見出し画像

大学院生が集まらない!理由と対策について

研究者のホームページ制作をお手伝いして27年。
当初は研究内容を広く周知する「広報活動」が中心でしたが、最近は、目的の多くが大学院生募集の「求人活動」に変わってきています。
大学院生が集まらない・・・
優秀な大学院生を奪い合っている・・・
これは果たしてほんとうなのか?外野からは見えない内部の事情を知るために、背景を調査し、対策をまとめてみました。

原因は少子化だけではなかった?

有名大学の研究者の方々から「優秀な学生が集まらない」という嘆きをお聞きするたび、私は驚くとともに、少子化だから仕方ない・・・と勝手に思い込んでいました。しかし、調べてみたところ、状況はもう少し複雑だったようです。

修士の現状

入学者数は2010年ごろをピークに一度減ったものの、近年は持ち直していて、直近では7万人台で比較的安定しています。特に理系だと、大学院進学が就職への「標準ルート」としてすっかり定着している。ただし文系は話が別で、進学を希望する学生の割合がかなり低い。同じ大学院でも、明暗分かれるところです。

博士の現状

博士はより深刻でした。学者数は2003年ごろをピークに、ずっと右肩下がり。修士から博士へ進む人の割合も、1981年には18.7%あったのが、今では9.7%まで落ちています。

なぜ、選ばれなくなったのか?

理由を掘っていくと、だいたい3つに集約されました。

金銭的理由

博士課程だと学費と生活費で年200万円以上かかる一方、仕送りは細り、修了時に数百万円の借金を抱える人も少なくない。進むほど生活が苦しくなる構造です。

その先が見えない

日本の企業は新卒一括採用が基本で、専門性を武器にする博士とは採用の物差しが噛み合いにくい。「取っても報われる道が見えない」という不安。

そもそもの動機

特に文系では、進学したくない理由の一位が「研究を深めたい気持ちがあまりない」。研究の面白さ自体が、学部の時点で伝わっていない。

ついでに国際比較も見てみたら、そもそも日本は大学院に行く人が少ない国でした。学部生に対する院生の比率が、日本は約10%。ドイツは60%を超えています。土台からして薄いんですね。

有名大学でも悩みは尽きない・・・

優秀な大学院生がほしいという声は、日本を代表するトップレベルの大学からも同様にお聞きします。正直、このクラスにこの問題は関係ないのでは?と思っていましたが、そうではありませんでした。質の高い大学院生を奪い合っている状況が続いているようです。

研究室ホームページでやるべきこと

大学院生が集まらない理由は様々ありますが、大きな問題は人口の壁ではなく、情報の中身にあると考えました。研究の面白さ、修了後の進路、使える支援制度など、ホームページの情報をきちんと整備して、魅力ある方法でお伝えする必要があります。
研究室のサイトを作るとき、私が意識しているのは次の3つです。

研究の魅力を「伝わる言葉」に翻訳する

業績を並べた報告書ではなく、「この研究室では何が面白くて、それが世の中にどうつながるのか」を、専門外の学部生にも届く言葉と写真・動画で。とくに動機の薄れがちな文系に効きます。

修了後の進路を「見える化」する

いちばんの不安である「その先」を、修了生の進路実績やロールモデルの紹介で具体的に示す。

お金と受け入れ体制を、きちんと紹介する

学費免除やフェローシップ、生活費の支援、指導体制、募集要項への動線。「ちゃんと進学できるんだ」という安心を渡す。

あと地味に大事なのが、そもそも検索やAI検索で見つけてもらえること。ここは私たちの本職なので、土台としてしっかり整えます。

おわりに

これを意識した時から、私の研究者ホームページのプランニングが変化しました。学生募集は、先生から特に言われなくても、大前提として意識するようにしています。
同じ大学からの進学の場合は、学内の競合研究室との比較となります。AIなどを使って競合先を調べて、差別化を図るのは、一般企業の製品と同じです。
研究内容だけでなく、指導方針やキャリアパスなどが大きな差別化ポイントになります
他大学や外国人、社会人を受け入れる場合は、それぞれ分けて戦略を立案します。
この機会に研究内容を羅列するだけの「パンフレット型」ホームページを刷新しましょう。

▼お問い合わせ






いいなと思ったら応援しよう!