ビル・エバンスの樹は枝を伸ばす
After Bill Evans @Cotton club 4/11(土)
この企画が突然石井さんのスケジュールにあがってきたので慌てて予約しようとしたら、一か月前なのにまだチケット販売が始まっておらず。聞けば急遽決まったライブだそう。
経緯については石井さんのホームページに書かれていました。
発売日当日に土曜日の公演を予約したらテーブル席中央前から2番目、うひょー。

はたして今日は見事、会場の端までの満席でした。

このライブのリーダー須川さんがマイクを持ち、ピアニストを紹介。
まず佐藤浩一さん。Very early、佐藤さんオリジナルegyptian musk?Very early のメロディを逆さにしたようなワルツ。そしてエバンスがポール・モチアンとのトリオでやってるShow Type Tune 。
ここでピアノは交代、次の梅井さんはまずSong for Helenをソロで。知らない曲でした、ちょっと複雑な感じ。そして更に複雑な曲をものすごいテクニックで演奏してました。左手の2オクターブ以上の分散和音が半端ない速さ!なんとこの曲、この日のライブのため4日前書き上げた新曲だそう。
三人目石井さんは、予想通りご自身がエバンスの映画のために書き下ろしたオリジナルFor Billを。
そしてエバンスのOne for Helen。須川さんとドラム中村海斗さんの反応がぐいっと増して感じられる。須川さんが日野皓正バンドでみっちり一緒に演奏した、と紹介してましたし、実は海斗さん、石井さんが下北沢のApolloでBoysトリオで演奏してる時、駿くんの後ろに座ってるのを何度か見かけたことがある。(多分この写真に写ってる)
セカンドセットはピアニストがまず1曲ずつエバンスのナンバーを演奏。
まず石井さんのMy Foolish Hearts。もう最初のEがポーン、となっただけでキターッツ、という感じなんですが、ここからすぐ始めずオクターブ上のEを鳴らし、満を持してテーマを弾き始める、そして、あのアルバムの演奏とは違う色をつけようとする意図が音の隙間から伝わってくる。完全コピーをやったって意味ない、もしエバンスが長生きしてたら自分のライブでどうするのか、と考えてるのかもしれない。
Waltz for Debby は梅井さん、軽やかに、やっぱりオリジナリティあふれる演奏。
B♭からG、D♭と転調し続けるSomeday My Prince Will Come を佐藤さん。お二人ともエバンスをなぞるのではなく、どう表現するかに重きをおいているのだ。
スパルタカス 愛のテーマは佐藤さんピアノ、梅井さんローズでのduo。上品でクラシックの香りのする美しい二重奏でした。
ラストは須川さんのアグレッシブなベースソロからのNardis 。まず石井さんとトリオ、ドラムのソロの間佐藤さんがローズに、梅井さんがピアノに入り、石井さんはもう一台のキーボードに。
Children's Play Song は、須川さん海斗さんが抜けて三人で演奏。途中でわざと音をずらしてメロディを弾いて、その響きのヘンテコさに笑いながら顔を見合わせてる。須川さん、なんて素敵な采配だろう!
須川さんはMCで「僕たちは、ビル・エバンスという樹が大きく育つように、土に栄養をおくったり、空気をおくったりしている」というようなことをおっしゃっていて、面白い表現だなあ、と思いました。違っていたらごめんなさい。
会場のお客さんが心から拍手をしているのをみて、数時間前に観た映画の、ケルンのオペラハウスの満席のお客さんの拍手のシーンが重なりました。
音楽の、大きな樹が育っていく。
歴史がつながっていく場面を目撃できたかもしれません。

