推しへの愛を叫びつづけていたら、現金をもらった話
とにかく良い!
推しは良い!! と、全方位に布教していた日々。
ときには嵐のようにまわりを巻き込み、
ときにはティッシュ配りのようにCDをバラまき、
ときには感涙大号泣でコンタクトレンズを落とした。
いつもと変わらず全力で愛を叫んでいたある日、
ふと現金をいただいた。
気になる方のために先に結論を書いておくと、
もらった現金は数千円で、方法は懸賞である。
推し活にもいろんな種類があるけれど、わたしは書いて応援するタイプだった。
推しにファンレターを書き、
メンバー全員にファンレターを書き、
なんならマネージャーにも書き、
少しでもテレビに映ればX(Twitter)で、
テレビ局さーん!
推しは、こんなに人気があるんですよ!
ぜひまた取り上げてくださいねー!!!!!
と、猛アピールした。
テレビだけじゃなく、
ラジオも雑誌もネットの記事も、
その媒体の方が「また推しを起用したい」と思ってくれるようにと、
とにかくプラスな反応を書いては送り続けた。
毎日毎日、ラブレターを書いては全世界にバラまいているようなものだった。
そして、現金である。
媒体は雑誌だった。
週刊誌だ。
数枚の写真と、ちょっとした紹介の記事。
新情報もない、メインでもない、大物芸能人のゴシップでも撮れれば差し替えられてしまうくらいの隅の隅。まるで、おしゃべりな店主が経営する町の洋食屋でエビフライの横に添えられたパセリ。
それでも、世間で名の通った雑誌に載るというメジャー感はよろこばしいものだった。
わたしはさっそく感想を書いた。
巻末にあるハガキを切り取り、アンケートに丁寧に答え、いかに推しの記事がよかったかを熱弁した。
「メンバーのキメ顔、素敵です。躍動感のある写真も載せてくれて、ありがとうございます。会場の熱気が伝わってくる一枚です! 推しのおかげで人生で初めて、この雑誌を買いました。ぜひまた取り上げてください。絶対買います!!」
――いつもと変わらない、推しへの応援だった。
しかし数ヶ月後、手元には現金が届いた。
アンケート懸賞に当たったのだ。
うれしい予想外。
当たった数千円はもちろん、推しのライブ代になった。
推しの煌めきが、
わたしの中でうねりとなり、
叫んだ愛は現金となって、わたしの手元へ届く。
そしてまたチケット代として推しへ返っていく。
完璧なサイクル。
そしてその数年後、某週刊誌の砲弾に撃たれた推しはステージから降りてしまうのだけれど、それはまた別のお話。
※身バレ防止のため微量のフィクションを含みます
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