2026年のAI動画界隈、もう無理ゲー? 私のゆるアニメ撤退記録
こんにちは。
鴨葱あひるです。
必死で製作していたYouTubeのゆるアニメチャンネルを休止する決心をついにした。
……なんて、大層な言い方をするような大きなチャンネルじゃないし、なんだったら収益化までの道のりだってまだまだ遠いのだけれども。
こうして宣言でもしておかないと、
いや……、やっぱり……、もうちょっと……。
とずるずる更新を続けしまいかねないので、いったん退路をふさいでみることにした(笑)
それくらい、このチャンネルには愛着があったし、私自身も「サブスク代くらいは何とかしたい!」と本気で取り組んでいた。
だけど、AIやYouTubeを取り巻く環境は、ここ1年で想像以上に厳しく変わってしまった。そして今なお、現在進行形で厳しい方向にどんどん進んでいる。
ジャンルによっても難易度は違うと思うけれど、私が特に「これは無理だ」と感じたポイントを、振り返りもふくめて正直にまとめてみたいと思う。
これからAI動画に挑戦しようと思っている人、今まさに制作を続けていて「なんか疲れてきた……」と感じている人にとって、私の経験が少しでも参考になればいいなと思ってる。
構造的な問題の解決方法を提示できるわけではないし、万能な答えも持っていない。
それでも、その問題を知った上で取り組むのと、何も知らずにもがき続けるのとでは、心の消耗のしかたは、たぶん全然違う。
私は8ヶ月かけて、この結論にたどり着いた。
ついでに言うとYouTube歴は9年ほどあって、基本的な運営の仕組みについては、ある程度わかっているつもりだった。
それでもはまってしまったAI動画の罠とは……。
サブスク代が高すぎる
AIがこの世に登場した当初。
「ユーザーが増えればスケールメリットで単価が下がり、サブスク代ももっと安くなるはずだ」
という意見が多勢をしめていた。
けれど、実際はどうだったか。
ChatGPTに代表されるようなLLMは確かに安く使えるようにはなったけれど、画像や動画を制作する、いわゆるクリエイティブ系のAIは価格が高くなる一方だ。
ベーシックプラン。
プレミアプラン。
などのプランそのものは値上がりをしていないから、パッと見では気づきにくいかもしれないが、新しいツールになればなるほど必要とされるクレジット数が多くなっている。
今までならベーシックプランで1ヶ月5本の動画が作れたのに、今は1本がやっとになってしまった……みたいな感じだ。
厳密に言うならば、古いバージョンのツールなら安く使えることもある。使い放題になっていて、クレジット消費を気にしなくてすむこともある。
だけど。
AIは掃除機や洗濯機のような成熟した製品ではない。
洗濯機の型落ち2世代前なら、新製品とくらべてもさほど違いはないはずだ。色がちょっとやぼったいとか、ボタンの位置が微妙だとか、その程度のものだろう。
だけどAIは違う。
発展途上の製品だから、2世代前ともなると、とてつもなく古く感じる。
洗濯機で例えるならば、最新のドラム式洗濯機が二槽式洗濯……どころか、洗濯板とたらいにまで後退しているような感覚だ。
高くて高性能のAIツールと、安いけど明らかに性能の低いツール。
もちろん、性能が低いなら低いなりの楽しみ方もあるとは思うけれど、素敵な動画があふれかえるYouTubeの中で、洗濯板で戦うのはあまり分が悪い。
目指すのは映像クリエイターなのか
傑作と言われるようなAI動画を作る人たちがいる。
自分も似たようなツールを使っているのだから
「頑張ったら、似たようなものを作れるんじゃないか」
と勘違いをする。
AIが能力の差を埋める時代になる、なんてまことしやかにささやかれるものだから、そんな妄想も何となく現実味があるように感じてしまう。
でも。
だからといって。
大作を目指してAI動画を作ると、たいていの場合は息切れしてしまう。特に私の場合は、クリエイターになりたいのではなくて、あくまでも「YouTuber」でいたかったのだから尚更だ。
クリエイターを目指す人たちの作品は素晴らしい。
だけど彼らの最終目標はあくまでもクリエイターになること。YouTubeの広告収益などという不安定なものに依存しようとはしていない(ように見える)。
だから、時間とお金をたっぷりかけて、自分の納得のいく1本をYouTubeにアップする。
アルゴリズムや広告収益を考えるならば、週に2~3本は投稿したいところだが、彼らは焦らない。
彼らの動画はあくまでも作品であって、YouTubeチャンネルはポートフォリオの一部なのだ。自分の実力を展示して、多くの人に知ってもらうための場所。
YouTuberであることを目指す私とは最初から立ち位置が違う。
立ち位置は違うけれど、同じアプリの上をAI動画が流れて行く……。
量も質もどちらも取ることは難しい。
圧倒的な質を横目に見ながら、それでもYouTuberとして量を取るための作業を続けるのは、想像以上に精神を削られる。特に私はすぐに完璧を目指したくなってしまう性分だったから、余計にフラストレーションがたまることになった。
クリエイターを目指すなら、AI動画は大いなる可能性を秘めた素敵なジャンルだと思う。
だけど。
もしも私のようにYouTuberとして、広告収益を狙いたいと思っているのだとしたら、それは構造的に負け戦になりがちだということだけは知っておいたほうがいい。
動画の尺が短すぎる=再生単価が低い
「そのうち長い動画も作れるようになるんだろうな」
そんなぼんやりした思いで始めたAI動画だったが、長い動画を作るのは今の段階ではまだまだ難しい。
しかも長くすればするほど、クレジット数(経費)がかかってしまう。もちろん時間もかかる。
ひとりで作業をしているならば、現実的な長さは3分が限界だろうと思う。
そして。
この3分がなんとも中途半端な数字なのだ。
もっとギュッ!と縮めてショート動画にしてしまえば、露出も増えるし、おそらく登録者もすぐに増える。
だけど、収益化条件の3ヶ月で1000万再生はかなりハードルが高いし、仮にショートで収益化したところで、1再生あたり0.01円~0.02円程度の収益にしかならない(ジャンルによって上下あり)。
3ヶ月で1000万再生が厳しいと思っているのに、その1000万再生を達成したとて、10万円~20万円にしかならないとうあまりにも非情な現実。
TikTokとの両輪で転がせば、まぁ、なんとなく良い感じのところまで行けそうな気はするが、動画が資産として積み上がらないのが嫌で、私はこちらには手を出さなかった。
だったら、長尺だとどうなるのか、という話なのだけど。
3分の動画は、長尺とも相性が悪い。
YouTubeには「ミッドロール広告」というのがあって、動画と動画の間に広告が挟まれるようになっている。このミッドロールが実はかなりの稼ぎ頭なのだけれども、8分以上の動画でしかこのミッドロールを使うことができない。
3分の動画は対象外なのだ。
私のもうひとつのチャンネルでは「何がなんでも8分以上!」の精神で動画を作っているので、低い、低いと言われるミッドロールなしの広告単価の水準を、実は私は知らない。
なのでAIにたずねたみたところによると、私の作っていたゆるアニメ(エンタメ系ジャンル)は特に広告単価が低いとかで
① 3分動画の場合(ミッドロールなし)
想定RPM(1,000再生あたりの収益)
日本向け・ゆるアニメ系だと、かなり現実的に見て
= 1再生あたり 0.05〜0.15円
調子が良い月でも
0.2円 / 再生 を超えることはほぼない
② 8分以上+ミッドロール1本入れた場合
ここで一段階は上がる。
= 1再生あたり 0.12〜0.3円
ただし、ミッドロール地点まで視聴されないと意味がない。
約半分、といったところだろうか。
広告単価は低いだろうな。
という覚悟は最初からしていたので、とりあえず驚きはない。
夢がないな、とは思うけど。
で。
この状況を打破するにはどうすればいいかと言えばそれはもう、本数をあげて数で回収するしかない。
収益化ポリシー違反の可能性
クリエイターを目指す人たちのような、高レベルの作品を週1本、あるいは月1本ペースで投稿していては、とても勝ち目がないということはわかった。
ならば本数を増やさないと……。
となった時、私が思い付いたのが「ゆるアニメ」だった。擬人化したモノたちの独り言を集めたような動画で、ほぼ口パク。画面展開も極力なしで、時折インサート映像を入れるくらいの、最小限の構成にとどめた。

ゆるテイストの静止画を元に、モノにおしゃべりをさせる。
これなら、構図変更もほとんど必要ないから、クレジット消費もおさえられる。何よりも、制作時間が格段に短くなって、週3~4本は投稿できるようになった。
AIに相談もして、収益化ポリシーにもひっかからないだろうということで、この形での投稿を3ヶ月続けた……。
……ところで、皆さんご存じの通り、YouTubeの垢バン祭りが始まった。
ずんだもんが軒並みアウトになり(※後に復旧したものも多いと聞く)動きの少ない動画はテンプレ動画と見なされる傾向が強くなった。
いやいやいやいやいや……。
AIのポン出し動画だったら、私いま頃どんだけ楽してると思う? 毎日PCに貼り付いて1日中作業してるんだよ。それのどこが人の手が介入してないって判断になるの!?
と、言いたいところだけど。
まぁ、私はそもそも収益化していないので、垢バンとは無縁の状態だった(笑)
でも。
もしも収益化条件をクリアしたとしても、今の状況で収益化の許可がおりるのかな、という疑問は当然残る。
ふたたびAIに相談してみると。
現状のスタイルのままでは、収益化審査で「繰り返しの多いコンテンツ」または「低品質なコンテンツ」と見なされ、不合格になるリスクが極めて高いです。
うん。
やっぱりそうなるよね。
サブスク代が重い
↓
その割に広告の再生単価が低い
↓
そもそも収益化されるかわからない
この三重苦のような状況で、それでも私はまだ、ゆるアニメを続けようと思ってた。
我ながら諦めが悪い。
どんなに不可能に思えることでも、ワンアイデアで突破口は開けるはず。
なんでかわからないけど、昔からこういう考え方をする癖があって「もう無理」と思ったところで、さらにもう一歩踏み込んで戦いたくなる。
だから、今回もそう。
八方塞がりに見えるけど、すべてをまるっとおさめる動画のアイデアが、まだ発見されてないアイデアが、きっとどこかにあるはず。
そんなことを思いながら、YouTubeをぼーっと流し見する日々が続いていた。
そうして。
あぁ、本当に無理かもしれない、と思う現象に出くわした。
模倣者だらけの世界
影ぼうさんの「開拓者」というMV。
めちゃくちゃ話題になったので知っている方も多いと思う。
動画が流れて、ギョッとした次の瞬間にはその世界観に引きずり込まれる。圧倒的な存在感、映像、音楽のセンス、すべてが研ぎ澄まされている。
たった1本の長尺動画しか公開されていないのに、その再生数はすでに360万回を越えている。
なにがしかのプロが趣味で作った作品かもしれないな、と思うほどのクオリティなのだけれども、私が「無理かもしれない」と思ったのはそこではない。
影ぼうさんの「開拓者」を真似する動画がわらわらと現れたのだ。
最初は
「ABテスト的に、違うアカウントで少しずつテイストの違う動画を流してるのかな?」
と思った。
それくらいにそっくりだった。
AI動画をある程度作ったことのある人たちならわかると思うけれど、作品を真似すること自体はそんなに難しくない。
Sunoで音楽を作って。
Midjourneyで画像を作って。
Klingで動かして。
あとは、premiere proあたりで編集をすれば、似たような作品はきっと作れるだろう。
いや、作れるからこそ、似たような作品がわらわらと生まれているのだ。
「後発組だからこそ、成功者のフォーマットを真似して戦おう」
そんな考え方は昔からあった。
私ももうひとつのYouTubeチャンネルではどれほど真似をされたかわからない。たまたま流れてきたサムネを見て「あれ、私こんな作品いつ作ったっけ?」って一瞬考えてしまうほどにそっくりな作品もあった。
だけど、かつての「パクリ」はどこかに後ろめたさがあった。
「できることなら本家に見つかりませんように」といった控え目な空気をそこかしこに感じることができた。
けれどAI時代において、模倣は「攻略法」になった。
成功したフォーマットを見つけたら、AIを使って最短距離でコピーを作る。あまつさえ作者本人の名前をハッシュタグに利用して、関連動画に掲載されるチャンスをうかがう。
リスペクトも、オマージュも、そこにはない。
あるのは、徹底的に効率化された攻略法だけだ。
この現実に直面した時、私は心の芯まで冷え切った。
「やめよう、もうやめよう……」
たとえば私がなんとかして「ゆるアニメ」を継続するためのフォーマットを考えついたとして。そしてそのフォーマットがうまい具合に再生数を稼ぐようになったなら……。
あっという間に誰かに真似をされ、何事もなかったかのように似たような動画が生産され続ける。
必死の思いで生み出したアイデアも、AI動画の世界では一瞬で消費されて終わるのだとしたら、ついつい完璧を目指してしまう私の戦い方は圧倒的に分が悪すぎる。
見えない出口と撤退の決意
「趣味で月1投稿でもすれば?」
とAIには言われたけれど、月1投稿のためにサブスク代を払い続けるのもなんだか違う気がする。
重たいサブスク代
低い広告再生単価
収益化の不透明さ
堂々と模倣する人たち
AI動画を作り続ける限り、こういった問題と戦い続けるのだとしたら、私の心はもう
「疲れたよ、パトラッシュ」
状態だ。
壁際におかれたお気に入りのソファの上で、私はちっちゃく丸まって、ただボーッとしていたい……。
顔出しに切り替えて、運営をすれば模倣リスクは減るし、垢バンの恐怖も薄れるかもしれない。
でも、YouTubeのポリシー説明はいつも曖昧で、どうとでも取れるような言い方しかしない。
そんなYouTubeを相手に、AI動画で真正面から戦うのは、限界だな。そう感じた。
今は過渡期。
いずれAIの立ち位置がもう少し安定して、プラットフォーム側の低品質コンテンツの線引きがクリアになったら、そのときはまたYouTubeに新規チャンネル作るのもありかな、とは思っている。
その頃にはきっと、コンテンツは今よりももっともっとあふれかえっていて、競争も熾烈になっているんだろうけど。
何が正解かなんて誰にもわからない。特にAIの進化はいつも予想の斜め上だから、想像しても仕方ない。
それでも「AI動画を作るんだ!」という人はまだまだたくさんいるはずだ。
制作の過程って、ちょっとしたギャンブルみたいに刺激的で、楽しくて、やめられない魅力がたっぷり詰まっているから……。
実を言えば、撤退を決めた今でも、私の中にはまだ「戻りたいなぁ」という気持ちがちっちゃく残っている(笑)
でも。
たぶん、ちょっと頑張りすぎた。
ちょっとだけ、インプットの時間があってもいいかな、ってそう思っている。
ちょうど季節は真冬の2月。
家にこもってボーッとするには最高の季節だ。
以前の趣味だった、ガラスペンと万年筆インクを引っ張り出して、なぞり書きをしながら、少しの間、ゆっくり羽休めをしようと思ってる。
なんだかすっかり長くなってしまったけれど、ここまで読んでくれたあなた、どうもありがとう。
そして、これからAI動画に挑む人たちが「事前に知っておいてよかった」とちょっとでも思ってもらえたら、それだけで嬉しいです。
鴨葱あひる
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