半導体大仏【毎週ショートショートnote】
戦争中のある日、政府から『半導体供出令』が発令された。
軍需工場が材料不足のため、国民に半導体を供出させるという。
隣組の組長たちと大日本婦人会による半導体搭載家電回収が始まった。
組長たちは町内の回収を終え、長命寺に向かった。
長命寺の大仏は、合掌する者を認識するセンサーや、願いを察知するAIを搭載したロボットだ。優しい顔で、人々に「大仏様」と親しまれていた。
政府はこの大仏を狙うが、住職に拒否される。
住職は徴兵され、南方戦線に送られたので、寺を守るのは女性たちだけだ。
組長たちは本堂に上がり込み、大仏を抱えて持ち出そうとした。
コンセントに繋がっていたコードが抜けた。
「おやめください!」
住職の妻・美咲が叫ぶが、婦人会が取り押さえた。
その時突然、大仏の目は赤く光り、全身は細かい稲光に覆われた。
「うわあ」
組長の一人の手が感電し、大仏を床に落としてしまった。
「電源入ってないのに!」
転がった大仏は組長たちを睨む。
「大仏様を怒らせた祟りだ!」住職の母・和子が叫ぶ。
「お引き取りください」美咲が頭を下げる。
組長たちと婦人会はすごすごと退散した。
「あの人が出征する前に盗難防止対策をしました」
美咲がつぶやいた。
「コードが抜けると非常用内蔵電池が作動して、目を赤く光らせ、全身に電流を流して盗人に電気ショックを与えるようにしたんです」
気がつくと、近所の人々が心配そうに集まっていた。
「奥様、大仏様は……」
「お陰様で大丈夫です」
美咲が言うと人々は喜びの声をあげた。
「ああよかった!」
「大仏様、よかったね」
境内に笑顔があふれた。
台座に戻された大仏様の目は桜色に輝き、微笑んでいる。
電源はまだ入っていないのに。
(695字)
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お題「半導体大仏」
文字数大幅にオーバー、すみませんm(__)m
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【今日の画像】みんなのフォトギャラリーから。
「大仏」で検索。飛鳥大仏だそう。
つい鎌倉とか奈良の写真に目が行くけど「おっと、持ち出せるサイズの大仏様の話だった」と思い直した (^_^;)
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