おばあちゃんと、一本の口紅が与えてくれたもの
私は自分の簡単な自己紹介記事にて、お洋服やコスメ……おしゃれが好きだとお話ししました。
▼簡単な「私」のプロフィール
ほとんど毎晩、やってくる翌日に着るお洋服のコーディネートを考えて、それに合わせたメイクも大体決めておくことにしています。
つい先日、いつものように自分のコスメボックスを開けた時、どうにも口紅が他と比べて多すぎることに気づきました。見出し画像の口紅(グロスなども含めて)は、すべて私物です。
そこで「私、なんでこんなに口紅ばかり買っちゃうんだろう?」と考えてみました。
すると「おばあちゃん」の姿が、なぜか思い浮かんだのです。
どちらも、すでに故人ですが、父方と母方で二人の祖母がいますが「私」が「おばあちゃん」と呼ぶのは、一人っきり。母方の祖母だけ。
▼父方の祖母が「おばあちゃん」と思えない理由
「私」は、なぜこんなにも「口紅」に惹かれてしまうのか。
今回は、その答えの一つをお話ししていきます。
▼このnoteの登場人物紹介
「私」にとってのおばあちゃん
おばあちゃんは、まさに肝っ玉母ちゃん!という感じの人でした。
そして、ママが亡くなったことをきっかけに、私がパパの実家で生活することになり、離れて暮らすことに対して、ひどく心配もしていました。何せ、当初は「私が引き取る」とすら言っていたそうなので。
夏休みと冬休みにやってくる私に、おばあちゃんはいつも言いました。
「私はね、ママの代わりにまぁちゃんの子を抱くまで、何があったって絶対に死んでなんかやらないからね」と。
私はいつも、これに「うん」と返事をして、いつかきっと来るんだろうその未来を夢見ていました。私は、一本気で芯がある強いおばあちゃんのことを、心から信じていたので、そのおばあちゃんが言う「私が、ママの代わりに見守ってるからね」という言葉は、何より心強かったのです。
おばあちゃんは料理が得意で、外食に連れて行ってもらった時に、私がぽろっと「これ、おいしいね」とこぼすと、その味を自分の舌で覚えて、私に振る舞ってくれました。ある時は、私のために反物から着物を作ってくれました。何より「筋を通す」「義理は守る」ということを、その生き様で私に教えてくれたことは「私」に大きな影響を与えてくれたと思っています。
そして、おばあちゃんは私にとって、何も覚えていないママの存在が確かだったことを感じさせてくれる、生き証人でもありました。
一本の口紅
なんでもできる。損得勘定なしに他人を助ける。もちろん、それを恩に着せたりするような無粋な真似は一切しない。
これぞ、肝っ玉母ちゃん!
どちらかと言えば言葉は荒っぽくて、ビールは一日に一缶の約束をおじいちゃんが破ると、ティッシュの箱でその横っ面を引っ叩いて怒る人でした。おじいちゃんの体を心配してのことで、これが二人の間でのコミュニケーションでもあったのですが。
そんなおばあちゃんは「ちょっとそこまで」というような距離のところへ行くのにも、必ず鏡台にピンと腰かけて、真剣にお化粧をしていました。時間をかけて、丁寧に。
当時小学生だった私は、それを待っている間は「まだかなぁ、まだかなぁ……」なんて思いながら、なんとなく、本当になんとなく、じっとその姿を眺めていました。
おばあちゃんが、口紅を丁寧に唇に滑らせる。
「よし、じゃあ行こう」
これがお出かけの合図でした。
実はママは美容師で、誰よりオシャレをすることが好きな人だったそうです。おばあちゃんも「パーマの練習なんかには、よく付き合わされたよ」と言っていました。
きっと、おばあちゃんが口紅を引く姿を、ママも私と同じように見つめていたのかもしれません。だから、オシャレに手抜きをすることはしなかったのかな?と、あくまでも想像でしかありませんが、思います。
そして「私」も、その血を継いでいるからこそ、オシャレが好きなのかもしれません。もっと言うと、何度おばあちゃんがお化粧をしていた時のことを思い出そうとしても、私の中には「おばあちゃんは最後の最後に、とても丁寧に口紅を引く」というシーンしか残っていないのです。
だから、私のコスメボックスは「口紅」で溢れているのだと思います。
だって、どんなにキレイでかわいいキラキラしたコスメをたくさん見ても「どうしてもこれが欲しい!」と思うものは、いつだって口紅なのですから。
おばあちゃんは最期に
「私はね、ママの代わりにまぁちゃんの子を抱くまで、何があったって絶対に死んでなんかやらないからね」
おばあちゃんは、いつもいつもこう言っていました。私は、それを信じていました。けれど、おばあちゃんが私の子どもをその腕に抱いてくれることは、もう叶いません。素敵な人と出会えたことも、その人を「私の旦那さんだよ」と紹介することすらできませんでした。
あんなにも強かったおばあちゃんは、ガンで亡くなりました。
お見舞いに行った時、ノリおじちゃんが言っていたことを、私は時折思い出します。明日のお洋服を考える時、ファッション雑誌をめくっている時、そして、口紅を塗る時。
「医者からすすめられた治療はな、やらないことにしたんだ。ばあちゃん本人が、髪が抜けるのは嫌だって言うんだよ。俺は、さすがうちの母ちゃんだと思った」
一本気で芯のある、強いおばあちゃんだからこその理由だと、私は思いました。そして、自分を置いて早くに亡くなった娘・私のママが美容師だったことも、おばあちゃんがその決断をした理由の一つにあるのかもしれない、とも。
結婚を決めた時、私と、今はもう正式な夫・のりんこくんは、おばあちゃん、おじいちゃん、そして分骨をしていたため、ママも一緒に眠っているお墓へと挨拶をしに行きました。
のりんこくんは、長い間、両手を合わせていました。どんなことを、おばあちゃんたちに伝えたのかは分かりません。
私は、こう伝えました。
「おばあちゃん、おじいちゃん。それから、ママ。見て、この人が私の旦那さんになってくれる人だよ。とっても素敵な人なんだ。だからね、見守っててね」と。
さて、そろそろ明日のお洋服を決めようかと思います。
それに合わせた口紅も。
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