パッチもんにご注意ください!
大昔、50年以上前ですが、世界チャンピオン ハーディー・ワードの8ミリフィルムを観た覚えがあります。

定かではないのですが、90mを一人で射っては矢取りをするという繰り返しの練習風景です。当時のことですから、今のようにガシャガシャ当たるわけではないのですが、それでも当時なら当たり前のように、矢を抜いてシューティングラインに戻る途中で、毎回歩きながら射った矢をすべてチェックするのです。シャフトの上で転がし、手のひらで廻し、曲がりを見、ノックが真っ直ぐかを確認、ハネを点検し、それが終わると、矢をクイーバーに戻します。
そんなことを何度かやっているうちに、たぶん毎回同じ方向に外れる矢を見つけたのだと思います。その矢を何度か手の上で転がし、廻してみて、突然、膝に掛けて真っ二つに折ってしまうのです。
もちろんアルミアローの時代です。アルミシャフトは「引き抜き製法」といって、アルミの塊からパイプを引き抜いて作ります。製法としては非常にシンプルで安定した、均一な作り方です。重さ、太さ、肉厚ともに、ほとんどバラツキはありません。しかし、そんな矢でもなぜか外れる矢があるのです。シャフトも真っ直ぐ、ノックも真っ直ぐ、ハネも真っ直ぐ、にもかかわらず外れるのです。
それを見つける方法は、唯一実射をすることです。それも長距離で完璧な射ち方を繰り返すことで可能になります。机上の測定では見つかりません。
そこで今回の話です。

各写真の下がマイアロー「Victory VAP-V1 Shaft」です。1ダース=定価¥22500-で売っています。
では、上側の矢はというと、「中国通販サイト TEMU」で送料無料 1ダース¥4776-で売っている「VAPもどき」のパッチもんの矢です。通販サイトにはどこにも「Victory」とも「VAP」とも書かれてはいませんが、これ以外にも「CarbonExpressもどき」などもあり、いくつかの中国通販サイトで売っています。

ロゴのデザインや、その大きさは全く同じです。
ここには「Victory」も「VAP」も書かれています。

研磨を施してあります。

ロット番号が刻印されています。
そして表面にハードコーティングが施されています。
パッチもんとはいえ、この矢だけを見せられると本物との区別がつきません。両方見せられても、本物を知らなければわからないかもしれません。ただし、射てば世界チャンピオンでなくともバラツクだけでなく、割れや折損が起こることがあるので、危険です。

競技用のカーボンアローは「シートローリング製法」で作られます。簡単に言うと「ちくわ」を作るような方法です。マンドレルというステンレスの棒に、半硬化状態のカーボンシートを何枚も巻き付け、テープで締めた後、高温で硬化させます。もちろんすべてはコンピュータ制御されています。
ところがパッチもんは、カーボンの中身が問題になる以前に、カーボン繊維ではなくグラス繊維を混ぜているものが多くあります。その場合、重くなるだけでなく強度が問題になります。また、芯になるマンドレルも、鉄製で精度が出ていないものもあり、手作業で行われるものもあるようです。

中国から流通している模造品に関する警告文です。
ところでアーチェリーとは関係ないのですが、以前中国製のエアロバイクを買ったのですが、すぐにペダルの大きいネジが潰れて使えなくなってしまいました。そこで燕の専門家に聞いたのですが、中国製は鉄やステンレスと言っても、中身が全く違うとのことでした。品質以前の話です。
ということで、高ければ良いということはありませんが、値段に関係なくパッチもんにはご注意ください!
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貧しいアーチャーです。点数はお金で買えませんが、もしこの記事があなたのアーチェリーに幸運をもたらすと思われたら、チップをお送りください。
きっとあなたのアーチェリー人生は、素敵なものとなるでしょう。
