白髪って、消しゴムで描けるんですね。(ありがとうございます)
こどもの絵画クラスでデッサン会をやりました。
先生のわたしがモデルになって、生徒たちがそれを描く会です。
わたしは椅子に座ってじっくりポーズをとり、生徒が鉛筆で描く。
時間をかけて観察しながら描くので、細部までよく見れるんです。
そう。
よく観察するからこそ、見えてしまう──ことも、ある。
それで。
完成したデッサンを見ていたら、ある子の作品が目に止まりました。
小学4年生の女の子です。
彼女の絵には、とにかく説得力がある。
構図も、線のリズムも、
そして目の良さがある。
そして、なにより──
白髪が、完璧に描かれている。
後頭部の黒髪の中に、細くて繊細な白髪。
よく見てみたら、髪を黒く塗ったあとに
消しゴムをキリリと尖らせて、
白髪だけを抜いているようでした。
いや、テクニシャンすぎるだろ。
え、ていうか、そんなに生えてた?わたし。
……あれか、天井の蛍光灯の下だったから?
余計に光ってたのか?
…いやいや。
現実から目を逸らしてしまったけど、知っている。
ちょいちょい、白髪が生えてきてるの。
その子の観察力とデッサン力は、
もう拍手喝采ものです。
いや、老いって、鏡じゃなくても見れるんですね。
消しゴムの先端と、4年生の観察眼でも
──見えてしまう。
正直、白髪気になってたんですよ。
染めようかな……いや、まだいいかな…
みたいな感じで。
そうやって迷っていたときに、
デッサン会で容赦なく白髪を描かれる。
その子の観察眼の成長に
感慨深さや喜びを感じるのと同時に、
ちょっと、こう…
わたしの中に未だ密やかに生息している
乙女心が、静かにね、削られるんですよ。
でも、それがデッサンなんですよね。
現実を、よく観察して、よく捉える。
そういうことなんですよ。
わたしも先生として、
「細かいところまで観察できていて、
たくさんの発見があったんだね」
「その着眼点をこれからも大切にね」と伝えました。
本心です。心からの本心ですが……
ほんのりと傷ついてたのも、また本心です。
老いを受け入れるのは、大切なことです。
でも、それが小学4年生の観察眼と、
シャープな消しゴムの先端から告げられたとき、
わたしはちょっとだけ、心のどこかを
整え直さなきゃいけなかったというか。
描かれたのがイヤだったというより、
「うわ…そこ来る⁉︎」っていう、なんかこう……
気持ちの置き場が行方不明になってしまったまま、
今日に至っているっていう感じです。
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