見出し画像

うちの子、さらわれてません。(ハムスター日記㉜)

わが家のビビりハムスター、ぽんぽこ(♂)は、お外遊びの時間になると、急に人見知りの3歳児みたいになる。
年齢でいえば、もう立派なおじさんなのに。


ケージの扉を開けると、ぽんぽこは巣箱からまるっこい顔をにょき……と出して、つぶらな瞳でじぃっ……とこちらを見つめてくる。

《 じぃっ…… 》


…ぷいっと目をそらす。

《 ぷいっ… 》


ススススス→……と撤退する。

《 ススス→… 》


数分後、また思い出したように、にょきり……。

《 にょきり… 》


こうして「気になる」「やっぱやめる」のループを、30分くらい繰り返す。

やがて、おずおずと入口まで登ってきて首をかしげ、小さなおててを胸の前でぎゅっ……とクロスさせる。

《 ぎゅっ…… 》

世界で一番ちっちゃくて、とっても控えめな
「そろそろお外行こうかしら」のサインだ。


わたしはポテチ筒を静かにたむける。

《 怖がりで抱っこNGなので
ポテチ筒で移動します 》


筒の動きは、あくまでもスムーズに。
少しでも雑にすると、ぽんぽこはスタコラと巣箱へ逃げ帰ってしまう。
だから最後まで筒から手を離さず、そーっと下ろす。

もし「ポテチ筒でハムスターをいい感じに運ぶ世界選手権」があったら、わたしは優勝できると思う。


こうして、ようやく彼はお外遊び用サークルの中に降り立つ。

《 ぽんちゃん、来ちゃいました… 》

が。

ぽんぽこは、不安そうにわたしを見上げてくる。30分かけてようやく外へ出たのに、いざ出てみたら急に心細くなってしまったちびっ子の顔だ。

「ここ、どこ…?」

《 ぽんちゃん、さらわれた? 》  

さらわれてないよ。
さっき自分で出て来たんだよ、ぽんぽこ坊や。


わたしのことも、初めて会った人みたいに見てくる。

「あなた……だれ……?」

《 しらないひと? 》

ううん、いつもの飼い主だよ。


泣きそうな顔になるところまで含めて、ぽんぽこらしい。
わたしは彼に、大好きなおやつを差し出す。

がんばった子には、おやつだ。

《 はっ…!! 》

すると、ぽんぽこ坊やの目に光が宿る。


「なんだ。うまいやつ、あるじゃないですか」

《 もっとはやく言ってくださいよ 》


泣きべそはピタッと止む。
夢中でおやつにがっつく。


ぽんぽこ。
飼い主は忘れても、おやつは忘れない。


そして、食べるものを食べたら、ぽんぽこはそわそわし始める。
もう、おうちに帰りたいのだ。

《 はよはよ 》

わたしは流石としかいいようのないタイミングで、帰宅用の筒をたむける。
ぽんぽこは吸い込まれるように筒へと収まり、世界一優しいフライトで、ケージに帰還する。

たぶんこの一連の流れ、世界中のビビりハムたちから賞賛される。

「すばらしい送迎支援」
「筒の角度に愛がある」
「着地がなめらか」
「飼い主、優勝」

きっと、小さなおててがパチパチしてる。

《 なかなかの ぼうけんでしたね 》


ぽんぽこは、本当に健気だ。
迷いながらも、がんばってお外に出て、ちいさく冒険していく。

出待ち30分、おおむね泣きべそ、おおよそ3分のお出かけ。

それでも、全然いいの。
だって出るまで首ぴょこぴょこさせている姿も、たまらなく愛おしいんだもん。

ぽんぽこの送迎は、本日も無事故。
ポテチ筒選手権の優勝者、今日もいい感じに運びました。




▼ぽんぽこへの愛が重すぎる飼い主の日常です▼

いいなと思ったら応援しよう!

急に考え出すおばさん いただいたサポートは、ぽん太郎(キンクマハムスター )のおやつ代になります🐹

この記事が参加している募集