見出し画像

【超訳】李白「月下獨酌」

唐・李白「月下獨酌」

天宝元年(七四二)、四十二歳の年、李白は玄宗に召されて長安に上る。都の名士たちと交わる機会を得るが、貴族でも進士でもなく、傲慢で高邁不遜な性格の李白は周囲から疎まれるようになり、やがて酒を酌み交わす相手もいなくなる。

花閒一壺酒   花間かかん 一壺いっこの酒
獨酌無相親   
独りみて 相親しむもの無し
擧杯邀明月   
杯を挙げて 明月をむか
對影成三人   
影に対して 三人と成る

月既不解飲   月は既に飲むを解せず
影徒隨我身   
影はいたずらに我が身にしたが
暫伴月將影   
しばらく月と影とを伴ないて
行樂須及春   
行楽 すべからく春に及ぶべし
我歌月徘徊   
我 歌えば 月 徘徊はいかい
我舞影零亂   
我 舞えば 影 零乱れいらん

醒時同交歡   むる時は とも交歓こうかん
醉後各分散   
酔いて後は 各々分散す
永結無情遊   
永く無情の遊を結ばんとし
相期邈雲漢   
相期す はるかなる雲漢うんかん

春の夜 花咲く辺り
酒壺一つ ポツリと置いて
たった一人で 酒を飲む
仲良く酌み交わす 友は無し

夜空に高く 杯を挙げ
お月さんを 招き寄せ
さて わが影と 向き合えば
よしよし これで三人だ

はて 招き寄せはしたものの
お月さんは 飲めない上に
影も またいたずらに
わしにくっつき 揺れるだけ

まあよい しばらくは 
月と影とを 伴いて
春の季節が 去らぬうち
思う存分 この良き宵を楽しもう

わしが歌えば
月は 夜空を行ったり来たり
わしが踊れば
影も ふらふら乱れ舞う

酔いしれる その時までは
この歓びを 分かち合い
いざ 酔いつぶれたら
離れ離れに はい さようなら

月よ そなたに情なきも
永遠の付き合いを 願いつつ
遥か彼方 銀河のほとり
今度はわしが 訪ねてゆくぞ



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集