にも書きましたが、脊損で体幹が利かない状態では、背もたれから「背中を離す」状態では射てません。それに背中が離れると上体の保持だけでなく、なぜか押し手の震えが解消しないのです。逆に言えば、広背筋を背もたれに押し付ければ付けるほど、押し手は止まります。ところが、背中を押し付けようとすればするほど、上体と弓が左に傾きます。そこで弓だけでも真っ直ぐに保とうとすると、正しいアンカー、正しい顔向き、正しい引き手の位置が取れないのです。これぞ「アーチャーズパラドックス」です。

このように悩み、試行錯誤するのは、幸いなことに健常者としての「完璧な射ち方」を知っているからです。もし障がい者になってからアーチェリーを習うのであれば、このような問題は抱えなかったでしょうし、その代わりとっくに挫折してやめていたでしょう。
そこで3年間考えた結論は、1)弓は必ず真っ直ぐに構える。2)背中は背もたれに押し当てる

この相反する2つの条件を満たす「車椅子」と射ち方が必要です。そのために自分に合った車椅子と「微調整」をしなければなりません。しかし、調整の範囲は非常に限られます。できることは、「背もたれのバンド」のテンションです。強く張るか、緩く緩ませるかですが、バンドは車椅子によって「幅」も「本数」も、そして「位置」も違います。これも車椅子が合っているかの条件になります。

この車椅子には幅の違う
5本のバンドが付いていて、それぞれ調整可能です。

ここからは車椅子ユーザーでないと分かりませんが、バンドをたったの5mm締めるか緩めるかだけで、車椅子ごと転倒するかしないかの違いが出ます。5mmはバンドが半分になるので、背中では2.5mmの違いです。これはとんでもなく大きな違いになります。
それに背もたれとはいっても、背中から座面までの範囲を支え、上のバンドは背中を前後させ、下のバンドは動かすことで尻の収まりが変わり、どれも重心位置が大きく変わります。ここにも上体を支える無限の組み合わせがあります。

体幹が利くならともかく、体幹が利かない身体にとっては、車椅子で射つのは、健常者が立位で射つより、はるかに難しいのです。健常者や体幹の利くあなたが椅子に座って射つのとは違います。

いいなと思ったら応援しよう!

亀井 孝のアーチェリーノート 貧しいアーチャーです。点数はお金で買えませんが、もしこの記事があなたのアーチェリーに幸運をもたらすと思われたら、チップをお送りください。 きっとあなたのアーチェリー人生は、素敵なものとなるでしょう。