名前はまだ無い、相棒との出会い。
私の相棒、それはうなぎである。
出会い
出会いは、1年前。
私は友人と地域の春祭りに行き、食べ歩きしながら祭りの雰囲気を楽しんでいた。
歩いていると「メダカ」と書かれたのれんを見つけた。
「ちょっと見に行こうよ!」と言って友人は一目散に向かっていった。
この友人は小さい頃からの仲なのだが、昔から植物や生物に関する興味が強い。
小学校の卒業写真はサボテンと一緒に撮っていた。
のれんの場所に着くと、そこは予想通り、水生生物を売っているお店だった。
メダカにマリモにウーパールーパー、金魚にデメキンになんか綺麗な魚、うなぎ
ん?うなぎ?
ビニール袋に入れられて、ニョロニョロと泳いでいる。
他の魚たちはガラスの瓶とか水槽に入っているのに。
そう思いながら見ていると「珍しいですよーあんまりペットショップとかでは見ないと思いますー」と店員さんが話しかけてきた。
たしかに、ホームセンターなどでたまに水槽などが置いてあるところを見るが、うなぎは見たことが無かった。
というか、そもそもペットとして飼うという発想がなかった。
うなぎは食べるもの。うな重はうまい。
そう思っていたから飼えることに驚いた。
「ちょっと考えます」といってスマホでうなぎについて調べた。
調べてみるとうなぎはむしろ飼いやすい生物であることがわかった。
水質悪化、低水温に強く、酸素不足や餌不足にも強い。
唯一の注意点は、水槽に蓋をすること。(うなぎは脱走名人らしい)
つまり、蓋さえすればヒーターもブクブクも水草もなくて良い!そして、長期で家を離れる時、餌の心配をしなくていい!(設備も餌もあるに越したことはないが)
「そんなに手がかからないのか!」と驚いた
調べ終わったタイミングで友人が話しかけてきた。
「うなぎ飼うの?」
「いやー気になってるけどちゃんと育てられるか心配でさ」
「なんとかなるんじゃない?」
この友人の「なんとかなるんじゃない?」は生物に関する知識を持っているから出る言葉だと思う。
私は「うなぎ飼うの面白そう」と「生き物飼えるか心配」の狭間にいた。
すると友人は、「俺もうなぎ飼ってみたいんだよね。だから2人で飼って、どっちが長生きさせられるか勝負しようよ」と言った。
面白そうだと思った。
そして、友人も飼うとなれば、困ったら相談できるから安心。
私は友人の言葉に背中を押され、購入することを決めた。
売られていたのがちょうど2匹だったので、その2匹は私と友人のうなぎとなった。
帰りに、ホームセンターに寄って、水槽を見に行った。
しかし、水槽は思ったよりも値段が高く、蓋になるものも別で買わないといけない。
どうしたものかと思っているとまたもや友人
「蓋ができればいいなら水槽じゃなくてもいいんじゃない?」
なるほど、確かに。
今は20cmくらいのうなぎだが、大きくなったら大きい水槽を買うことになるだろうし、それでいいのかも知れないと思った。
そして私たちはプラBOXを買った。
「水槽より壁の透明度も下がるから、うなぎとしても落ち着くだろう」という勝手な配慮を言い訳にしながら。

決着
「どっちが長生きさせられるか勝負しようよ」
この勝負は20日で決着した。

友人のうなぎは死んでしまった。
相当凹んでいた。
知り合いからちゃんとした水槽を貰い受ける予定もあったらしい。
勝負には勝った。望まぬ形で。
私は「蓋の閉め忘れだけは絶対にしない」という決意を手に入れた。
(ちなみに友人はその後複数の魚を飼うようになり、今では植物や昆虫も育てて楽しそうにしている)
愛着
飼い始めて3か月が経ったが、いまだに愛着がわかなかった。何がかわいいのかもわからない。
余裕でハムスターとか犬猫のほうがかわいい。
このうなぎをかばやきにして食べることを考えられるくらいで、持ち込みができるうなぎのかばやき店を探そうとしたくらいだ。
今は小さすぎるから食べないけど、大きくなるまで育てて、それでも愛着がわかなかったらおいしくいただこうと思っていた。
低迷期
私の体調が悪くなり、1ヶ月以上餌を与えない期間があった。
正直、うなぎのことを気にしていられないほどだった。
数ヶ月餌が無くても生きるらしいことはわかっていたが、悪いことをした。
多分私は子育てする資格がない。
自分が追い込まれた時、おそらく自分の子どもであっても世話ができない。
しかしうなぎは生きてくれていた。
ただ生きている。そのことがなんだかとてもうれしかったのだ。
相棒
もうここまで手間がかからず勝手に生きてくれるとなると、もはやペットというより同居人のような感覚なのだ。
うなぎに直接何かしてもらったわけではないが、私もうなぎに対して大したことはしていない。
それでもお互いに生きているのだ。
また、今となってはうなぎのかわいさも理解できる。
腹を見せてリラックスしていたり、指を近づけると近寄ってくれたり、ビックリしやすかったり、小さいひれでパタパタと泳いだり。
それでも、うなぎの一番の魅力は手間がかからないことではないかと思う。
勝手に生きて、一緒に生きる。
だから私にとってのうなぎは相棒なのだ。


