【6/20】海外で突然連行されて取調室に入れられた私から皆様へ伝えたい
20年ぶりの海外旅行、2日目。
英会話講師の私、中3で不登校の双子の娘、肝臓移植して元気になった叔母と、76歳陶芸家の母、そんなちぐはぐメンバー5人で訪れたフィンランド旅2日目は、ヘルシンキからちょっと足を伸ばし、エストニアのタリンに日帰りした。

あまりに素晴らしい景色に、
2日目にしてすでに「この旅に来て良かった!」と思った。

タリンを満喫し、18:30着のフェリーでヘルシンキまで戻る。夏至で白夜のヘルシンキは、まだ昼間のように明るい。
誰かのYoutubeで見た大きなスーパーマーケットがちょうどフェリー乗り場から近かったので、トラムで10分、そのスーパーへ向かう。

トラムの駅を降りてすぐの、大きなスーパーマーケット。おそらく建物は4~5階建てで、その地下1Fがスーパーになっている。
ちなみに、上の階には行かなかった。
忘れていたがこの日は夏至祭当日で、日本でいうところの元旦。スーパー以外はどのお店も閉まっていたからだ(ちなみにスーパーが営業しているかどうかは事前にHPで調べ済み)。
K-Citymarketは一言にスーパーと言っても、食料品のほかに日用雑貨やコスメ、服、靴、本、DIY商品、サウナグッズまで、売ってるものは様々。
これは見ているだけでも楽しい!おみやげを買うのにもってこいだ。もちろんフィンランドらしいアラビア、イッタラ、マリメッコの商品もたくさん!

でも、これは会員限定の割引だそうで、サービスカウンターで私も会員になれるか聞いたら、フィンランドに住所がないとダメだそう。残念。

それでも、普通に買うよりは全般的に安いし、ムーミンの紅茶やお菓子なんかはここで大量に買い込みました。K-Citymarket、とってもオススメ!

我が家の双子は、念願だったお菓子の量り売りコーナーで、袋に好きなお菓子を詰める。

その後、その日ホテルで食べる晩御飯や、次の日の朝ご飯のシナモンロールやフルーツを買い込んで、レジに向かう。

なんでこんなにテンションあがるんだ!
フィンランドは基本キャッシュレス社会だ。
蚤の市では現金のみのお店もあるらしいが、たいていのお店はクレジットカード払いが出来るし、現金は念のため手元に残しておきたいので、基本買い物はすべてクレジットで支払った。
スマホをかざすだけのApple Payで支払う時もあれば、なんとなくお財布からクレジットカードを取り出して差し込んで払うこともある。要は気分で選ぶ。ちなみに、エストニアでも同様。
なので、このスーパーでもスマホをかざして支払おうとした。
レジでスマホをかざす。
しかし、ブブーっと音が鳴り、決済が出来ない。
レジのお姉さんが、もう一度やってみて、と言う。再度スマホをかざすが、またブブーと鳴る。
じゃあこっちで払います、と私はお財布からカードを出し、機械にカードを差し込んで暗証番号を入れる。
今度はピピッという音が鳴り
「Approved(承認)」の文字が出る。
Apple Payの調子悪いんかな?
今度からカードで払お、と思いながら「Kiitos(ありがとう)!」とレジを出ようとしたら、レジのお姉さんがちょっと待ってて、という。
OK、と言ってお姉さんを見ると、何やらどこかにフィンランド語で電話し始めた。その様子をみて隣のレジからもう一人お姉さんもやってきた。二人は何やら話しているが、私はフィンランド語が分からないので、とりあえず待つ。
3分くらい待ってもお姉さんたちは話しているだけだし「もう行ってもいい?」と英語で聞いてみても、もう少しだけ待ってて、という。
これは何を待たされてるんだろう?
カード決済がうまく行かなかったのか。
レジの外で待っていた叔母や母も、
どしたの?と首をかしげる。
するとそこに、ガタイの良いセキュリティのお兄さんが2名やってきた。制服姿に身を包んだ、映画で見るような強そうなお兄さん!見た目は完全にウルフアロンとボブ・サップ。

海外のセキュリティかっこいー!パトロールかな?と思っていると、お兄さんがレジのお姉さんに話しかけ、レジのお姉さんがこのお客さんです、と私を指さす。
え?私?
と思っていたら、
セキュリティのお兄さん二人が私に向かって歩いて来る。
「今ここでカードで買い物したのは君?」
ウルフアロンが英語で私に尋ねる。
怖くはないけど、いぶかしげに私を見るウルフアロン。
「はい、そうです」私もおそるおそる答える。
「君のカードから警告が出ている。盗まれたカードや不正利用の疑いがあるから、一旦話を聞かせてほしい。」
え!?
「いや、これは確かに私のカードです」
私も予想外のあらぬ疑いに、慌てて反論する。
「まぁ観光客だろうし、そうかと思うけど、こうなって僕らが呼ばれた以上、警察にも連絡してここに来てもらわないといけないんだ」
ええーー!!?警察!?ポリス!!
やだやだやだ、こわいこわいこわい!!
「でも、これ私のカードを私が使っただけなんですけど、それでも警察呼ばれちゃうんですか?」
と一応反論してみる。しかし、君の言うこともわかるけど…とあちらも事情を説明してくれる。これはルールなんだ、と。
そこから、ちなみにフィンランドにはいつ来たの?観光?こういうこと前にもあった?滞在中このカードで買い物した?その時はどうだった?など、矢継ぎ早に質問が来て、それに一つ一つ答える。
昨日ヘルシンキに来ました、観光です。昨日も交通アプリを決済しようと思ったらストップがかかって、リミット解除してもらったばかりです。今日タリンではこんなことなかったんですけど…。
「いや、観光客だとたまにこういうことあるんだよ。でも、僕らとしてもこうなっちゃうと警察呼ばないといけないし、申し訳ないけどちょっとついてきてくれる?」
「え、ついてきてって、どこに…?」
「別のフロアにセキュリティのオフィスがあるから、君だけ来てほしい。家族はそこで待ってて」
「私だけ!?結構時間かかりますか…?」
「いや、そんなにかからないとは思うけど、警察がどのくらいで来てくれるかだなぁ」
まじか…。
横で心配そうに私たちのやり取りを見守る家族。
叔母は英語がわかるので、横で、えー!とか、あらー…とか言ってるけど、母と娘二人はイマイチ状況がわかっていない。
みんなに状況を説明し「ちょっと行ってくる」と別れを告げ、私だけ一人、格闘家みたいな二人に連行されてエレベーターに乗る。
なんでこんなことになったんだろう。
しかも、寄りによって海外で。
怖い、不安、心配。
旅にトラブルはつきものとは言うけれど、こんなこと想定もしてなかった。
エレベーターの中、お兄さんに挟まれて私があまりに泣きそうな顔をしてるからか「ごめんね、そんなに時間かからないと思うから…」と優しそうに声をかけてくれるウルフアロン。その優しさだけが救いだ。
エレベーターを降り、"STAFF ONLY"、的な扉の奥に連れていかれる。
「ここに入って」
と言われて通されたのが、、、

ここ、取り調べ室やんけーーーー!!!!
真っ白いタイルの壁、広さはおそらく3畳くらい。壁には(多分マジック)ミラー、金属製のテーブルとイス。シンプル。シンプルイズザベスト。
これ、世界仰天ニュースとかで見るやつ!
再現VTRとかで流れてるやつ!!!
もぉーーー、こわいってーーー(涙)!!
私、海外で取調室入れられんの!?
窃盗とか万引きとか、なんもしてないし!!
お兄さん優しいけど、よく見たらなんか腰に銃刺さってるし!!やっぱ怖い人じゃん!!
いやーーーーん、帰りたいーー!!!
取り調べ室に私とボブ・サップを残し、ウルフアロンは取調室のすぐ外でどこかに電話している。もちろんフィンランド語なので何を話しているかはわからない。しかし、時折電話をしながら私に質問してくる。
「IDとか、ある?」
「パスポート持ってます」
「うん、…たしかに、カードとパスポート同じ名前だね」
それをさらに警察に伝えてくれてる。
お兄さんを経由して、私は電話の向こうにいる警察からの質問に答える。
いつフィンランドに来たの?こっちでカード使ったのは初めて?結局支払いは出来たの?昨日同じようなこと起こった後にカード会社に連絡したの?
それに私も必死で答える。
昨日来ました。昨日も今日もApple Payでも物理カードでも払いましたが、交通アプリの決済以外は問題は起こりませんでした。結局スーパーでの買い物はカード差し込んで暗証番号入れて支払いは終わってます。レシートもあります。カード会社にはチャットで海外にいる旨は伝えけど、もしかしたら利用制限がまだ外れてないのかも。
私の話す英語を、お兄さんがフィンランド語に訳して電話で警察に伝えてくれている。
そんなやり取りを10分ほどして、ウルフアロンは電話を切った。
「なんか事情は分かったから、警察来なくていいみたいだよ。よかったね、もう帰っても大丈夫。」
え!まじ!釈放!?
わー!よかったぁーーーー…。
お兄さんの言う通り、あまり時間はかからなかった。トータル時間にして15~20分。でも、私にはめちゃくちゃ長く感じたよ…。
多分。
多分ね。
多分だけど、警察も夏至祭で、日本でいうと元旦の夜で、来るの面倒くさかったんじゃないかな笑。早く帰りたかったんじゃないか?もしそうだったなら、夏至祭、ありがとう!!
「ごめんね、怖かったよね。」
ウルフアロンがしきりに謝る。
「いや、でもお兄さんが優しかったから怖くなかったです。ありがとうございます。」
お兄さんに感謝をしながら"STAFF ONLY"の扉を出る。
「Good bye!」と優しく手を振ってくれたお兄さんたちと別れ、地下1Fの家族のもとへ戻る。
そのエレベーターの中。
私が真っ先に思ったことは何だと思いますか?
「こわかったー」ではありません。
「安心したー」でもありません。
「私、英語しゃべれて良かったぁーー!!!」
です。
もう、この一言に尽きます。
いや、むしろこれまでの私の人生で、こんなに自分が英語を話せることに感謝した日があっただろうか(いや、ない)。
フィンランド人は基本フィンランド語を話しますが、どこに行っても英語が通じます。それは今回の登場人物も。レジのお姉さんも、ウルフアロンもボブ・サップも、英語が通じます。
そして私も英語がしゃべれます。
もし、私が英語が話せなかったら。
もちろん犯罪を犯したわけではないし、そもそも無罪なので「釈放される」という結果は変わりなかったと思います。
でも、もし私が英語が話せなかったら。
きっとスムーズに意思疎通が取れずに、何が起こっているのか、何を疑われているのかもわからず、きっともっともっと不安だったでしょう。
そして待っていた家族にも事情を説明できず、
もっと不安にさせたでしょう。
もちろん今はGoogle翻訳のアプリもあるし、
AIも使えます。
でも、もっとお互いの意思疎通に時間がかかって、もしかしたら細かなニュアンスは伝わらずに、結果、埒が明かなくて「やっぱり警察呼ぼうか…」となってたかもしれません。そしたら15~20分では済まなかったかもしれない。
警察が来なかったとしても、翻訳アプリをいちいち挟んでいたら時間がかかって、もどかしくてしょうがない。
たしかに今は便利な時代で、海外旅行くらい英語が話せなくてもどうにかなるかもしれない。ぶっちゃけ私もちょっとそう思ってました。
でも、実際は全然違った。
意思疎通の大切さ、スピード、内容、そしてそこから得られる安心感は、英語が話せたからこそだと、心底実感しました。
英語話せて、良かった!!!!
だからこそ、私は生徒に伝えたい。
「英語話せるって、自分を助けてくれるよ」
「英語を習わせてくれる家族に、感謝してね」
これは、私がこの旅で得た、
一番の教訓かもしれない。
エレベーターを降りると、レジの横のベンチで母と叔母、そして二人の娘たちは心配そうな顔をして待っててくれた。
二人をハグしたあと、みんなに事情を説明し、
こわかったーーー!と泣きついた。
すっかり海外スーパーでの高テンションもダダ下がりした私たちは、またトラムに乗ってホテルに戻り、晩御飯は部屋で冷凍ピザを焼いて食べることにした。
しかし、無事にホテル(いや、アパートメント)に着いたはいいが、今度は部屋のキッチンについてるオーブンの使い方がわからない。このままでは全員で冷凍のピザにかぶりつくことになってしまう。
「これ電源つかないんだけどー」という母の声を聞いて、私はクタクタの体で床に座り込み、オーブンの写真を撮ってAIに聞く。

「チャッピーこれでピザ焼きたいんだけど」
「かしこまりました!写真を見る限り、これはBoschのビルトインオーブンですね。ロック解除の手順をお伝えします。」
やっぱ、AIはAIで、便利だな。
コミュニケーションはまだAIには負けないけど、この時代、AIにもうまく頼りながら生きてこう。
自分の力とテクノロジーの共生具合が大事よ。
そう思ったフィンランド2日目の夜でした。
(3日目に、続く…)
