蘭州で感じた、シルクロードの風。大地と文化が交わる場所で、脊椎外科の未来を考えた
Lanzhouに到着しました
中国・蘭州で開催された学会に参加してきました。
今回の学会は、私にとって単なる海外発表ではありませんでした。
中国、韓国、日本。
アジアの脊椎外科医、とくに脊柱変形の矯正手術を担う優れた術者が集まり、これからの脊椎手術について語り合う場です。
私は日本の有床診療所で、脊椎手術、とくに低侵襲脊椎手術に取り組んでいます。
そんな小さな自分が、アジアのスーパードクターと同じ場所で議論できることに、出発前から大きな期待がありました。
宿泊先はLanzhou New Areaのクラウンプラザホテル
宿泊したのは、学会会場でもあるクラウンプラザホテルでした。
周囲はLanzhou New Areaというエリアで、開発中の新しい都市のような雰囲気がありました。
広い道路。
新しい建物。
まだ余白のある街並み。
遠くに見える乾いた山肌。
日本の都市とはまったく違う景色でした。
「ここで明日から学会が始まるのか」
そう思うと、少しずつ気持ちが高まっていきました。
翌朝、まず10km走りました
到着した翌朝、私は市内を10kmほど走りました。
初めて訪れる街では、できるだけ走るようにしています。
車で通り過ぎるだけでは分からない空気が、走ることで身体に入ってくるように感じるからです。
朝の蘭州は、乾いた空気でした。
空は広く、道も広い。
街はまだ成長の途中にあるようで、これから都市ができあがっていく勢いを感じました。
走りながら、私は学会のことを考えていました。
どんな先生方と出会えるのか。
どんな考え方に触れられるのか。
自分の演題はどのように受け止められるのか。
不安というより、ワクワクの方が大きかったです。
蘭州という街の響き
蘭州という名前には、どこか特別な響きがあります。
シルクロード。
黄河。
西域への入口。
文化が交わってきた場所。
私は蘭州を訪れるまで、この街を深く知っていたわけではありません。
しかし、実際にこの土地に立つと、ここが単なる学会開催地ではないことを感じました。
人が行き交い、物が行き交い、文化が交わってきた土地。
蘭州空港で一緒だった中国のドクターに聞くと、現在も中国大陸の交流のハブだそうです。
なので、空港も新設され、とても巨大でした。
このような場所に、今度はアジアの脊椎外科医が集まります。
そう考えるだけで、胸が高鳴りました。
医学もまた、文化なのだと思います
医学もまた、ひとつの文化だと思います。
手術の考え方。
患者さんへの向き合い方。
どこまで固定するのか。
どこまで温存するのか。
どこまで内視鏡で低侵襲にできるのか。
国が違えば、医療制度も違います。
病院の規模も違います。
患者さんの背景も違います。
手術に対する価値観も、少しずつ違うはずです。
だからこそ、直接会って話すことに意味があります。
論文を読むだけでは分からないことがあります。
スライドを見るだけでは伝わらない熱量があります。
実際に会い、表情を見て、言葉を交わして、初めて分かることがあります。
蘭州という場所であるからこそ、脊椎外科の文化もまた混じり合うのではないか。
そんな予感がありました。
圧倒的な大自然に触れました
朝のランニングを終えたあと、蘭州水墨丹霞へ向かいました。
そこには、日本ではなかなか見ることのできない、圧倒的な大自然が広がっていました。
赤茶色の山肌。
幾重にも連なる地層。
乾いた大地。
どこまでも抜ける青空。
写真でも迫力は伝わります。
しかし、実際にその場に立つと、まったく違いました。
大地そのものに、圧倒される感覚がありました。
大地そのものが絵画でした
観景平台には「九色丹青」と書かれていました。

英語では “NINE-COLOR PAINTING” と表記されていました。
まさに、その言葉の通りでした。
赤、黄、灰、茶。
光の当たり方によって、山の表情が変わります。
自然が長い時間をかけて作り上げた、巨大な絵画のようでした。
岩肌に刻まれた地層を見ていると、人間の時間とはまったく違うスケールを感じます。
私たちは日々、診療や手術の中で、目の前の患者さんに向き合っています。
その一つひとつは、とても大切な仕事です。
一方で、この大地の前に立つと、自分たちの挑戦もまた、大きな時間の流れの中にあるのだと感じました。
黄河にも立ち寄りました
その後、黄河にも立ち寄りました。

黄河という名前は、もちろん以前から知っていました。
しかし、実際にその流れを目の前にすると、教科書で知っている言葉とはまったく違う重みがありました。
大地を削り、街を育て、人々の生活を支えてきた川。
その流れを見ながら、蘭州という街が、地理と歴史の上に存在していることを実感しました。
蘭州麺と山羊肉を堪能しました
ホテルに戻ったあとは、蘭州麺と山羊肉をいただきました。
旅先で食べるその土地の料理は、単なる食事ではありません。
その土地の空気。
文化。
生活。
人々の歴史。
そういったものに、少しだけ触れられる時間です。
朝は新しい街を走り、昼は圧倒的な大自然に触れ、夕方には黄河を見て、夜は蘭州の味を堪能しました。
学会前日として、これ以上ないほど濃い一日でした。
いよいよ学会が始まります
翌日から、いよいよ学会が始まります。
中国、韓国、日本。
アジアの先生方と、脊椎外科について語り合う時間が始まります。
変形矯正手術。
内視鏡手術。
最小侵襲あるいは最大侵襲。
骨粗鬆症。
高齢化。
患者さんにとって何が一番よい治療なのか。
きっと議論は深くなる。
そう感じていました。
シルクロードの街で、脊椎外科の未来を考える
かつてシルクロードでは、多くの人や文化が行き交いました。
その土地に、今度はアジアの脊椎外科医たちが集まりました。
国は違います。
医療制度も違います。
病院の規模も違います。
それでも、目指しているものは近いのではないか。
患者さんにとって、よりよい治療を届けたい。
できるだけ身体への負担を減らしたい。
必要な治療はしっかり行いながら、低侵襲の可能性を追求したい。
そのような思いは、国を越えて共有できるのではないか。
蘭州の大地を見ながら、そんな期待がさらに大きくなりました。
大地のエネルギーを受け取って
蘭州の大自然は、本当に圧倒的でした。
開発中の新しい街。
シルクロードを思わせる文化の重なり。
黄河の流れ。
水墨丹霞の大地。
そして、翌日から始まる学会への期待。
すべてが重なって、特別な時間になりました。
ここでどんな出会いがあるのか。
どんな学びがあるのか。
自分の演題は、どのように受け止められるのか。
期待と緊張を胸に、学会初日を迎えることになりました。
第2部では、実際に学会で学んだこと、アジアの先生方との交流、そして自分の演題に対して得られた大きな手応えについて書いていきたいと思います。
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