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DB試験:「脱落率67.3%」の計算根拠と分析モデル

こちらの記事で、「全受験者のうち約3人に2人(67.3%)は、合格することなく市場から脱落していく」という衝撃的な推定を紹介しました。

本記事では、「67.3%」という数字がどのようなデータと分析モデルから導き出されたのか、その分析の根拠とプロセスを詳細に解説します。


「5.8回」と「1.9回」のギャップ

私たちが分析の起点として利用できる公式データは、以下の2つです。

  • 合格率:17.2%(令和6年度実績)

  • 合格者の平均受験回数:1.9回(iTEC社統計)

ここで、まず一つの思考実験をします。

もし、DB試験の受験生が「合格するまで絶対に諦めなかった(=脱落者がゼロ)」とした場合、合格するまでの平均受験回数(期待値)はどうなるでしょうか。

これは単純な計算で求められます。合格率の逆数です。

1 / 0.172(合格率) = 5.81回

もし誰も脱落しなければ、合格者は平均で約5.8回受験しているはずです。

しかし、実際のデータは1.9回です。

5.81回と1.9回。この圧倒的なギャップこそが「生存者バイアス」の正体です。

この差は、「2回、3回と挑戦して合格した人」の数が極端に少なく、その前に大多数が「脱落」していることを示唆しています。

不合格時の「脱落率 d」を推定

このギャップを埋めるのが、「脱落率 d」、すなわち「1回不合格になった受験者が、次も再挑戦せずに脱落する確率」です。

この「脱落率 d」を求めるため、以下のモデル式を使用します。

  • Es:合格者の平均受験回数(= 1.9)

  • p:合格率(= 0.172)

  • q:不合格率(= 1 - p = 0.828)

  • d:脱落率(求めたい数値)

合格者の平均受験回数

この式は少し複雑に見えますが、「不合格になっても脱落しなかった人 (q(1 - d))」が再挑戦を繰り返すことを考慮したモデルです。

この式に、実際の数値を当てはめて d を求めます。

1.9 = 1 / (1 - 0.828 × (1 - d))

両辺の逆数をとって
1 / 1.9 = 1 - 0.828 × (1 - d)
0.5263 = 1 - 0.828 × (1 - d)

移項して
0.828 × (1 - d) = 1 - 0.5263
0.828 × (1 - d) = 0.4737
(1 - d) = 0.4737 / 0.828
(1 - d) = 0.5721
d = 1 - 0.5721
d = 0.4279

この d = 42.8%が「1回不合格になるたびに脱落する人の割合」の推定値です。

最終的な「生涯合格率」を計算

「不合格になるたびに42.8%が脱落する」という前提(つまり、「継続率」は 1 - 0.428 = 57.2%)が分かりました。

これを使い、全受験者のうち、最終的に合格できる人の割合(生涯合格率)を計算します。

  • 1回目で合格する確率
    17.2%(残りの82.8%は不合格)

  • 2回目で合格する確率
    (1回目不合格 82.8%) × (継続率 57.2%) × (2回目合格 17.2%) = 8.1%

  • 3回目で合格する確率
    (1回目不合格 82.8% × 継続率 57.2%) × (2回目不合格 82.8% × 継続率 57.2%) × (3回目合格 17.2%) = 3.9%

  • 4回目で合格する確率
    ...(以下、無限に続く)

これをすべて足し合わせると、最終的に合格できる人の割合が求まります。

生涯合格率 = 17.2% + 8.1% + 3.9% + ... = 32.7%

まとめ

全受験者のうち、最終的に合格できるのは約32.7%であると推定されました。

したがって、合格することなく市場から去っていく「脱落者」の推定割合は、

100% - 32.7% = 67.3%

となります。

これが「DB試験の挑戦者のうち、約3人に2人は合格せずに脱落している」という推定の計算根拠です。

この分析モデルの前提条件(注意点)

これはあくまで2つの数値から導いたシンプルな分析モデルです。

この分析モデルは、あくまで私たちが直面している試験の全体像(=受験者層の概要)をマクロに把握するために立てたものです。したがって、個々の事情を反映した厳密な正確性を追求するものではなく、大局的な傾向を理解することを目的としています。

その上で、このモデルは以下の仮定に基づいています。

  • 合格率は常に17.2%
    実際は、年度ごとに合格率は変化します。

  • 脱落率 dは常に42.8%
    実際には、1回目の不合格より5回目の不合格の方が脱落しやすい(脱落率が上がる)かもしれません。

  • 受験者層の実力は均一
    この分析モデルでは、受験者の実力差を考慮していません。

とはいえ、この2つの数値(合格率17.2%、合格者の平均受験回数1.9回)の裏に隠された「生存者バイアス」を考慮すると、DB試験とは「挑戦者のうち、最終的に合格できるのは約3人に1人」という非常に過酷な試験であるという実態が浮かび上がってきます。

戦略的学習の第一歩は、この「敵」の本当の姿を客観的に知ることから始まります。

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