La Vie en rose (バラ色の人生) : Édith Piaf
私はそんなに詳しくはないのですが、シャンソンが好きです。
フランス語の響きと曲調が心に入ってくる感じがします。「枯葉」などシャンソン由来のスタンダード・ソングは数が多く、シャンソンのロマンティックな世界観は、世界中の人たちを魅了しています。その中でもエディット・ピアフは特別な存在です。9枚組のBOXを持っていて、たまに聴いています。すごく良いんですよね。フランス語がよく分からないのですが・・・まあいいか。
▼エディット・ピアフ「バラ色の人生」
■バラ色の人生
フランスを代表するシャンソン歌手で、フランスの国民的象徴とも言われるエディット・ピアフの代表作の一つで、邦題「バラ色の人生」というタイトルでも有名で、オリジナルはもちろんフランス語で作られています。
後にマック・デイヴィッドにより書かれた英訳でジャズやポップスなどさまざまな形でカバーされて、その数は数え切れないほどです。有名どころでルイ・アームストロング、ビング・クロスビーなどがあります。他国語に翻訳される際、若干の表現の違いが生じます。日本では越路吹雪や美空ひばりが日本語でカバーしています。
日本人のカバーで私が好きなのは達郎さんのアルバム「Ray Of Hope」(2011年)に収録のアカペラ・バージョン「バラ色の人生 ~ ラヴィアンローズ」です。途中トランペッターの数原晋の口笛が入りますが、凄く良いんですよね。数原晋は口笛がとても上手くて、いつか達郎さんはレコーディングで披露してほしかったと、ラジオで話していました。余談です。
▼ルイ・アームストロング「バラ色の人生」
「バラ色の人生」が書かれたのが第二次世界大戦の終盤、1944年ころで、ちょうどパリがドイツによる占領から解放された時期に、ピアフ自身が詞を書き上げました。ピアフは歌詞を「愛の讃歌」の作曲者でもあるマルグリット・モノーに作曲の依頼しますが、モノーは「つまらない詞」と言って、曲を書くことを拒否しました。
その後、1946年、ピアフは自分で曲を完成させてフランス音楽著作権協会に登録しようとしたところ、手続きに不備が生じてしまいライセンス取得ができませんでした。そこで友人の作曲家の愛称「ルイギ」の名を借りて登録することになりました。作詞がピアフ、作曲にルイギとクレジットされていますが、同一人物なので、実際は作詞・作曲エディット・ピアフになります。当時、イタリア出身の俳優及びシャンソン歌手イヴ・モンタンと恋仲にあったピアフは、その愛の喜びをこの曲にしたため歌いました。
余談ですが、既にスター歌手となっていたピアフはイタリア移民の子だったイヴ・モンタンの才能に惚れ込み、一流のシャンソン歌手に育て上げるための特別なレッスンを始めます。そのうちピアフとモンタンは師弟にして恋愛関係に発展してしまいます。その後、世界的な大スターになったイヴ・モンタンを見て、ピアフは「もはや彼には自分が必要ない」と悟り、静かに身を引いたといわれています。ちょっと切ない話です。
■ヴァース(Verse)について
ちょっと話がそれてヴァースの話をします。ジャズのスタンダード・ソングは、「ヴァース(Verse)」と「コーラス(Chorus)」という形式のものが多くあります。コーラスとは歌の本編で、本編に入る前の導入部分をヴァースといいます。ヴァースが有名な曲で「スターダスト」とか「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」などがあります。ヴァースでは歌詞の内容を説明したり、歌われる状況や心情を伝えることが多くあります。
元々はミュージカルでセリフから歌へ移る際につなぎとして使われたのが、ジャズ・スタンダードに定着した経緯があります。 多くの場合、ヴァースが省略されますが、曲によっては定番化していたり、歌詞の意味を理解するために不可欠な部分として歌われることもあります。 ナット・キング・コールは「スターダスト」をちゃんとヴァースから歌っています。私もあまり知らないのですが、昔はヴァースがある曲は結構あるようです。
▼ナット・キング・コール「スターダスト」
「バラ色の人生」もヴァースがちゃんとあります。現在「バラ色の人生」をカバーする人は、ほぼコーラスから歌う人が多いと思います。でも、曲を作ったピアフはちゃんとヴァースから歌っています。日本人のカバーで越路吹雪や金子由香利などシャンソン系のシンガーは、ちゃんとヴァースから歌っています。多分、越路吹雪と二人三脚で歩んでいた岩谷時子がヴァースから訳したので、それが一般化しているのだと思います。
▼越路吹雪「バラ色の人生」
なかにし礼も訳詞をやっていましたが、ちゃんとヴァースから訳していました。なかにし礼は大学生時代、銀巴里(1951年〜1990年まで東京・銀座七丁目にあった、日本初のシャンソン喫茶)でシャンソン歌手の訳詞を担当していたとのことで、フランス語やシャンソンという文化への深い敬意と理解を持っていたため、ちゃんと訳しているのかもしれませんね。ジャズ系の人はルイ・アームストロングのカバーが元になっている方が多いと思いますので、ヴァースを省略している人が多いです。以下英詞のAI訳になります。
バラ色の人生 AI訳
<VERSE>
愛なんて、ただの言葉にすぎないと思っていた
歌の中で誰かが口ずさむ幻想にすぎないと
けれどあなたのくちづけが私に告げた
間違っていたのだと 愛は本当に息づいているのだと
<CHORUS>
どうか、しっかりと抱きしめて
その腕に宿る魔法の力で 世界はバラ色の人生へと染まってゆく
あなたのキスに触れたとき 天の調べがため息のように響く
瞳を閉じてもなお 私の世界はバラ色の人生に包まれる
心に寄り添うそのぬくもりの中で
私は隔てられた別の宇宙にいる
バラが永遠に咲き匂う楽園に
▼舞台「ピアフ」
2011年に栗山民也の演出、大竹しのぶがピアフを演じたエディット・ピアフ物語、舞台「ピアフ」が2022年に5回目の上演をしました。テレビでちょっと見たんですけど、「大竹しのぶ=ピアフ」がすごく良いんですよ。この舞台を一度は見たいと思っているのですが、もう一度公演してくれないかなと思っています。来年(2026年)再演との情報もあるようなので、調べてみます。
