決めたんじゃない。 「決まっていたのだ」って話。 ぽけ。(ハムスター日記㉚)
もうすぐ、ぽんぽこ(キンクマハムスター・♂)と出会ってから一年が経つ。
彼とはじめて会ったあの日、わたしが一瞬でどうかしてしまったこと。
それを今、あらためて書いてみたいと思う。

一年前の今頃、わたしはハムスターをお迎えしたくて
ペットショップ巡りに明け暮れていた。
ショップのHPで見た子に会うために、遠方の店までも足を運んだ。
そう、実際、結構な数の子に会ったのだ。
なかには非の打ち所がないくらい可愛い、超イケメンハムもいた。
あの子をお迎えしたら、名前はセルジオとかステファンとか、小洒落たやつにしてたはずだ。
なのに、わたしはセルジオ(仮)のお迎えを見送った。
なんとなーく、違う気がしたのだ。
そんな日が続いて、そろそろ、「わたし選り好みしすぎでは?」という言葉が頭をよぎり始めていた頃。
となり町のショップから電話があった。
「明日、店頭に並ぶキンクマがいます」
まさにゴールデンウィーク真っ只中。
のんびりしていたら、あっという間にお迎えが決まってしまうかもしれない。
わたしは翌朝、開店と同時に店へ向かった。
そして朝イチ一番乗りで、ハムスターコーナーへ直行した。
その子は、そこにいた。

姿を捉えた瞬間、胸の奥でシャララーン!!と神聖なチャイムが鳴った。 「あ、」と思った時にはもう、その子だけが異常なほど光り輝いて見える。
外界の雑音は、なんにも聞こえなくなった。
彼が、ゆっくりとこちらを向く。
きょとん。
目が、合った。
一拍おいて、わたしの中でホイットニー・ヒューストンが
「えんだぁ〜〜〜」って絶唱した。
そう。
わたしは一目でその子に恋をしてしまったのだ。

彼はちょっとファニー・フェイスだった。
目は少し、離れ気味。
口元は常に、ぽけっ……と半開き。
前歯はなんだか、すきっ歯っぽい。
頬袋に入れたおやつが、半分口から飛び出している。
毛づくろいも、カラスの行水レベルで、すっごい雑。
セルジオ(仮)とは正反対のタイプである。



なのにわたしは、出会って3秒で彼のお迎えを決めていた。
理由?
もう全く分からない。
ただ猛烈に、理屈抜きに、この子だ!と思ってしまったのだ。

「うちに来てくれる?」
わたしは、心の中で彼にたずねた。
半開きの口からすきっ歯をチラ見せしたその子は、ぽけっとした顔で
「……ぽけ」と頷いた(気がした)。
…よし。
わたしは手のひらをギュッと握りしめる。
「お前のこと、誰よりも幸せにすっからよ」
昭和のヤンキーみたいな勢いで誓いを立て、わたしはお迎えの書類にサインをした。
そして、ぽけっとしたその子に、
「ぽん太郎」(愛称:ぽんぽこ)と命名した。

もしセルジオ(仮)やステファン(仮)を選んでいたら、ぽんぽこには一生出会えなかった。
その世界線、想像しただけでちょっと戦慄してしまう。
ビビりだから、毎日顔を見せてくれるわけじゃない。
会いに行く時は、忍び足で呼吸も浅め。
抱っこは、未だにNG。
それでも、あなたに出会ってから、わたしの毎日はずいぶんおかしくて、最高にたのしい。
あの日、ショップであなたを見つけたわたしは、たぶん一瞬でどうかしてしまった。
でも、あのときの判断は、いま振り返っても大正解だったと思う。
はぁー、ぽんぽこ。
あの日、あなたを見つけたのがわたしでよかった。
これからもずっと、誰よりも幸せにするからね。

▼ぽんぽこへの愛が重すぎる飼い主の日常▼
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