映画を観ながらラタトゥイユを食べよう -おいしい再現レシピ-
映画を観ると料理のレパートリーが増えるワケ
おいしいものが出てくる映画が好き。「美食」「ワイン」「おいしい」「グルメ」「レストラン」「シェフ」「料理人」といった関連キーワードがタイトルやキャッチコピーに入っていると思わずDVDを借りてしまうので、中には駄作も・・・なくはなかったです(笑)。
でも、仮に内容がビミョウだとしても、行ったことのない土地の名物料理を知ることができたり、映画によっては実際にシェフが作るシーンを目の当たりにできたり、料理のヒントが少なからず隠されていることも多々あって。だから、おいしい映画はやめられないのです。
気になった料理はとりあえず鑑賞後にググってみます。どこの国の何という料理で、歴史はどうなっているか、正統的な作り方はどんなものか。まず現地の言葉のスペルを調べ、現地の言葉で画像検索。作り方を調べるときは、現地語のYouTubeもチェック。言語がちんぷんかんぷんでも、材料さえわかれば、あとは映像でなんとか理解できたりするものです。
初めて知る外国の郷土料理を作る際に重要なのは、「正統派であること」だと思っています。日本各地の郷土料理を作ろうと思ったら現地のやり方を忠実に再現するのが早道ですよね。「おばあちゃんがこう言ってたから」「お母さんがこうやってたから」「あの店の大将に習ったから」。それに勝る説得力はないと思います。海外の郷土料理だって同じです。
海外の料理も、現地で食べ、現地の人に習えれば一番いいのは言うまでもないけれど、気になる料理をすべて現地で習ってくるなんて夢の世界。だから、いつか現地で食べてみたいという夢は残したまま、まさに夢見心地で料理を作り、食べる。これがなんとも楽しくて、おいしいのです。
「正統派」って、日本語でいうとなんだか堅苦しいというか権威主義のように取られるかもしれません。そういうのとはニュアンスが違う気がしていて。英語でいうとauthentic(本物の、正真正銘の)、イタリア語ならtradizinoale(伝統的な)、中国語だと正宗(zhèngzōng/本物の、正統の、本場の)とか。でも、それも日本語に訳した時点でちょっとかたいな〜。
イメージでいうと──
イタリア人なら誰しも「うちのノンナ(ばあちゃん)が作ってくれるパスタが一番おいしい」っていうあの感覚。イタリア人は、別に「伝統を守るぞ」と大上段に構えるでもなく、当たり前にレシピを受け継ぎ、郷土の料理を愛しています。ノンナたちそれぞれのレシピは家庭ごとの微妙&絶妙なさじ加減で成立してはいるけれど、かといって、ものすごく突飛な作り方や変わった材料を使っているノンナはいないんですよね。だからこそ、おいしい郷土料理が消えることなく、脈々と守られてきたんだと思います。
だから、経験のない私たち日本人がパスタを作ろうとするなら、ヘタにアレンジするよりも、tradizinoaleなレシピを再現したほうが簡単でおいしいのは間違いないです。みそ汁のレシピならイタリア人より日本のおばあちゃんのほうが絶対においしいのと同じです。自分でアレンジするのはもちろん自由。でも、最初に正統な味を知ってから次のステップに進んだほうが、やっぱり近道だし、よりおいしいと思っています。
そんなこんなで、映画を観ていて「おいしそう」と思った料理は、可能な限りauthenticに、tradizinoaleに、正宗に、再現してみます
シェフのクバーノ、カリオストロのポルペッテ、鬼滅の牛鍋辨當
中二になった我が息子は、映画や物語に出てくるものを「見ながら食べる」のが大好きな子どもでした(今も好き)。
小さい頃は本当に少食でしたが、映画や絵本を見ながら食べると食が進むので、『ターボ』を見ながらタコスを、『シェフ』を見ながらクバーノサンドウィッチを、『カリオストロの城』や『わんわん物語』を見ながらミートボールスパゲッティを・・・と、映画に出てくる料理はかなり作りました。
あ、鬼滅の映画を観て作った「煉獄さんの牛鍋辨當」も好評でしたよ。
■ターボを見ながら食べるタコス


■シェフを見ながら食べるクバーノサンドウィッチ

映画としても完成度高いですよね。観てない方、ぜひ!

■カリオストロの城を見ながら食べるポルペッテ・ブカティーニ



ハンドチョップなので肉肉しい。それがホントに美味なんです。
息子はもちろんですが、同級生の中学生男子たちみんなトリコになります♡
■鬼滅の刃を観ながら食べる牛鍋辨當
レミーのラタトゥイユは、あの三ツ星シェフ考案
中でもわが家に革命をもたらした映画ごはんは、『レミーのおいしいレストラン』のラタトゥイユ。それまで普通の煮込みラタトゥイユを作っていましたが、あの映画を観て以来、わが家のラタトゥイユといえば、これ。

並べていると「僕もやる!」と、息子が自ら必ず手伝いたくなる料理でもあります。

野菜の下にソースの層が敷き詰めてあります。
野菜がなかなか食べられなかった幼き息子も「おいちいおいちい」ととても喜び、もちろん今でもたくさん食べます。息子が無類のラタトゥイユ好きになってから、普通の煮込みラタトゥイユを作ったこともありますが、「これはラタトゥイユじゃない」と悲しい顔をされてしまいました。彼の中のラタトゥイユはもう完全に、これ。これ以外にはないのです。それが食の思い出ってやつなのかもしれません。

手間は少々かかりますが、スライサーを使えば意外と簡単。そして、実際つくるとこれが本当〜においしいんです。トマトもズッキーニも茄子も、それぞれがちゃんとおいしいというのでしょうか、野菜ひとつひとつの味が感じられて。Staubにいっぱい作っても、最後は家族で取り合いになりますね。

わが家のソースはペースト状にしないので、ソースにも野菜がごろっとしています。
映画が公開されて以来、「レミーのラタトゥイユ」として広く知れ渡ったこの料理。
じつは、フランス人の三ツ星シェフ、ミシェル・ゲラールがかつて、プロヴァンス地方・ニースの伝統料理であるラタトゥイユに新解釈を加えた「Confit byaldi」を考案していて、その魅力を知っていたアメリカの超有名な三ツ星シェフ、トーマス・ケラーがナパ・バレーで経営する自身のレストランFrench Laundryにて、より洗練された形で提供し、それを映画の中で再現したものなのだとか。
ふたりの三ツ星シェフのおかげで、私たちはこの、美しくもおいしい野菜料理を映画の中で目撃することができたんですね。
「レミーのラタトゥイユ」ことConfit byaldiは、再現してみて本当によかった!と思える料理の代表格です。
最近は、Confit byaldiに雑穀ごはんをあわせるのがお気に入りです。

いろんな雑穀米が出まわっていますが、十穀米を愛用しています。白米にプラスするだけなので手軽だし、穀類らしい味わいがしみじみ感じられて、おいしいですよね。
カレーをつくるときは必ず十穀米にしていますが、ラタトゥイユにも非常〜に合います。「ラタトゥイユにはバゲットのほうが合うんじゃない?」と思われる方もいるかもしれませんが、じつは、南仏の家庭ではラタトゥイユにごはんを合わせることが多いんですって。
あちらでは、ごはんは「副菜」の扱いなので、ごはんがメイン料理の横に添えられていて、さらにバゲットがつくという。中でもラタトゥイユは、トマト味のソースがごはんにからんでおいしいからなのでしょう、「ラタトゥイユ+ごはん」は非常にポピュラーな食べ方なのです。

雑穀米ってねっとりせずサラリと炊きあがるので、なおさら合う気がします。
レミーのおいしいレストランは息子の好きな映画のひとつではありましたが、小さい頃はそれこそラタトゥイユを作るたびに観ていたので、私たち大人もかなりの頻度で鑑賞したと思います。
本当に、おいしい映画でした。
いつか孫と一緒に観られたらいいなと思っています。もちろんラタトゥイユを食べながら。
