【リリース4ヶ月目の結論】CXエクスパンド入賞データ 完全解剖
仮面A(エース)だ。
俺の質問箱に下記のような質問がきた。
CXエクスパンド第1弾のリリースからそろそろ4ヶ月。
この機会にCXエクスパンドという新種が環境にどう食い込んでいるのか記事を書く。
4月、「CX CUP 2026完全メタ分析」でCXエクスパンドブレード——バハムートブリッツ・ラグナレイジ・ナイトフォートレス——の設計思想を解剖した。あの時点ではまだ発売直後で、実戦データはほぼゼロだった。
あれから4ヶ月近く経った。
結論から言う。
CXエクスパンドは、もう「新商品の可能性」の段階を終えている。海外の競技シーンでは、日常的に表彰台に乗る構成として定着した。
今回はWBO(World Beyblade Organization)の大会データだけを根拠に、そのことを数字で示す。俺の解釈は挟まない。まず事実を並べる。
📌 この記事について 集計対象は俺が管理するWBO大会データベース(全5,037件の入賞記録)。この中からCXエクスパンドを含む構成で、かつ順位3位以内の入賞デッキだけを抽出した。該当141件。期間は2026年4月2日〜7月17日。
対象は北米を中心としたWBOローカル〜地域大会(参加人数4〜88人)だ。データソースは俺が管理するWBO大会データベースの1系統のみ。日本国内の公式大会(G1/G2/G3・GPシリーズ)の結果はこの数字に含まれていない——国内はWBOのような構造化データベースが存在しないためだ。そのことをあらかじめ断っておく。
全体傾向——ロックチップは3分類で見る
ここで一つ、ロックチップの読み方を先に整理しておく。
【確認済み】
エンペラー・ワルキューレは金属を仕込んだ特別なロックチップ(重量+約3g/+約4g)だが、それ以外のロックチップ(バハムート・ドラン・ソル・ライノ・ウルフ・ヘルズ・ユニコーン等)は素材・重量・形状の性能差がないプラスチック製の【プラチップ】だ。「ラグナレイジ」や「ソルレイジ」のように、ロックチップの絵柄が違うだけのものは本稿では同一のものとして扱う。
以下、ロックチップを「エンペラー」「ワルキューレ」「プラチップ(その他)」の3分類に統合し、メインブレード+オーバーブレードの組み合わせで再集計した。件数と、参加人数×順位係数の加重ポディウムスコア(正規化・最大100)を併記する。
#1 | プラチップデルタP | 21件 | スコア100.0
#2 | プラチップレイジF | 25件 | スコア95.1
#3 | プラチップブリッツB | 28件 | スコア78.4
#4 | エンペラーデルタP | 14件 | スコア57.5
#5 | エンペラーブリッツB | 11件 | スコア53.1
#6 | エンペラーレイジF | 9件 | スコア49.0
#7 | プラチップフォートレスG | 13件 | スコア34.8
#8 | エンペラーフォートレスG | 6件 | スコア16.8
#9 | ワルキューレデルタP | 3件 | スコア14.5
#10 | ワルキューレブリッツB | 3件 | スコア12.4
#11 | プラチップデルタF | 3件 | スコア10.5
#12 | エンペラーデルタF | 2件 | スコア6.9
【確認済み】件数では「プラチップブリッツB」(28件)が単独最多だが、加重スコアでは「プラチップデルタP」(21件・スコア100.0)が最上位に立つ。デルタ系は件数こそブリッツ系に及ばないが、より規模の大きい大会・より高い順位での入賞に偏っていることを示している。
エンペラー・ワルキューレの重量チップ単体で見ると、エンペラーは延べ46件・ワルキューレは延べ8件でロックチップ全体の入賞に絡んでいる。ワルキューレはアプリ内抽選のみで入手難度が高いことが件数の少なさに直結していると見ていい。
設計傾向——4つのCXラインを物理で比較する
件数だけ並べて終わらせるのは浅い。なぜこの並びになったのか、CX CUP記事で解説した設計思想と、慣性モーメント(I = m × r²)・角運動量(L = I × ω)の原則に照らして再確認する。
ブリッツ(B=ブレイク)——点荷重の暴力、25件で単独最多
バハムートブリッツをはじめとするブリッツ系は、重心を意図的に一点に偏らせる「点荷重」設計だ。ブレイクという名の通り、オーバーブレードが既存の偏重心構造の上にさらに重量の偏りを重ねる。
これは慣性モーメントの均等な最大化ではなく、衝突の瞬間に接触点へ質量を集中させる設計だ。当たった瞬間の力積(衝撃)が一点に乗るため、バーストやオーバーフィニッシュを一撃で狙いやすい。1-50・1-60系の低ラチェットとの組み合わせが多いのは、低重心化で懐に潜り込む角度を作り、この点荷重を活かすためだと考えられる。
オーバーブレード搭載構成149件(同一デッキに複数搭載の例を含む延べ数)中、ブリッツ系(バハムートブリッツ・エンペラーブリッツ・ワルキューレブリッツ等)は合計46件——4系統中で最多だ。速攻決着型のフォーマット(3位以内という短期の勝ち上がり)と設計思想が噛み合っている結果だと見ていい。
デルタ(P=ピーク)——既出記事の結論を踏まえる
既に公開した「ユニコーンデルタ分析記事」で、実測・国内外の検証動画を根拠にこう結論している——デルタのメタルブレードは楕円形で、重心を中央に保つほど安定して回る設計だ。オーバーブレードのピークは重心を偏らせる形状だが、攻撃側・防御側に偏らせるほどデルタ本来の中央安定を壊し、実戦では自滅・防御失敗に繋がる。国内外の検証者は全員「ピークを中間(バランス位置)に固定した状態が最も強い」という同じ結論に着地している。
さらにデルタは「弾く」ベイではなく「削る」ベイだ。海外検証(BeybladeGeeks等)では相手を弾き飛ばすのではなく、接触を重ねて相手のスタミナを奪い、スピンフィニッシュで勝つ挙動が確認されている。
デルタ系はユニコーンデルタ・エンペラーデルタ・ワルキューレデルタ等で延べ45件——ブリッツ系(46件)とほぼ並ぶ規模であり、加重ポディウムスコアでは単独最上位(正規化スコア100.0)だ。
これは「点荷重で一撃を狙う」設計ではなく、「中央安定+削り」による安定した長期戦での勝率の高さを反映していると見る方が、既出記事の結論と整合する。
デルタの登場は4月25日。CXエクスパンドの中でも後発ながら急速に定着した系統だと考えられる。
レイジ(F=フロー)——抵抗低減の系譜、合計36件
レイジ系オーバーブレードFは「薄く滑らかな形状で空気抵抗を削る」設計だ。ラグナレイジ・エンペラーレイジ・ソルレイジ・ドランレイジ・ヘルズレイジ等で合計36件を確認した。
空気抵抗は回転速度の2乗に比例して増加するため、高さのあるCXエクスパンド構造では特に効いてくる変数だ。フロー系がスタミナ・持久寄りの入賞に多い(3位入賞の比率がブリッツ系より高い)のは、この抵抗低減設計が「一撃で決める」より「最後まで回り切る」勝ち方と噛み合っているためだと考えられる。
フォートレス(G=ガード)——迎撃特化、合計15件
フォートレス系オーバーブレードGは、上向きの大型刃でスマッシュ攻撃を跳ね返すカウンター設計だ。ナイトフォートレス・エンペラーフォートレス・ライノフォートレス等で合計22件を確認した。
4系統の中で唯一「受けてから勝つ」設計であり、単独での攻撃力より対アタック型の生存性に振った構成だ。件数がブリッツ・デルタより少ないのは、CX CUP記事でも指摘した通り「重量と迎撃を積み上げた分、シュートコントロールへの依存度が高い」という弱点が実戦でも影響している可能性がある——ただしこれは【仮説】の域を出ない。件数の差だけで優劣を断定はしない。
ウィップ——現在データなし
日本では6月13日に発売した「ウィップ」はまだ海外では入賞歴がないため、本稿ではこれ以上言及しない。これはブレードの力が足りないからでなく、日本とそれ以外の地域での発売日および入手難度が異なるためだ。台頭するならこれからだと考える。
まとめ——4層の設計思想は、実戦でも枝分かれしたまま定着した
CX CUP記事で「攻撃一貫(ブリッツ)・スタミナ一貫(レイジ)・防御一貫(フォートレス)」という3方向性を提示した。今回のデータはそこにデルタ(中央安定・削り系——ユニコーンデルタ分析記事で既出)という4本目の系統が加わったことを示している。ブリッツ系が「攻撃密度に振った設計」で件数を稼ぐ一方、デルタ系は加重スコアで頭一つ抜けており、「一撃で決める」設計と「安定して削り勝つ」設計の両方が、3位以内という短期決着フォーマットで機能していることが読み取れる。ただし全順位のデータではない点は明記しておく。
時系列推移——4月から7月にかけて、勢力図は完全に入れ替わった
件数を月別に分解すると、これはただの内訳の話では済まなくなる。
【確認済み】月別のオーバーブレード搭載件数(延べ数)の内訳はこうだ。
2026年4月(総56件) ブリッツ 23件(41%)/レイジ 20件(36%)/フォートレス 12件(21%)/デルタ 1件(2%)
2026年5月(総64件) デルタ 24件(38%)/ブリッツ 20件(31%)/レイジ 13件(20%)/フォートレス 7件(11%)
2026年6月(総21件) デルタ 16件(76%)/ブリッツ 2件(10%)/フォートレス 2件(10%)/レイジ 1件(5%)
2026年7月(総8件・集計期間は7/17まで) デルタ 4件(50%)/レイジ 2件(25%)/ブリッツ 1件(12%)/フォートレス 1件(12%)
デルタ系は4月時点でわずか2%(56件中1件)だった。5月に38%まで急伸し、6月には76%に達している。逆にブリッツ・レイジ・フォートレスは4月に合計98%を占めていたが、6月には合計25%まで後退した。
デルタの5月以降の急伸は、新商品効果に加え、ユニコーンデルタ分析記事で示した「オーバーブレードを中間(バランス位置)に固定した削り型構成」が国内外の検証を経て確立し、ユニコーン・エンペラーといった異なるロックチップとの組み合わせ幅も広がったことが寄与している可能性がある。
ブリッツ・レイジ・フォートレスの後退は、デルタ系への対策不足という単純な淘汰ではなく、環境全体がデルタ系の登場に合わせて再編された結果である可能性がある。ここは4系統間の直接対戦データが今回の抽出範囲にないため、断定はしない。
一つ、釘を刺しておく。7月分は集計期間が7月17日までの約3週間弱で、総数もわずか8件だ。デルタの50%という数字は、6月の76%からの反落と読むより、母数が小さいことによる振れ幅として見た方が正確だ。
メタスコア分析——件数だけでは見えない強さの差
ここまでは単純な件数(本数)の話だった。仮面Aの定例WBOメタスコアレポートと同じ算出式——参加人数×順位係数(1位=3、2位=2、3位=1)の加重ポディウムスコア——をCXライン別に適用する。件数の多さと「表彰台の重み」は必ずしも一致しない。
全期間メタスコア(正規化・最大100)
#1 | デルタ | 100.0
#2 | ブリッツ | 83.6
#3 | レイジ | 77.2
#4 | フォートレス | 29.7
件数ではブリッツ(延べ46件)とデルタ(延べ45件)がほぼ並んでいたが、メタスコアで見るとデルタが明確に頭一つ抜けている。デルタ系の入賞は、より参加人数の多い大会・より上位(優勝)の比率が高い大会に偏っていることを示している。
フォートレスは件数(22件)に対してスコア(29.7)がさらに沈む。件数の少なさに加えて、フォートレス系の入賞は参加人数の少ない小規模大会・3位(優勝ではない)に偏っている可能性がある。CX CUP記事で指摘した「シュートコントロールへの依存度が高い」という弱点が、大規模大会での勝ち上がりを妨げているという解釈と矛盾しない——ただしこれは【仮説】の域を出ない。
月別メタスコア(各月内で正規化・最大100)
2026年4月 レイジ 100.0 / ブリッツ 95.9 / フォートレス 35.2 / デルタ 6.1
2026年5月 デルタ 100.0 / ブリッツ 58.5 / レイジ 45.4 / フォートレス 16.2
2026年6月 デルタ 100.0 / ブリッツ 14.2 / フォートレス 10.7 / レイジ 5.7
2026年7月 デルタ 100.0 / レイジ 22.5 / フォートレス 10.2 / ブリッツ 7.3
ここで件数の分析とは違う事実が出る。
4月は件数ではブリッツ(23件)がレイジ(20件)を上回っていたが、メタスコアではレイジ(100.0)がブリッツ(95.9)をわずかに上回っている。
レイジ系の入賞が、件数は少ないながらより規模の大きい大会・より上位の順位に偏っていたということだ。件数の逆転が起きるほどの差ではないが、「本数が多い方が強い」という単純化はここで崩れる。
5月以降はデルタの優位が件数・メタスコア双方で一致して拡大しており、この点は先の時系列推移の結論を補強する。
まとめ——CXエクスパンドは「メタの一角」になった
141件という数字は、大規模世界大会での実績ではない。ローカル大会の積み上げだ。だが積み上げの数がここまで来ると、「新商品だから強く見える」という話では説明がつかなくなる。
ブリッツ、デルタ、レイジ、フォートレス——4層構造それぞれが違う設計思想を貫いて、それぞれの立ち位置で表彰台に乗っている。CX CUP記事で言った「4層の設計思想が一貫して初めて、それぞれのパーツが意味を持つ」という結論は、この3ヶ月の実戦データでも崩れていない。
一つ、釘を刺しておく。この数字はWBOという海外コミュニティの中だけの話だ。日本の公式大会でCXエクスパンドがどう機能しているかは、まだ誰も体系的にまとめていない。データがないなら、俺はそれを「ない」と言う。誇張はしない。
俺は仮面A。俺だけを信じるな、一次ソースを当たれ。
最後になったが、ここの入賞事例や入賞時のデッキ構成を確認するなら仮面Aアプリ「KAMEN Ace LAB」が便利だ。よかったら活用してくれ。
参考資料——「俺だけを信じるな、一次ソースを当たれ」
WBO(World Beyblade Organization):https://worldbeyblade.org/
仮面A WBO大会データベース(集計元データ)
CX CUP 2026完全メタ分析
ユニコーンデルタ分析記事(デルタの「中央安定・削り」特性の既出根拠)
