麗しき生き物と、にょき人間(ハムスター日記㊱)
うちの、ぽんぽこ(キンクマハムスター・♂)は
もう、ずるいくらい、かわいい。
愛くるしくて、もふもふで、「世界の美」を代表するかのような麗しさ。

だけど冷静に考えたら、ぽんぽこって、
ずっとお洋服ナシの全裸で生きてるんですよね。
いや、当たり前なんだけど、
全裸であの完成度は、すごい。
人間なんて、毎朝毎朝、
ファンデーション塗って、
髪の毛巻いて、
骨格がどうのパーソナルカラーがどうのって右往左往して。
それでようやく「今日のコーデちょっと微妙かもな」とか思いながら外に出ていく。
ところが、ハムスターの朝(夜?)ルーティンは、
「巣箱から素っ裸で起きてくる」
これだけ。

寝起きのままパリコレのランウェイを歩いても、全員が立ち上がって拍手するレベル。
最初は審査員も「いや、服はどこいった?」ってなる。
でも、ぽんぽこがポテポテ歩いて
ちょっとこっちに目線くれた瞬間に、
「服なんか要らん。トレビアン」って
納得せざるを得ない。

そんな麗しい生き物がお家にいたら、人間はどうするか。
撮りたくなるんです。

これは記録して残さなあかんと。
人類の宝やと。
ユネスコ、何ボサっとしてんねんと。
そう思ってiPhoneを構えるわけです。
当然ぽんぽこは、こっちの都合では動いてくれません。
「あと一秒だけそこにいて」
「頼むからこっち見て」
そんなわたしの願いなんて、知ったこっちゃない。
あの子はただ起きてきて
「なんか美味しいやつ、あるかなぁ」
くらいのテンションですから。

でもわたしは必死なんです。
巣箱から出てきた瞬間、息を止めて、ケージに張り付く。
撮ってる最中って、被写体しか見てないんですよね。
自分がいまどんな顔で、どんな体勢でいるか、一切わかってない。
で、わたしの場合。
ベストアングル狙うために、ガニ股で中腰。
顎が前に出る。
ケージすれすれまで、顔面を近づける。

そうして粘ってると、奇跡みたいな角度でこっちを見てくれる瞬間が来る。
撮れた、と。
今のはいけた、と
そう確信して、動画を見るわけです。
そうしたらね、
画面の左下、ケージの側面に、何かが映り込んでるんです。
にょき、って。
わたしです。
ボサボサの前髪とか、うっすら笑ってる口元とか、そういうやつが、はっきり存在しているんです。
しかも、にょきるタイミングが最悪で。
ぽんぽこがケージに手をかけて、よじよじ登ってくる、
超絶かわいい瞬間。
にょき。

わかりますか、この絶望感。
もうね、台無しですよ。
もし知らない人が映り込んでたら
「ちょっと、撮影中なんですけど」って文句も言える。
でも、犯人はわたしですからね。
そんな、ぽんぽこの尊さと、それを邪魔する左下の人間が織りなす
謎のツーショット動画が、いま28ギガあります。
この動画、夫には見せてるんです。
わたしのにょき具合、笑えるから見て、って。
ほんとは皆さまにもお見せしたい。
でも、一応羞恥心ってものがあるんで、やめときますね。
で、また撮るんです。
巣箱から出てきたら、中腰になって、片膝ついて、息を止めて、
愛しのぽんぽこをカメラに収めようとする。
そして、今日も左下に映り込んでしまう。
にょき、と。
麗しき生き物のそばには、だいたい、にょき人間がいる。
そういうものなんですよね。

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