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クリームソーダ

それは、真っ赤なさくらんぼが、のっていた。

ビー玉みたいな、緑色のソーダ。

大きい雪玉みたいな、白いアイスクリーム。

幼き日の思い出。


祖母と飲んだクリームソーダが、今でも、ふと、目の前に蘇る。

田舎の駅ビル、片隅にあった喫茶店。

澄み渡るような初夏のある日。

百貨店での買い物帰りに、祖母が連れて行ってくれた。

しわだらけの手を、柔らかくつないで。

店前のケースには、色褪せた食品サンプル。

少し古びた店内には、どこか懐かしい空気と音楽。

よくあるメニューは、子どもながらに、数字が多かった。

そこで生まれて初めて、クリームソーダを飲んだ。

味は、そよ風みたいで、

でも、どこか、ふつうだった。

さくらんぼは、甘酸っぱかった気がする。


それから、あの喫茶店に行くことはなく、

気づけば、手のしわが、少しずつ増えていった。

ある日、通りかかったときには、

喫茶店はもう、跡形もなかった。

祖母も、いつの間にか、空高くへ昇っていってしまった。

まるで、すべてが、泡だったみたいに。


今はただ、

あの夏のクリームソーダが、溶けずに残っている。

甘酸っぱい種とともに。

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