【ホラー小説】オモエバカナウ(5)

5.
友人が、仕事を辞めて実家に帰るというので、送別会を行った。
送別会とは言っても、私と2人だけだし、気を使うような相手でもないので、気楽なものだ。
彼女は大学時代の後輩で、バイト先が同じだったのと地元が近かったことで親しくなり、当時からよく遊んでいた。
先に私が就職のため地元を離れ、それからしばらくは交流もあまりなかったのだが、彼女もまた地元を離れ、近くに就職したと言うので、頻繁に会うようになった。
前回会った時には、気になる男性がいるけれど、その人には恋人がいて、想いは伝えたいけど、振られるのが分かってるのに告白するのはやっぱり怖い、などと堂々巡りのような恋バナをさんざん聞かされ、いっそ相手から告白してくれたらいいのにね、なんて冗談を言いながら盛り上がった。
それからしばらくたって、突然「彼氏が出来ました!」なんてメッセージが、踊っているような浮かれた絵文字と共に送られてきた。
次の土曜日にご飯を食べる約束を元々していたので、彼女のもったいぶった様子からメッセージでは敢えて詳しくは追求せず、そこでの報告を楽しみにしていた。
しかし土曜日になり、彼女の仕事の急なシフト変更で、会うことが出来なくなってしまった。それからも、なかなかタイミングが合わず、付き合いたての彼氏を優先してほしいとゆうこともあり、結局、2ヶ月ちかくも会えないままになってしまった。
そんな中、再び送られてきたメッセージは「彼と別れちゃった」とゆう簡潔な文章と、しょんぼりした顔の絵文字だった。
ふざけた顔の絵文字のせいで深刻さは伝わってこないが、付き合ってたった2ヶ月ほどで、一体何があったのだろう。
ズボラで不器用で大雑把なところもあるが、何に対しても、誰に対しても、いつも誠実で一生懸命な彼女のことだ。新しい恋人のために精一杯尽くそうと、はりきっていたはずだ。まぁ、空回りした可能性も否めないが。
彼氏が出来たと聞いた時、心から彼女の幸せを願っていたのに。
続けてすぐに、新しいメッセージを受信した。
「会社辞めて実家に帰ることにした」
と、カエルがピョコンと跳ねて動く絵文字と共に。昔から彼女には、そうゆうところがあった。状況が良くない時ほど、周りに気を遣わせないよう、何でもないフリをしてふざけてみせる。
私はすぐさまスマホの電話帳から彼女の名前を選択し、通話ボタンを押した。

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