石破首相は、自民・公明・立民・維新・国民民の「安全保障政策決定会議」を作り、「対トランプ」に一丸となって臨むべきだ
ドナルド・トランプ米大統領が、2月7日に米首都ワシントンで石破茂首相と会談することになった。第2次トランプ政権発足後、初の日米首脳会談である。
トランプ大統領は、記者団に「日本に大きな敬意を抱いている。日本が好きだ。彼らは私と話すためにやって来るので、楽しみにしている」と語った。
。。。。そりゃそうだよね。
「バイ・あめりか!(アメリカを買え!)」と威勢がいいが、じゃあどこの国がアメリカを買えるの?といえば、まずは中国、インドかもしれんが、同盟国じゃないから。同盟国でどこかといえば、欧州は戦争もあるし、そもそもアメリカを買う金がない。結局、日本だからね。
とりあえず、「何を買ってくれるんか?」ってことで、楽しみなんだろう。でも、アメリカを買えというので、USスティールを買ってあげようとしたんだけど、なんでダメなんだろう?(笑)。
ということで、いまいち論理的に理解することが難しいトランプ政権に、石破政権も霞が関も戦々恐々のようだ。
トランプ大統領は就任初日に、法的拘束力のある「行政命令」と、拘束力のない「大統領覚書」などを合わせて40本以上の大統領令に署名した。
それには、気候変動対策の国際枠組みである「パリ協定」からの離脱や、世界保健機関(WHO)離脱が含まれる。
ただし、トランプ大統領は、WHOについて「我々は1年に5億ドル(約780億円)を支払っているが、中国は人口がもっと多いにもかかわらず3900万ドル(約60億円)だ」と拠出額への不公平感を訴え、米国の拠出額が中国と同程度まで引き下げられるのであれば、「加盟することを再び考えるかもしれない」と述べ、今後の再加盟に含みを持たせた。
国際機関を相手にディールをしようというのだから、参ってしまう(笑)。
しかし、トランプ大統領はつくづく商売人なんだなと思う。政治のパワーゲームは基本的に「Winner take all(勝者総取り)」「ゼロサムゲーム」だが、商売の世界は「Win-Win」だ。自分が儲け続けたければ、相手がいなくてはならない。「ともに儲ける」が商売だ。
だから、一度決めたことでも絶対ではなくディール次第だ。ここに「対トランプ」を考える際の1つのポイントがあるように思うね。
石破政権は今、いろいろ頭を悩ましているわけだが、一番の不安は安全保障政策であることはいうまでもない。
日米の同盟関係に今すぐ大きな変化はないとしても、トランプ氏がアジア太平洋の安全保障について、日本により大きな軍事的負担を求めてくることは 容易に想像できる。
既に、日本は岸田文雄政権時から、防衛力を増強してきた。石破政権下の令和7年度予算案でも、防衛費を増額させている。前年度より約7500億円増の約8・7兆円。初の8兆円台となった。
(社説)防衛予算 妥当性 国会で検証を:朝日新聞
しかし、それでも十分ではないかもしれない。さらなる軍事的負担を負わせるために、トランプ大統領が想像もしなかったような「ディール」を仕掛けてきたらどうするか?
そこで1つ提案したい。
自民党・公明党の連立与党と、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の5党で、「安全保障政策決定会議」を作ってはどうか。
石破茂首相が自民党総裁選に勝利し、「中道保守」を標榜する野田佳彦氏が立憲民主党代表選に勝利した時から、私はずっと言ってきた。戦後、ほとんど他に例がないくらい、安全保障政策に関して、与野党が話し合える環境が整ったということを。
与野党の顔ぶれをみてみよう。 石破茂首相、野田佳彦立憲民主党代表、 前原誠司日本維新の会共同代表など 与野党の主要幹部の多くが、90年代の「政治改革」に「非自民陣営」で取り組んだ共通の経験を持っている。
彼らは、「細川護熙門下生」といえる政治家だ。その他には、野田聖子氏、茂木敏充氏、枝野幸男氏らがいる。石破首相の側近に、長島昭久安全保障補佐官、細野豪志氏という、かつて民主党に属した政治家がいるのも興味深い。
そして、高市早苗も「非自民」で政治家人生をスタートしている。朝まで生テレビのコメンテーターだった高市氏は、無所属で政界入りし、新進党の結党に参加した経歴を持つ。
そして、最大野党立憲民主党の野田代表は党首討論に置いて「安全保障は継続」と発言している。 つまり、少数与党、与野党伯仲と不安定な状況であるにもかかわらず、日本の安全保障政策は与野党の合意によって強くなる可能性がある。
戦後、日本では安全保障政策に関して、与野党が話し合って合意を得ることはほとんどなかった。
常に与野党は安全保障政策を巡って衝突した。与党が前に進めようとしたとき、法案は強行採決で成立することが多かった。
だが、野党側にも保守的な思想信条を持つ政治家がいた。それが、前述の野田氏、前原氏、長島氏、細野氏らだ。
民主党政権期に外交や安全保障政策に取り組んだ。彼らは「普天間基地移設問題」「尖閣諸島沖の日本領海に侵入した中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事故」「尖閣諸島の国有化」など、非常に難しい判断を迫られる政治課題に直面した経験を持っている。
もちろん、民主党政権の運営の稚拙さは批判されてきた。だが、少なくとも彼らは、厳しい国際情勢にリアリスティックに対応することの重要性を知ることになった。
彼らは、2016年の安保法制の審議の時、11法案すべてが「違憲」であるとは考えていなかった。法案の中には「合憲」のものもあり、さまざまな問題点を修正しながら、国際情勢の変化に対応する安全保障政策を実現していくべきだというのが、彼らの「本音」だったはずだ。
安保法制に関して安倍政権と全てにおいて相容れないということはなく、国会審議において政権と是々非々で議論をする準備をしていた。
だが、安倍政権が野党の保守派と協議しながら国会審議を進めることはなかった。その根本的な原因は、4月末の安倍首相(当時)の訪米、米議会での演説である。
首相はこの演説で「今夏に安保法制を成立させる」と宣言した。本格的な国会論戦が始まる前に米国に法案成立を約束してしまったのだ。これが、「原理主義者」「ロボコップ」と呼ばれる堅物の岡田克也代表を完全に硬化させ、他の民主党の保守系議員たちをも大激怒させてしまった。
彼らは、「安保法制の全てに反対ではないが、安倍にだけはやらせない」と言い放ち、安倍政権の安保法制に全面的反対の姿勢を取った。
これは要するに、安倍首相や麻生副総理など「世襲の保守」が、「一代で政治家になろうとして、自民の選挙区が空いてなかったから民主にいくしかなかった者など保守とは認めん」という態度をとったから、野党側の保守派が感情的に反発してしまったということだ。
安保法制は結局、強行採決で可決されたが、その後、与野党は安全保障政策において、特に野党側の感情的は反発が強く、全く話し合いの余地がなくなった。安全保障に関連する政策は、ことごとく強行採決された。
強行採決は、やはり国民に対して印象が悪い、内閣支持率の下落に直結するし、内閣が不安定化することになる。
岸田文雄内閣が退陣したのも、突き詰めれば支持率の下落が原因。それは突き詰めれば首相が「増税メガネ」と呼ばれたように、将来増税が実行されるという国民の不満。その増税とはなにかといえば、要は「防衛増税」だ。
つまり、安全保障政策の不安定さが、内閣を倒したということだ。
このように、与野党が話し合いなく激しく批判し合ってきた安全保障政策の意思決定の場だが、対トランプを考えた時、それはこれまで以上に問題となる。
トランプ大統領は、国際的なルールや秩序を守るよりも、首脳同士が刺しで話してディールをするのを好む。ルールを超えて、国内を抑えて、決断ができる首脳を好む。
そんな大統領は、日本に対して安全保障でより大きな負担を求めたい。その時、石破首相が野党を抑えられず、右往左往する姿をみせたらどうなるか?
日本は、安全保障政策でもめている場合ではないのである。
だが、幸いなことに、野党側は「中道保守」が主導権を握っている。世襲保守に対して感情的になっていた人たちが、話し合いの場に戻ってきた。
このnoteで何度も繰り返し述べてきたが、野田代表が「安全保障政策は岸田政権を継続」と述べているくらいだ。与野党の違いは「防衛増税」の賛否だけだが、これは、最終的には「防衛国債」で合意できる。例えば玉木代表が「教育国債」を訴えたように、野党は「国債」が好みだからだ(笑)。
この状況を生かして、自民党・公明党の連立与党と、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の5党の「安全保障政策決定会議」を作るべきだ。一丸となって、「対トランプ」に知恵を絞るべきなのである。
もちろん、国内政策は「選択的夫婦別姓」など、徹底的に議論すればいい。自民党とそれぞれの党が議論していけばいいし、野党間で政策実現競争をしてもいい。
一方、外交・安全保障政策は与野党の争点とせず、政争の具としない。英国など欧州の政治では当たり前の形に、日本が初めてなることができる。
石破首相は、トランプ大統領との初めての日米首脳会談に臨む。「バイ・アメリカ」に応えて、さまざまな投資案件のお土産を持って行くのだろう。だが、それでも想像を超えたぶっとんだ無理難題を突き付けられる可能性がある。
しかし、石破首相は一人で抱え込む必要はない。野田代表、前原代表など、
「中道保守」全体で無理難題を共有する。一丸となって頭を絞って対策を練り、堂々とトランプ大統領に対峙すればいい。
その時、トランプ大統領から「あいつはいい奴だ」と、かつての安倍元首相のように、信頼を得ることができるかもしれない。
