【映画レビュー】「PERFECT DAYS」
評価:3.9
公園のトイレ清掃員として働く主人公の日々を、淡々と映し出していく作品。
見る人によっては「地味」「つまらない」と感じる映画かもしれない。けれど、僕にとってはとても心温まる映画だった。
彼の仕事は、周囲から「こんな仕事……」と疎まれ、汚がられ、感謝されることもほとんどない。それでも彼は、静かに、淡々と、自分にとっての「PERFECT DAYS」を生きている。
一見すると、外からは変わり映えのしない毎日の繰り返しに見える。しかし彼は、その中に確かな変化を見出し、小さな幸せに心を動かされながら、新しい一日を生きていく。
そんな彼の生き方は、承認欲求が渦巻くSNS社会へのアンチテーゼのようにも映る。
他人の評価を気にしすぎて生きづらさを抱えている人たちにとって、一つの処方箋のように感じられた。
何より印象的だったのは、役所広司演じる主人公の存在感だ。
無愛想で無口。几帳面で、責任感が強く、真面目。誰かに依存することなく、自分で自分の機嫌を取り、自己完結した日々を過ごしている。(ある意味、自己満足の世界とも言える)
それでも彼は、人のために頑張ることができるし、他人を気遣う愛にもあふれている。
むしろ、良い人すぎるくらいだ。頼まれたら断れないし、それなりに人の反応も気にしている。
きっと彼は、繊細で真面目で、優しい人なのだと思う。
だからこそ臆病になり、人を傷つけたくなかったり、逆に傷つけられやすかったりして、深い人間関係を避けているのかもしれない――そんなふうにも感じた。
彼に向けられる周囲の視線や、心ない(何気ない)言葉に胸が締め付けられる一方で、ひたむきで真面目な彼が時折見せるやさしさやぬくもりに、心がじんわりと温かくなる。気づけば、涙がこぼれていた。
印象に残ったセリフがある。
「何も変わらないなんて、そんな馬鹿なことがあるか……!」
この言葉は、まさに主人公そのものだと思った。
彼の毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は一日として存在しない。日々移ろう小さな機微に心を寄せながら生きる彼の姿勢は、飽き性で欲深い自分にとって、見習いたい生き方だと感じた。
多くの仕事には、誰しも「感謝されない瞬間」や、ある種の「汚い仕事」を引き受けなければならない場面があるはずだ。
それでも多くの人は、変わり映えのしない日常に飽き、SNSのキラキラした誰かと自分を比べて劣等感を抱き、自己嫌悪に陥り、ときには誰かを見下すことでプライドを保とうとしてしまう。
そんな人にこそ、一度この映画を観てほしい。
生きることのハードルが、ほんの少し下がり、目の前の日々の見え方が変わるかもしれない。
【評価基準】
(星)4.5〜 :人生に影響を与えるレベルで良い。最高。
(星)4.0〜 :見なきゃ損!おすすめ!
(星)3.5〜 :面白い!
(星)3.0〜 :普通
(星)2.5〜 :うん、面白くない。
(星)〜2.0 :見るだけ時間の無駄。
