【発売前記事】ドランソードV2はただの「復活」ではない。――公式が金型を商品にした日
📌 本記事について 本記事は、ベイチューブ公式開発者レビュー動画(2026年8月5日公開)、タカラトミー公式商品ページ、公式パーツ詳細スペック、および仮面Aが集計しているWBO大会記録を突き合わせて構成した。発売前(8月8日発売予定)であり、実測重量・競技実績は存在しない状態で書いた記事だ。その点を踏まえて読め。
金型変更が、初めて「商品」になった
フェニックスウイングは黙って金型が変わった。ナイトシールドも、ドランダガーも同じだ。重量が3g増えても、公式は何も言わなかった。判別方法はロット番号と実測値——コミュニティが手探りで積み上げるしかなかった。
ドランソード バージョン2.0は違う。
パッケージの黄色い帯に「アップデートエディション」と書いてある。公式が動画で「V2ブレード」という呼称まで定義した。
金型の世代交代が、初めて表に出た。
これが今回いちばん大きい。強いか弱いかは、その後の話だ。
1. 確定していることだけを並べる

開発者レビュー動画も公開された。
BX-00 【B4ストア限定】ドランソード3-60F バージョン2.0
2026年8月8日発売予定/¥1,600(税込)
変更されたのはブレードだけ。ラチェット3-60、ビットFは従来と同一パーツ
BXベーシックライン、アタックタイプ、右回転。ライン自体は変わっていない
「メタルが増えている」——開発者が動画内で明言
「その分重量も上がって」——同じく明言。ただし増加量の数値は非公表
「より重量の増した攻撃ができる」——開発者が語った変更の狙い
V2と従来ドランソードは、大会では同一ブレード扱い。3on3ではどちらか1本しか使えない(公式明言)
エンブレムがホイール仕様に変更(性能とは無関係)
動画では、V2がメテオドラグーンとペガサスブラストに勝っている。エクストリームフィニッシュも決まった。
だが、あれは商品紹介だ。検証データではない。あの2戦を根拠に強さを語るな。
2. 公式スペックは、3項目すべてが上がっている
ここが今回の核心だ。公式パーツ詳細を並べる。


ドランソード(BX-01) 攻撃55 防御25 持久20
ドランソード バージョン2.0 攻撃60 防御27 持久23
据え置きではなかった。
そして、この上がり方には見るべき点がある。メタルコート版は「各性能+5」の一律加算というのが公式の慣例だ。V2は+5/+2/+3。定型に当てはまらない。塗装による名目上の底上げではなく、設計値そのものの変更として登録されている。
説明文も確認した。従来は「3枚のアッパー刃で相手を斜め上に弾き飛ばすことに優れる。」——V2はこの一文が一字も変わらないまま、末尾に「性能がアップデートされたV2モデル。」が足されただけだ。
設計思想は据え置き。数値だけを上げた。
3. 「メタルが増えた」——問題は、どこに増えたかだ

公式動画は、増えたメタルを黄色でマークして見せている。
マークされた場所は、全て外周リング側だ。中心方向への延長はない。金属アークが周方向に伸びている。
これがドランストライクとの決定的な違いになる。
ドランストライクは、メタルを中央まで繋いだブレードだ。剛性は上がる。だが慣性モーメントへの寄与は限定的だった。
慣性モーメントは I = Σ(m × r²)。 r は回転軸からの距離だ。中心付近は r ≈ 0。そこに質量を足しても、r² がゼロに近いので I はほとんど動かない。
V2は逆をやっている。
増えた質量 Δm が、ほぼ最大半径に置かれている。
ΔI ≒ Δm × r_outer²
これ以上効率のいい質量の置き方は存在しない。同じ1gでも、中心に足すのと外周に足すのでは、慣性モーメントへの効き方が桁で違う。【物理推論】
公式スペックの動き方が、この読みと噛み合う。
攻撃が上がるのは、メタルが増えれば当然だ。だが持久+3と防御+2は、増えた質量が外周にある場合にしか説明がつかない。 慣性モーメントが上がれば、被弾しても回転が落ちにくくなる。踏ん張りが効く。【物理推論】
公式は「攻撃が上がった」とは言っていない。3項目すべてを上げてきた。その事実と、増量箇所の画像は、同じ方向を指している。
4. 現在地——ドランソードは、どこまで落ちていたのか
先に、自分の誤りを訂正する。
俺は過去の質問箱回答で、こう書いた。
「ドランソードは直近の世界的な競技環境――WBO大会データでのスコアゼロだ」
これは誤りだった。
現在の集計データを取り直したところ、該当期間内に入賞記録が1件存在する。
2026年4月4日/River Valley Showdown 2.3(参加26名・RANKED・エクストリームスタジアム)3位:ドランソード 1-60 R
回答執筆時点の手元データに未収録だった。訂正して詫びる。
その上で、現在地を正確な数字で置き直す。
2026年4月1日〜7月31日、RANKED × エクストリームスタジアム、延べ3,277件。
シャークスケイル:748件
ウィザードロッド:747件
エアロペガサス:395件
ワイバーンホバー:183件
コバルトドラグーン:174件
フェニックスウイング:143件
ドランストライク:71件
ドランソード:1件
3,277分の1。0.03%。
「ゼロ」ではない。だが、上位ブレードと同じ土俵にいないことは、この数字が示している。
そして、その唯一の1件が 1-60 R だったことは覚えておく価値がある。3-60Fではない。
5. V2は、環境に戻れるのか
戻れるかどうかは、たった一つの数字で決まる。実測重量だ。
競技玩具研究所の実測値を並べる。
ブレード /代表重量
ドランソード(従来) 34.8g
シャークスケイル 37.2g
フェニックスウイング 38.5g
メテオドラグーン 39.1g
ドランストライク 41.0g
必要な差は、約3g。
過去の金型更新で、実際にどれだけ増えたか。フェニックスウイングは38g台から39g台へ、約0.7g。ナイトシールドは32g台から35g台へ、約3g。ドランダガーは白版(ドランデッキスターター)で36g超の報告がある。
増加幅は0.7gから3gまで、金型によってばらつく。 公式は数値を出していない以上、ここから先は推論だ。
俺の見立てはこうだ。
36g台後半に乗れば、殴り合いの土俵に上がれる。35g台で止まれば、公式スペックが+10動いても、実戦での立ち位置は大きく変わらない。
ただし——同じ+1gでも、V2の+1gは重い。
外周に置かれた質量は、総重量以上に慣性モーメントを稼ぐ。単純な重量表での比較は、V2を過小評価する可能性がある。数字だけを見て「まだ軽い」と切り捨てるのは早い。
判断は、実測が出てからだ。
6. 買うかどうかの前に、知っておくべき2つ
① 3on3で、従来版との併用はできない
公式が動画内で明言している。V2と従来ドランソードは同一ブレード扱いだ。
つまり、V2を買ってもデッキの枠は1つも増えない。これは戦力の追加ではなく、置き換えだ。
「ドランソードを2本入れて連打する」という運用は、最初から存在しない。
② 3-60Fのまま使うことを前提にするな
付属構成は3-60F。だが、直近でドランソードが唯一入賞した構成は 1-60 R だった。
1枚刃は最強クラスの短期決戦ラチェット。Rビットは攻撃軸の中で終盤の粘りを持つ。V2で外周重量が増えたなら、1-60の当たり所の再現性の低さを、慣性モーメントが多少は補う方向に働く。【物理推論】
3-60Fは悪くない。ただ、V2の真価を試すなら、土台を変えて撃つ選択肢を最初から持っておけ。
7. 手に入るかどうかの話
発売3日前の8月5日、公式が追加生産の告知を出した。
品薄および欠品について公式が謝罪し、追加生産分の店頭入荷は2027年1月中旬予定と明記されている。
B4ストア限定。¥1,600。
発売日に買えなかった場合、次の入荷まで約5ヶ月ある。これは事実として置いておく。
急げとは言わない。V2の実力はまだ誰も知らないからだ。
発売後に、何を見るか
発売前分析の仕事は、強いか弱いかを先に叫ぶことではない。発売後に何を見ればいいかを、先に決めておくことだ。
見るべき数字は3つ。
実測重量。 36g台後半に乗ったか。35g台で止まったか。ここが全ての前提になる。
外周重量比。 総重量だけでは足りない。同じ重量でも、外周に寄っているほど慣性モーメントは大きい。持久タイムの実測が出れば、間接的に読める。
WBO入賞データ。 発売から4週間。RANKED × エクストリームで名前が出るか。0.03%が動くかどうかだ。
ただし、海外でのV2の入手難度は不明だ。
この3つが揃ったとき、V2が「アップデート」だったのか単なる「バージョン違い」だったのかが確定する。
俺は仮面A。俺だけを信じるな、一次ソースを当たれ。
参考資料
タカラトミー公式商品ページ(BX-00 ドランソード3-60F バージョン2.0):https://beyblade.takaratomy.co.jp/beyblade-x/lineup/bx00-ds_v2.html
タカラトミー公式商品ページ(BX-01 ドランソード3-60F):https://beyblade.takaratomy.co.jp/beyblade-x/lineup/bx01.html
追加生産に関するお知らせ(2026年8月5日):https://beyblade.takaratomy.co.jp/beyblade-x/news/news260805.html
ベイチューブ公式開発者レビュー動画(2026年8月5日公開)https://www.youtube.com/watch?v=_gTWDg8haKs
競技玩具研究所(パーツ別重量実測)https://kyoganken.web.fc2.com/
WBO大会記録(2026年4月1日〜7月31日/仮面A集計)https://worldbeyblade.org/Thread-Winning-Combinations-at-WBO-Organized-Events-Beyblade-X-BBX
