見出し画像

AIがカレーを作れと言ったらつくるのかー「問いを立て、実現する力」を生む越境型の経験学習

これまでスタートアップ、フリーランス、個人事業、一般社団法人、株式会社、NPOなどの設立・代表、また大学講師や自治体広報官、そのうち海外で10年間など、産学官民・国内外のさまざまな組織・業界を通じて社会と関わってきた経験から、いま「越境・協働学習」をすすめる理由と、ノウハウ的なことを書いてます。

AIがカレーを薦めてきたら何の疑問もなくカレーつくっちゃうのか、という話です。


■「問いを立てる」やわらかな力

正解がない時代になった今、「問いを立てる力」こそが重要だ。そう言われるようになって久しい。とくに最近はAIがすぐに最適解を出してくれるようになったので、人間の仕事はますます「”私”の視点で、問いを立てる/仮説を立てる」になった。

料理に例えるなら、手元に【牛肉・玉ねぎ・ジャガイモ】があって誰かに何かふるまわなくてはならない場面で、漠然とした問いに対していかにもAIが答えそうな”みんなが好きそう=ー般最適解としてのカレー”を疑問も持たずに押しつけるのではなく、
「たしか昨日カレーだって言ってたから肉じゃがにするか」とか、「どうも酒を飲みたさそうだから、思い切って牛肉だけで宇野千代おすすめブランデーすき焼きをつくって、後はシンプルなポテトサラダにしよう」など、
唯一無二のその固有の現場での最適解を構築していく、いわばやわらかな力

そのために必要となるのが「問い」を軸とした他者への想像力であり、これを培うのが自分自身の経験+リフレクション(内省)だ。


■ 経験から、結果的に力が身につく。

私はこれまでスタートアップ、フリーランス、個人事業、一般社団法人、株式会社、NPOなどの設立・代表、また大学講師や自治体広報官、そのうち海外で10年間など、産学官民・国内外のさまざまな組織・業界を通じて社会と関わってきた。

結果、どのような場所に置かれても「多様なステークホルダーが力を合わせて少しでも社会を良くしていくための事業を企画し、協働で推進する関係性を構築する力」を、そこそこ手に入れた。

スペインなんて一言もわからずに移住したのだから、それに比べると、A3になんか曼荼羅みたいにびっしり描かれた”ポンチ絵”が出てきたり、”ご指導下さい”と”レク”を受けに来ては”持ち帰って検討します”の後に動きがない(でもその後”粛々と”やったりする)行政の世界だって、そんなに怖くない。

ともかく強調したいのは、私にもともとその力があったのではなくて、さまざまな世界で多様な人たちと接してきた自分の経験が先にあり、その結果として、理解も共感もできない他者を想像して問いを立てながら形にしていく力が身についたことだ。

料理だって、理論やレシピなどの知識だけでなく、実際にひとつひとつ形が異なるジャガイモの皮を剝き、さまざまな魚を三枚におろし、日々刻々と変わり続ける旬や天気も考慮しながら目の前の人を想って料理を作り続ける実践機会を通じた経験を重ねてこそ、結果的に腕が上がっていく。


■ いまもう一度、現場で学ぶ。

自らの経験からリフレクション(内省)を通じて自ら学ぶ「経験学習」は、自ら問いを立て仮説を構築して実行し変化を生んでいく力(業界用語で「主体性」)を高めるもっとも効果的な学習法といわれる。

そもそも中世までは、ギルドのような実践共同体を通じた経験学習が、教育の主流だった(レイヴ&ウェンガー『状況に埋め込まれた学習』などで言及)。現在でも相撲、落語、歌舞伎など伝統的な業界では、中世からの弟子入り制度がみられる。ここでは、弟子は師のもとで経験しながら学び、やがて自分も師として弟子を育てるようになる。

それが近代になり、産業革命を経て機械の操作など人間の”仕事”がある程度画一化されたところで、科学やマニュアルなど「唯一の正解」=”知識”が重要になる。これなら一方的に教えればいいので、効率の面で、一か所に集めた生徒に対して教師が教科書(印刷も安くなった!)を用いて教える、”学校”型教育が主流になる。

だけどその結果起こったのは、第一次世界大戦だった。これに危機感を抱いて「いや、知識よりも、自分で考える力の方が大事なんじゃない?」と1930年代に『経験と教育』という本を出したのが、「経験学習の祖」と言われるアメリカの教育学者デューイ。その後、1980年代にコルブが「経験学習モデル」を発表し、MBA系で大人気になって、現在も企業研修でよく使われるようになる。(ちなみに同著の日本語訳発売は2018年)

近年はますます正解がない時代となり、いまやOECDも経産省も「問いを立てる力こそが重要だ」という。そんな問いが生まれるのは、「正解を教えられる教室」ではなく、「何が正解かわからないままやる実践の現場」である。大量生産時代の近代を経て、私たちはいまもう一度、”現場”で学ぶ教育への大転換期を迎えている。

…というのが、私が10年以上の社会教育や創業支援(リベルタ学舎)、仕事づくりの実践共同体(なりわいカンパニー)を実践した後に大学院に入って研究し、理論化した内容の一部なのでした(テーマは、起業家によるアントレプレナーシップ教育)。


■ 組織が社会に価値を生むために

いまの社会は専門化が進む一方、ますます複雑化していて、もはやひとつの組織の単一の知見や論理では課題の定義も解決もできない構造になっている。一方、組織に求められるのはただひとつ、社会に価値を生むことだ。なのに内向きになり社会との健全な接点を失った組織は、ちょうど呼吸ができなくなった生き物のように衰えていくことが、多くの例で実証されている。

だいたいそのことに最初に気づくのが、やる気のある社員新入社員だ。「うちの会社、腐ってるんじゃないか?」と臭いを感じ取り、「風通しが悪い」と諦めて組織を去っていく。貴重な風穴を失った組織は、さらに弱っていく。


変化の時代、組織もまた変化し続けなければならない。外とつながって変化を生み出すことができる、「どのような場所に置かれても、自分の視点で問いを立て、仮説を構築し、実行できる」人を育みたいなら、実践を通じて学べる現場が必要だ。その現場は、単一の価値観をもつ組織の中にはない。

なので私は、他組織に限らず、異業種/業界、さらには産学官民や次世代まで多様な人が集い、各々問いを立てたうえで共通の問いを見出し、協働で取り組む実践(=経験学習)の機会を作り続け、再現できるよう理論化を続けている(現在は経験学習へのAIの活用を研究中)。

組織や業界の枠を超え、論理や言語が違う人たちと共に協働する力を身につけた人が増えると、組織も社会も活性化していく。私が「越境・協働学習」機会創出と経験学習としての理論化を続けるのは、単に私自身が、風通しの良い社会で生きていきたいから。めっちゃ自分事。なので本気だし、やめられないのです。

越境・協働学習に関心がある方、組織や自分が置かれた環境を変えたい方、いつでもご連絡ください。愉快な場を、一緒につくりましょー!


▼最新の「越境・協働学習」機会。2016年は、りそな総研と共同実施。主催者自身が”越境・共創”しないとウソだよね。あらゆる組織は、その組織のビジョンを体現しているべきだと思っています。

<越境突破人材研究会、第1回シンポジウム>


いいなと思ったら応援しよう!