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上から読んでも下から読んでも「竹やぶ焼けた」の回文絵本『どっちからよんでも』

 北海道は、「ウド イカっ ホタテ 来てた 北海道うど いかっ ほたて きてた ほっかいどう)」。
 擬人化したウドとイカとホタテがのんびり並んだ絵がある北海道からはじまって、沖縄まで回文が続く。
 沖縄は、「永遠(とわ)な記憶 沖縄ととわなきおく おきなわと)」。ハイビスカス、ジンベイザメが画面にどーんと出てくる。文字では過去の沖縄戦を思わせるが、絵は今の平和な観光地、沖縄を思わせる。微妙なズレがありながら、絵と文がマッチしているように私には思える。そんな沖縄が最後にひかえている。

 北海道から沖縄まで47都道府県の回文でできた絵本、「日本どっちからよんでも~さんぽっにっぽんさ~」(絵本館2020)がある。


 回文とは、「新聞紙しんぶんし)」(これは「文」でなく「単語」だ!)「竹やぶ焼けたたけやぶやけた)」のように、上から読んでも下から読んでも同じになるもの。

 ( )にひらがなを入れているように、かなの順番を反対にしたのが回文。言葉自体を逆にしたわけではない。言葉を逆にすると、「トマト」なら発音は「tomato」となるので、それを逆にすると「otamot」となる。読むと、「オタマトゥ」とでもなるのだろう。そう読んだ言葉を逆回転して再生すれば「トマト」になる。「竹やぶ焼けたtakeyabuyaketa)」なら「atekayubayekat」。「アテカユバイェカトゥ」かな。これが本当の「逆」の言葉。

 この絵本の作者は、本村亜美。神戸出身。兵庫県の回文は、「つなごうよ 兵庫 夏!つなごうよ ひょうご なつ)」。甲子園の球児の絵。ちなみに、甲子園は兵庫県西宮市。けして大阪ではない。兵庫県の球場だ。
 いくら回文のネタばらしをしても大丈夫。この本は絵本だから、絵があってこそ完成する。なんともいい味を出している絵は、高畠純。愛知県出身。愛知県は、「地位ある愛知ちいある あいち)」。かつて日本一の地位があった織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の愛知県出身者が一緒に現代の車(!?)に乗っている。なんともおとぼけだ。

 作者の出身地を、本村さんは「神戸」と言った。私が神戸市に住んでいるから「神戸」という。「兵庫」とは言わない。高畠さんは「愛知」と言ったが、「名古屋」出身と紹介には書いてある。実は私は愛知にも住んでいたが、名古屋市ではなかった。だから私にとって「愛知」は「愛知」。それぞれの人によって地域に対する思いは違う。そんな各人の都道府県への思いが回文をとおしても感じられる。
 47都道府県を全て作るとなると、これはちょっと……という回文もあるが、絵と一緒になるとなぜか納得してしまう。

 同じコンビの「どっちからよんでも~にわとりとわに~」(絵本館2019)は、タイトルのニワトリとワニにわとりとわに)の絵からして笑えてくる。


 こっちは47都道府県というしばりがないので、自由におもしろい回文が並んでいる。

 作者のことばで、本村さんは、

回文だけでは「へ〜、なるほど」っと思うだけですが、絵がつくことでこんなにも笑えるものになるなんて!
驚きの一冊です。
ぜひ指でたどって、反対からも読んでほしいと思います。
いつもだれかに教えたくなる自然で簡単な回文を考えてます。
ななばんバナナ7番バナナななばん ばなな)」をスーパーで思いついた時には
笑いをこらえるのが必死でした。


と述べている。

 高畠さんは、

一見なんのへんてつもない文、「あなだなあ穴だなあ)」、「いろしろい色白い)」、「むすこ どこすむ息子どこ住む)」など、普通の会話。これが回文なんて、あまりにも自然で、亜美さんのそれぞれの文を見たとたん、絵を付けたい、絵本にしたいと即座に思いました。
絵本としてググッとおもしろくなるぞ、と直感。
すっきりした言葉のセンスが、あ~、いいなあ。楽しんで絵を描きましたよ。
ぜひ、おもしろがってください。きっと読後は、回文を作ってみたい心境に。


  土屋耕一が「軽い機敏な仔猫何匹いるかかるい きびんな こねこ なんびき いるか)」(誠文堂新光社 1971)で、かつて一時ブームになった回文。


 それが、絵とあわせるという手があった。語呂のいいことばは絵とともに記憶に残る。

 回文が作りたくなってくる。


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