鄭麗文の訪中、訪米、その成否は?
鄭麗文の訪中、訪米、その成否は?
中華民国国民党主席の鄭麗文は、2026年4月に訪中し習近平と会談、その約2か月後の6月に訪米という異例の連続行動をしました。
これは国民党の「和平路線」を対中・対米双方に売り込み、2028年総統選を見据えた国民党の国際的ポジショニングを固める大パフォーマンスでした。
この訪中、訪米について、総括しました。
●成功した訪中
鄭麗文の訪中は「国民党の和平路線を北京に承認させる」という目的を大きく達成しました。それは「民進党が対中戦略で失敗し、両岸関係を悪化させ、戦争状態に近づけている」との非難を際立たせました。
つまり「中国との平和を実現できるのは国民党だけである」ことを強くアピールできたのです。まるで「民進党にできるものならやってみろ!」と言っているようでした。
しかし国民党もまた民進党政権下で対中対話の窓口を失っていました。また北京との関係を再構築することは党の存在意義に直結します。
今回、鄭麗文の訪中の最大の目的は、習近平との直接会談を実現し、国民党の「和平論述」を北京に認めさせることでした。
鄭麗文は国民党内でも強硬な「和平推進派」です。北京との対話を主導することで党内での影響力を高めたいのです。
そして習近平との会談が人民大会堂で実現しました。習近平は「統一」という敏感語を避け、国民党の和平論述に一定の“善意”を示した ことで、国民党内では「想定以上の成果」との声が多く、鄭麗文の党内における求心力は一気に上昇し、世論も鄭麗文へ「両岸平和路線」への期待を高めました。
●失敗した訪米
しかし鄭麗文の訪米は失敗しています。それは「鄭麗文は親中」という疑惑が米湖側にあるからです。
鄭麗文としては「中国と台湾、中国と米国の橋渡しができる有能な政治家」というスタンスで売り出したいのです。しかし「親中派」というレッテルを取り除かなくてはなりません。その「疑惑の払拭」という狙いが、今回の訪米で十分には果たせなかったのです。
「国民党は親中ではない」と米国側に説明し、親中疑念を払拭することでした。特に米国では、鄭麗文が北京と近すぎるという見方が強く、国民党全体への不信感につながっています。
つまり「鄭麗文は信用できない」と感じているトランプ政権に対して国民党の安全保障観や対中政策を直接説明することで、米国の理解を得ようとしました。
ところが、鄭麗文は、トランプ大統領や主要政権要人との会談は実現せず、NSC幹部との会談も見送りとなりました。
米国側としては「中国との対話は、自分でやる」「台湾は不必要」まして「鄭麗文はお呼びでない」ということです。
●課題は米国の懐柔
今後の鄭麗文と国民党の課題は、対米戦略です。米国は、台湾を「対中戦略の切り札の一つ」として捉えていて、それに必要なのは民進党です。
なぜ民進党なのかと言えば、中国が台湾独立を腹に隠し持っている民進党を嫌っているからです。つまり中国と仲が良い国民党は、米国の切り札にはなり得ないのです。
今後、鄭麗文と国民党が、中国に対して厳しいことでも苦言を呈することができれば、米国も一目置くことになるでしょう。
また台湾市民も「中国に強いことが言える国民党」として信頼が増すことでしょう。ここが今後のカギだと思います。
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