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『センチョーツバキ』第3話「逆潮斬り」

『センチョーツバキ』
第3話「逆潮斬り」
作:タカアシ陽一



湾の水面が、鈍く光っていた。
それはただの朝の陽光ではなかった。

スナドリ式横波航法(スナ・スライド)――

ライバル艦《スナドリドリーム》が、潮を切らずに“滑る”ように動き始める。

「あれが今、リーグ最先端の波切り技術か……!」

潮風ユナイテッドの船員たちが、口をつぐむ。

まるで海の上のドリフト。
だが、そこには“破壊力”もあった。

スナドリ艦の横波が、ツバキの《ウミガラス号》を直撃――!

ドォォンッ!!

甲板が軋む。帆柱がわずかに傾く。

「このままじゃ試走どころか、沈むぞ!」

航海士ナガレが叫ぶ。
その横で、ツバキはひとり…目を閉じた。

「……来るな、逆潮」

水面が一瞬、ぬるりと逆流する。
それは潮目の中に眠る“見えない壁”。

ツバキが操舵輪を握り直す。

「逆潮斬り(ぎゃくちょうぎり)――発動!」

風を受けず、潮を切らず。
ただ、潮の“背中”を踏むように──

《ウミガラス号》が、水を弾くように跳ね上がる!

「なっ…!?艇が……潮を踏んでる!?」

アオサ将の目が見開かれる。

そして、湾を斜めに駆け抜ける一閃――

スナドリ艦の横波を、
ツバキは“上から”乗り越えた。



沈黙。

数秒後、見守っていた港町の子どもたちが叫ぶ。

見物してた子供達


「と、飛んだ……!センチョーの船が飛んだァァァ!!!」



港に戻ったツバキは、操舵輪から手を離し、
ひとことだけ、背中でつぶやいた。

「……なぁ、まだ本気じゃねぇぞ。潮風(うち)の力は。」



次回予告:
「流されるな。舵を切れ。次は“ウネリの番人”が来る――」

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